あらすじ
「二間先の音まで聞こえるが、
上様の言葉だけ聞き取れない。
せめて、お心は解したい--。」
青名半四郎。又の名を、万里。
徳川吉宗・家重の将軍二代に仕えた御庭番は、
江戸城の深奥で、何を見、何を聞いたのか?
隠密秘話に胸熱くなる、『まいまいつぶろ』完結編。
麻痺を抱え、廃嫡も噂されていた九代将軍・徳川家重と、
彼の言葉を唯一聞き取ることができた側近の忠光。
二人の固い絆を描き、
日本中を感涙の渦に巻き込んだ『まいまいつぶろ』から一年。
徳川吉宗の母・浄円院の口から出た孫・家重廃嫡の真意とは。
老中首座を追われた松平乗邑が向かった先は。
家治が父・家重の言葉を聞き取れなくなった理由。
折り紙一枚も受け取るなと厳命された忠光の妻・志乃の胸の内。
そして、全てを見てきた隠密、万里が最後に会いに行った人物とは……。
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Posted by ブクログ
9代将軍徳川家重と忠臣大岡忠光を主人公にした傑作「まいまいつぶろ」のスピンオフ、帯には「完結編」と書かれているが本編を補完する短編集として読める。
収録作品に全てを見知っているのが御庭番の万里、この人実に味わい深い良いキャラで、本編登場時から気になっていたんだけどこの本で大活躍できてよかった。
どの作品も心象描写や人物造形が良く描かれていて読み甲斐ある。捨作なしの粒ぞろいなのだが、あえて好みは「配信の士」、本編での嫌われ役「松平乗邑」を主人公に据えた一作。家重を世継ぎに推さなかった男の気骨と7代将軍吉宗との信頼関係がとても良かった。
Posted by ブクログ
【収録作品】将軍の母/背信の士/次の将軍/寵臣の妻/勝手隠密
『まいまいつぶろ』続編、というより外伝か。
隠密・万里の視点で語られる、“あのとき”の話。
本編とあわせて読みたい。あのときのあの話の裏にはこういう動きが、とか、あの人の視点ではこうだったのか、とか。
田沼意次に既定のイメージがあるため違和感があるし、勘ぐってしまいたくなるが、この物語では素直に読んでおこう。