あらすじ
元トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長で、同社を19期連続増収増益に導いたカリスマリーダー、吉越浩一郎。名経営者と呼ばれた著者が指南する、「仕事を変える」具体策がここに!!考え方、能力、習慣、性格、価値観、態度……何が仕事ができる人とできない人を分けるのか――その分岐点を挙げ、では、どうすれば仕事ができる人になれるのか――その方法を紹介します。経営者はもちろん、管理職の方から若いビジネスマンまで必読の「仕事改革論」。この1冊で、あなたの仕事は必ず変わり始めます!
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Posted by ブクログ
まわりにらかかわらず自分でなんとかしようと思う人が成長できる人であり、人間力をもった人になれる
独立しようと思った時から仕事の仕方が変わる
いいイメージをもつことはリーダーの資質
Posted by ブクログ
*私が経営者として、絶対に手放したくなかった社員とは?
仕事ができる社員、できない社員とはどこがどう違うのか?
たとえば、仕事ができる社員は、「早く失敗に気づく」ことの重要性をわかっています。だから、判断することや、行動することをためらいません。走り始めてみて、もし何かうまくいかないことがあれば、そこで軌道修正すればいいと考えます。もし、何かミスがあったとしても、早い段階でそれに気づけば、すぐに挽回することができます。ミスを小さな芽のうちに摘むことができるわけです。そのほうが、結果として効率の面でも、コストの面でも、また完成度の面でも望ましい結果が出るということを、仕事ができる社員はわかっています。逆に仕事ができない社員は「早く失敗に気づく」ことの重要性をわかっていません。だから、ダラダラといつまでも判断や行動を先延ばしし、何をするにも時間がかかります。時間がかかるということは、労力もお金もかかるということです。そういったコスト意識がなく、何かミスが起きたときには、すでに取返しのつかない事態になっていたりするのです。また、仕事ができる社員は、あらゆる仕事に「デッドライン」を設定します。「いつまでに何をやるか」を明確に決めて、それに従って効率的に、集中的に仕事を進めます。この「デッドライン」があるかないかは、仕事の結果を直接的に左右します。なぜなら、人間は弱いもので、易きに流れる性質を持っているからです。「デッドライン」が決まっていないと、なかなか集中できず、ダラダラと仕事をしてしまうという危機感を、仕事ができる社員は持っています。だから、自分に対して積極的に「デッドライン」を課します。そうやって仕事力を磨いていくのです。一方、仕事ができない社員は「デッドライン」が曖昧です。そのためにダラダラと仕事をします。そして仕事が後手後手に回り、時間に追い立てられることになります。だから、定時に仕事が終わらず残業する結果にとなり、睡眠時間も短くなり、翌日は頭も体調も冴えないために仕事の効率が上がらず、さらに追い立てられていくのです。まさに悪循環です。さらにハングリー精神に満ちていることも、仕事ができる社員の条件です。ハングリー精神がある人は、目の前の仕事から様々なことを貪欲に学びます。そして自らの能力を磨いていくと同時に、「人の上に立つ」ための資質を身に付けていきます。その結果、会社での地位が上がっていきますから、給料の面でも、仕事ができない社員との差をますます広げていくのです。考え方や能力、習慣、性格、仕事への取組み方など、様々な角度から、仕事ができる社員、できない社員はどこが違うのかーその分岐点を挙げて、ではどうすれば仕事ができる社員になれるのかーその方法も述べていきたいと思います。
*「勝ち負け」にこだわる人
