【感想・ネタバレ】浮き身のレビュー

鈴木涼美

彼らが女を商品のようにしか扱えないのと同じで、私は彼らを子供を産ませる男か身体を買う男に峻別することしかできなかった――。十九年前の、デリヘル開業前夜の彼らとの記憶に導かれ、私はかつて暮らした歓楽街へ赴く。酷い匂いの青春はやがて、もうすぐ子供が産めなくなる私の、未来への祈りとなる。新たな代表作！

[ブクログ · ★★★☆☆]

自分の意思で読んでいるはずなのに、街で見かける風景くらいの解像度で通り過ぎていく。ある意味それくらいどこかの街の一部分を切り取ったようなリアリティがあるとも言えるのかもしれない。
帯にフェミニズムの文字があったけれど、この作品のどの部分を指すものだったんだろう。同様に帯に「産むことにも売ることにも稚拙に抵抗しながら」とあったけど、性風俗はしてなくても自分の性を代償に居場所を手に入れていたらそれは"売った"ことにはならないんだろうか…