あらすじ
画像生成AI、ChatGPTなどの対話型AI――まさにカンブリア爆発ともいえる速度と多様さで、AI技術は人類文明を劇的に変えようとしている。その進化に晒された2025年大阪万博までの顛末、チャットボットの孤独、AIカウンセラーの献身からシンギュラリティまで、22名の作家が激動の最前線で体感するAIと人類の未来。『ポストコロナのSF』『2084年のSF』に続く日本SF作家クラブ編の書き下ろしアンソロジー第3弾
目 次
まえがき 大澤博隆
準備がいつまで経っても終わらない件 長谷敏司
没友 高山羽根子
Forget me, bot 柞刈湯葉
形態学としての病理診断の終わり 揚羽はな
シンジツ 荻野目悠樹
AIになったさやか 人間六度
ゴッド・ブレス・ユー 品田 遊
愛の人 粕谷知世
秘密 高野史緒
預言者の微笑 福田和代
シークレット・プロンプト 安野貴博
友愛決定境界 津久井五月
オルフェウスの子どもたち 斧田小夜
智慧練糸 野﨑まど
表情は人の為ならず 麦原 遼
人類はシンギュラリティをいかに迎えるべきか 松崎有理
覚悟の一句 菅 浩江
月下組討仏師 竹田人造
チェインギャング 十三不塔
セルたんクライシス 野尻抱介
作麼生の鑿 飛 浩隆
土人形と動死体 If You were a Golem, I must be a Zombie 円城 塔
この文章はAIが書いたものではありません 鳥海不二夫
各篇解説 鯨井久志/鈴木 力/冬木糸一/宮本裕人
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
こいつはオモシロい。
そもそもは品田遊さんの作品が読みたくて手にとってみたけど、22人の作家によるAIと人類の未来には圧倒されるばかり。
とはいえAIについては懐疑的な未来を提示する作家さんが多い。そうかな?
「AIも単なる技術で、普及すればAIとは呼ばれなくなる」とする鳥海さんの解説は、まったくその通りだね。
Posted by ブクログ
・月下組討仏師
・準備がいつまで経っても終わらない件
・シークレットプロンプト
がお気に入り。
・智慧練糸
は抱腹絶倒。ところでこれの読み方がいまだにわからない……
Posted by ブクログ
名著。マジでよい。今すぐよむべし。短い作品ばかりなのに、めちゃくちゃ筆が乗ってて、方向性もさまざまで、とにかく楽しい。
日本SF作家クラブ編の直近2冊の本は、コロナ禍というのもあって暗い方向でまとまってしまって感じがあったが、それがない。
個人的によかったもの。全部。だけど、印象的だったものを一言感想を付して述べる。最高なのは円城塔の地下ダンジョン魔法ファンタジーものである。マジだから。読んで。なろう系好きな人もきっと気にいるから。
高山羽根子『没友』は、仮想現実が行き渡った世界での日常を描き取るのがうますぎる。品田遊『ゴッドブレスユー』は、エンタメ小説として楽しめる。福田和代『預言者の微笑』は、ハリウッド映画的スピード感があって楽しい。斧田小夜『オルフェウスの子どもたち』は、未来のホラーっぽくて良い。野崎まど『智慧練糸』はゲラゲラ笑うネタSF。十三不塔『チェインギャング』は、手塚治虫のどろろみたいな雰囲気の作品なのにAIでSFだし。
あと、円城塔『土人形と動死体』は、マジ最高。久々のエンタメ寄りの円城さんですよ、わかりやすくてめちゃくちゃ楽しい。地下ダンジョン潜ったりゴーレム出てきて魔法がある世界なんですよ。なろう系とか好きな人も気にいるんじゃないかなこれ。
Posted by ブクログ
ChatGPTや画像生成AIがホットな話題のいま、日本のSF作家さんたちが集結した珠玉のAI SF短編アンソロジーです。
マッハな爆速で日々AIは進化しているので、実際の技術と作家の予測する未来がどこまで実現化するか…のチキンレースなのです。
Posted by ブクログ
AIの進化によって社会はどう変容するのか。そして社会の変容によって私たちの人間はどのように変わり、また変わらないでいるのかというSFの根源的テーマに正面から向き合った作品群。生成系AIの登場によって現実は小説よりも奇なりをまざまざと見せつけられ、SFは陳腐化との闘いに敗北したかのようにも見えてしまう時代。この中で、作品の現実の科学技術に対する陳腐化や未来の予言性などといった概念を超越した文学を感じた。
Posted by ブクログ
短編集なのでSF初心者でも楽しめる話から全くついていけない話まででした。ただ、直近のAIが起点にあるので考えやすかったり考えさせられる話もあり、総じて楽しかった。分厚い本だったけと。
Posted by ブクログ
近未来から遠未来の構成だろうか。前半は想像つく範囲に面白い。既視感もあるが。後半はついていくのが大変と共にそうくるかの感じで刺激的。あとがき風の最後を除けばトリは苦手な円城塔作品。セルたんクライシスはちょうど「核融合最前線」を読んだ後だったので技術的な話レベルが凄いなと感心。覚悟の一句が一番好き。
Posted by ブクログ
日本SF作家クラブ編集による短編集である。ポストコロナとSF(2021)、2084年のSF(2022)に続く書下ろしアンソロジー。
まだ”AI”という言葉がなく、電子頭脳あるいは電子計算機、単にコンピューターと呼ばれていた時代からそれらを題材にした小説があった。人間に造反したり、反乱を起こしたりするものが多かったような気がする。本書にはそんな単純な話はない。現在では実際に人間の能力と同等のAI(人工知能技術)が登場してきたからである。帯にある「未来をつかむのどちらか?」のとおり、未来は一体どうなるのであろうか、気になるといえば気になる。
本書の最後に収録されてる「この文章はAIが書いたものではありません」は、小説ではなく大学の先生が書いた「現在のAI」についての解説である。AIってよくわからないと感じている方は、これを最初に読んだほうがよい。
Posted by ブクログ
エンタメか純文学かわかりにくくはる。AIが映画で普通になったあと、実社会は様々なAIという名のもとでしんとうしていったが、このSFの未来がここに書かれているより現実に理解可能なもので進化していくのはなんとなく想像していける。
Posted by ブクログ
30ページ前後の短篇が22篇収録されており、1つ1つはサクサクと読める。ただ、1篇ページでも全体としては650ページ超であることとAIというテーマ故か似てるものを扱っているものがなんとなくある気がする(もちろん作家ごとに異なる味付け・切り口ではある)ため、読み終わるのに少し時間がかかってしまった。単純に実生活で本を読んでいられない期間と重なったのもあるが。
お気に入りは『準備がいつまで経っても終わらない件』『シンジツ』『愛の人』『シークレット・プロンプト』『智慧練糸』『人類はシンギュラリティをいかに迎えるべきか』『覚悟の一句』
巻末の解説も非常に面白かった。
Posted by ブクログ
SFアニメでAIが出てくると、ほぼ好きになるので読み始めた。遠い未来の話ではなく、かなり近い未来に感じる話が多くて不思議な感覚だった。津久井五月の『友愛決定境界』は他のメディアでも楽しみたい面白さだった。
Posted by ブクログ
22人の作家による短編集。
AIとの未来をいろんな形で描いていて面白かった。
冤罪の救いとなるか「シンジツ」、不確定要素のある未来「預言者の微笑」、野崎まど氏のユーモラスな「智慧練糸」、そして雰囲気が好みの「土人形と動死体」が良かった。
ボリューム満点お腹一杯。