仕事ができる社員は、強烈な野性味とハングリー精神をもっています。もっといい仕事をしたい。もっといいポジションにつきたい。もっと素敵な恋人を見つけたい。もっとお金を稼ぎたい。もっといい生活がしたい。「もっともっと」と上を目指す気持ちを持つことが、仕事ができる社員になるための前提条件です。今の状態が何とか維持できればいい、などと安定志向になっていると、いつか周りに食われてしまいかねません。世の中は、すべてが競争です。そして、自分の足下を固め、上昇志向でどんどん上に上がっていくためのハングリー精神を持つことがいかに重要かを、いち早く認識できた人が競争に勝ち残っていきます。競争に勝つために、体を鍛えることも知恵を磨くこともせずにいるのは、前向きに進歩していく人たちから置いていかれることを漫然と受け入れるのと同じです。だから、勉強を欠かしてはいけません。知恵を蓄え、頭の使い方を学ばなくてはいけません。今は、勤めている会社がいつどうなるかわからない時代です。ある日突然、自分が会社を離れなければならないときがくる可能性もあります。そのとき、新しい会社で自分に何ができるのか、一度じっくりと考えてみることです。あなたには何ができますか?どの会社でも通用する普遍的な技術を何か持っていますか?資格はありますか?英語は話せますか?ITの知識はありますか?会計の知識を持っていますか?マーケティングに関してはどうでしょうか?会社を辞める人には二つのパターンがあります。一つは、それなりの技術を持って会社を飛び出していく「スピンアウト」といわれる形のものです。もう一つは、社内での評価が低く、仕事を任せてもらえなくなって自主的に会社を辞めたり、追い出されたりする「ドロップアウト」で40代、50代で新しい仕事を探している人には、後者のタイプが多いようです。ドロップアウト組には、なかなかいい仕事は回ってきません。第一に、その年代に対する募集は、「できる人」を常に求めている外資系企業からが多いので、英語ができなければそれだけで仕事の幅がぐんと狭まります。少ない仕事を日本語しかできない者同士で取り合わなければなりません。一方、英語ができれば仕事を選ぶこともできますし、高い給料だってもらえます。まさに、世の中は競争で成り立っていることがわかるいい例です。英語や会計など、普遍的な技術や知識を身につければ、今勤めている会社はもちろん、他の会社に転職しても役立てることができます。どこに行ってもそれなりの待遇を受けられるし、活躍できる場を与えてもらえるはずです。だから、時間を見つけて勉強するべきなのです。世の中は競争です。そして、その競争に勝たなければいけません。そのためには、自分であらゆる機会をとらえ、勉強することが一番確実な近道です。すべてが競争であり、それがこの世の中の原理原則なのです。仕事ができる社員は、そういう精神を持って、「自分は何をしなければならないのか」を常に考えています。自分を取り巻く狭い社会で生きることだけを考えれいると、大局を見失います。あなたが生きている会社とか地域といった狭い社会は、その外にある社会全体からの影響を常に受けていて、その結果どうなるかは誰にもわかりません。予測して、事前の準備ができるかどうかは、すべてあなた次第なのです。
「結果がすべて」と考える人。ビジネスである以上、結果がすべてなのは当然のことです。一方で、プロセスを大事にしていれば間違いなく結果は出るのです。つまり、結果がすべてと考えることと、プロセスを大事にすることは、関係のない話ではありません。プロセスをないがしろにして、いい結果を出すことはできません。会社は何のためにあるのか。単純にいえば、利益を上げるためです。社会的な貢献をするためだとする向きもありますが、そもそも利益を上げなければ社会への貢献などできないでしょう。そして、利益を上げるために、ひいては社会に貢献するためには、とにかく成果を出さなければならないのです。ですから、会社は成果主義であって当たり前なのです。成果を出すために試行錯誤し、努力して、結果につながるいいプロセスを導き出すのが仕事というものです。ただ一生懸命インプットしているだけの人。頭を使ってアウトプットしている人。正しいのはどちらでしょうか?考えるまでもありません。仕事はアウトプットがなければ何も始まりません。したがって、「成果は出せなかったけれど遅くまで残業してよく頑張った」といった評価基準が入り込む余地をつくってしまうのは間違っています。仕事とは結果がすべてであり、その結果を出すためには正しいプロセスが絶対に必要なのです。プロセスが正しければ結果を出せるし、結果が出たのならそのプロセスは正しかったということになります。休日返上で仕事をしてへとへとになって「一生懸命仕事をした」と満足するのが仕事ができない社員で、頭を使って工夫をしたすえに結果を出して初めて達成感を得るのが仕事ができる社員なのです。
*あえて逆境に身を置ける人。「人間力」とは、どのようなものでしょうか?
