あらすじ
鎖国の時代、通訳者は「通詞(つうじ)」と呼ばれた。
現代とは比べ物にならないほど情報も手段も少ない中、
彼らは世界とどう対峙していたのだろうかーー。
キリスト教が厳しく取り締まられる最中、イギリスの船が長崎近くで難破した。
オランダ語通詞・森山栄之助は率先して救助活動にあたるが、
英語話者のイギリス人とは言葉が通じず、安心させることすら難しい。
そして彼らはキリスト教の信者のようで……。
イギリス人からは警戒され、町の人から非難の目が向けられても、
通詞たちは彼らが安心して帰れる方法を懸命に模索する!
さらに、栄之助に恋の予感も訪れます!!
強くて優しい、幕末のお仕事ヒューマンドラマ!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
異文化の触れ合い。
そこには、必ず軋轢が生まれてしまうもので、それは互いの理解不足ではなく、理解するための知識が足りていないから。
その一助をなすために通訳という仕事があると思うのですが、彼らも知識としてでしか異文化を知っていない、という側面がある。
2巻のイギリス人漂流者の話は、そこに焦点を当てたお話かなと思いました。
言葉を通じるということは機械的な作業ではなく、人と人との感情心情の機微を察するということを忘れてはいけない。教訓じみた結論ですが、大事なことですよね。
一方で、達之助のように機械的に努めようとしている人間がいるのも事実。機械的にが感情のない冷たさではなく、冷静に淡々と的確に正確に通訳しようというのも、仕事をまっとうする上で大事なことと思います。
栄之助と達之助。硬軟、剛柔、陰陽。例えはさまざまでしょうが、互いの長所短所を補い支え合っていくであろう二人。いいコンビなんでしょうな。