・経験に裏打ちされた自信がある。
・大きなキャパ・能力を持っている。
・逆風を乗り越えつつも、常に穏やかな心を保ち、それが表情に表れている。
・一定レベル以上の理論と配慮を兼ね備えた説得力がある。
・包容力がある。
・自分を利する動きをしない。まったく私心がない。
このように並べてみると、人間力とは、まさに、リーダーシップに通じるものでもあるようです。「経験」「能力」「性格」「考え方」といったものを掛け合わせて出来上がるもののような気がします。そう考えると、人間力とは、直接磨けるものではないわけです。毎日、会社という「道場」で問題解決に取り組み、苦しんでいるうちに、その人の内部に自ずと育っていくものではないでしょうか?ですから人間力とは、必然的にその人の仕事の能力と比例するものであるはずです。では、人が成長し、能力を伸ばすときはどのようなときなのでしょうか?人間は、逆境にあるときに育つものです。だから一流の人は、自分を逆境に置こうとするし、その結果伸びていくのです。逆境を自分の力で乗り越えようとするとき、人は大きく成長します。一方、私たちの周りを見渡してみると、うまくいかないのは上司のせい。キャリアアップが図れないのは会社のせい。先行きが不安なのは社会のせい。そんな風に、問題を「周りのせい」ととらえてしまうと、自分自身の問題とはなり得ず、自分が乗り越える対象ではなくなります。「上司が頼りにならないからうまくいかない」などと考えた瞬間、すでに自分が当事者ではなくなっています。それらはいわば「与件」です、与件とは自分に与えられた条件であって、その条件の中で問題の解決に取り組まねばなりません。与件そのものを解決しようとするのは、方向性が間違っています。頼りない上司をどうにかしようとするのではなく、上司の頼りなさを前提に、その条件の中で自分の仕事に取り組む姿勢を持ってほしいのです。上司が頼りなくても、会社があてにならなくても、自分にできることは必ずあります。そうして「何とかしよう」と思い、行動を起こしていく人が「成長できる人」であり、ひいては一流の「人間力」を持つ人になれるのです。
*確かなことは、若い人たち自信が、活躍できる場所を与えられるのを待っているうちは、世の中はいつまで経っても何も変わらないということです。若い人たちが自ら変えていかなければなりません。要は、野性味でありハングリー精神を持つべきです。「いずれ独立しよう」と志したときから、今の仕事の仕方が変わります。会社から学ぶこと、仕事から学ぶことが絶対的に増してきます。独立するなら、アシスタントが一人か二人は必要になるかもしれません。彼らを会社として正しい方向へ引っ張っていかねばなりませんし、彼らに対する公正な業績評価や報酬の支払いも必要になります。つまり、リーダーとしてのスキル、会計のスキル、評価のスキルなど、今勤めている会社から学ぶべきことが山のようにあることに気づくのです。リーダーとして優秀になるために何ができるか、より具体的に、より一生懸命に考えていかなければなりません。だから、育つのです。身につけて役立つものとは、その会社の中だけで役立つものではなく、もっと普遍的なものです。たとえば、滅私奉公とは、会社が「Aすることが正しい」といった通り、素直にAができる人は評価が高く周りからも認められますが、それはその会社でしか通用しません。本当に身につけるべきは普遍的な能力です。具体的にいうと、たとえば英語はその筆頭でしょう。たとえ実際に独立しなくても、そう努力しているうちに、今働いている会社から認められ、それなりの報酬と地位を得るようになるかもしれません。それで本人も幸せなら、会社にとっても幸せなことですし、仕事ができる社員として育ってくれたことに大いに会社は喜んでくれているはずです。世の中の基本には、競争がなければいけませN。溜まった水はやがてよどみ腐るように、世の中も流れがなければよどみます。
*「自立した個」を持った人が集まってつくり上げたチームによって目標を達成しつつ、お互いのモラルを上げ、さらに高い目標を目指して進んでいくのが、会社という組織です。そこに、まったく次元が違うベクトルの「自分の権利」を持ち出しても、害になることはあっても、チームの向上にもモラルアップにも、プラスに働くことは決してありません。だから有能な社員は、無闇に権利を主張したりしないのです。その主張がチームワークの邪魔にならないか、モラルの低下につながらないか、そもそも競争を基本とする会社の中で主張するのに正当な権利なのか、客観的に自分自身を省みてほしいと思います。権利を主張することが悪いのではありません。主張していい場なのか、ふさわしい内容なのか見極めることができるかどうかが、仕事のできる社員かそうでないのかの差なのです。
*会社を自分のために利用しようとする人も、会社に利用されるのを受け入れる人も、どちらも愚かな判断をしているといわざるを得ません。そして、自分に利することを目的としてその会社に勤めることを選択してしまうと、結局は「会社を利するか、会社に利用されるか」という結果になってしまいます。会社に勤めるのなら、私心を無条件に排すことです。仕事ができる社員は、会社と個人の関係は「一方通行」と心得ています。個人は会社に対して与えるだけであり、それ以上もそれ以下もありません。社員による一方通行の努力に対して、会社が何かをしてくれるかといえば、唯一「対価」としての報酬を払ってくれます。逆にいえば、社員は対価ーつまり、報酬以上の何かを会社に期待してはいけないのです。会社という組織では、この考え方が絶対的な基本となります。社員はすべての判断に私心があってはいけないし、常に「会社のために」という視点に立ってベストな判断ができるようにならないといけませんん。それ以外の「何か」があってはいけないのです。
そういう意味で、会社とは人生にとってはゲーム同様の、終了したら消えてなくなる「架空の空間」であるといえるかもしれません。もちろん、人はそこで育ち磨かれる、まさに「道場のような場」でもありますが、最終的にその会社を辞めていった人に残されるものは、友達のような深い人間関係でも物理的なものでもなく、単にその間に手にすることができた「報酬」に尽きるのです。自分の人生との絡みでそれ以上の大きな意味を会社に求めると、あとでさびしい思いをすることになりますので、気をつけてください。会社に勤めることがゲームである以上、その間は会社員生活を十分に楽しみ、会社に勤めるという生活が終わった後の余生を楽しむための原資をつくっている、と割り切って考えたほうが正しいと思うのです。もちろん、ゲームである以上、誰にも負けてはならないことはいうまでもありません。「会社を利用する」「会社に利用されている」こう考えているなら、一流のレベルで物事を考えられていません。特に若い人たちには、滅私奉公するだけで終わらない社員となるために、会社を「人生の道場」と心得て、もう一度修行し直す気持ちで仕事に向き合ってほしいものです。
*チームをうまく機能させるためには、リーダーとして上司が「勝ちパターン」をつくることから始める必要があります。勝ちパターンに沿って、チーム全員が同じ方向を向き、ゴールに向かって一斉に駆けていく状況をつくり出すのが、リーダーの役割です。もちろん、チーム内のメンバーの実力差は大きく開いたまま残ってしまいますから、能力に見合った報酬を与えたり、それなりのポジションを与えたりと配慮する必要があるでしょう。これがチームの理想的なあり方といえます。本来のチームワークとは、「自立した個」をこそ大事にしてつくるものです。「埋没した個」の集まりでは成り立たないものなのです。自立した個の集まりでチームをつくり、その中でチームワークをつくっていくー。いい仕事はそうした中から生まれてきます。それぞれが埋没した個では、チームワークとは名ばかりのごまかし合い、慰め合いに終わってしまいがちです。ですから、まずは「自立した個」を持つことから始めてください。上からの指示をただ待っていないか、率先して自分から動けているか、自分の仕事を省みることです。目立っていいのです。それが正しいことなら、人と違うことをしてもいいのです。