あらすじ
僕は藤山真介。徳田と河合、そして転校していった友達は、本が好きという共通項で集まった仲だったのだ――。町おこしイベントの失敗がもとで転校を余儀なくされる同級生、横行するいじめ、クラス中が熱狂しだした「植物占い」、友人の行方不明……。混沌とする事態のなか、夏休みの親子キャンプで真介たちが目の当たりにした驚愕の事実とは!? 子どもたちの瑞々しい描写と抜群のストーリーテリングで全選考委員をうならせた第八回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。
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Posted by ブクログ
暑さが不快な夏の午後に一気読みするには最高の小説だった。非常に好き。
集団でクラスメイトをいじめるクソガキでありながら、あくまで友情にあつい小学生たちとして主人公一味が描かれるズレ具合。爽やか夏休みジュブナイルミステリものかと思いきや、クラスメイトは親に殺されてグズグズに加工されているというネタのエグさ。唐突な近親相姦から急加速してZ級ホラーに化けていく展開がたまらなかった。
どうせ辻褄合わせようもない薬効云々のプロットはこの際どうでもよくて、純真な子供が虫を残酷に殺して遊んだりする二面性と、すました顔で私利私欲を満たす大人たちの(子供視点での)不気味さの重ね方が本作の魅力だと思う。出てくる大人たちの行動原理そのものには全く感情移入できないけど、人間の道徳観の都合の良さ・ダブスタ具合を思えば、非受益者からみた人間なんてこんなもんだよねという痛烈な皮肉は理解できてしまう(作中のいじめられっこは作者自身がモデルらしく、そうするとこのルサンチマン視点も合点がいってしまう)し、動物の肉を食べながらペットを可愛がってる矛盾とか、普段目を瞑っている欺瞞を指摘されるような居心地の悪さがある。あと男として近親相姦シーンはシンプルにしんどい。総じて意地が悪い。
賛否両論が極端な作品で、低評価のレビューを読んでいると笑える。角川ホラー文庫の黒い背表紙を意識せずに手に取った人たちは可哀想(皮肉ではない)。
ホラーは小さく小綺麗にまとまった作品より、こういう行くところまで行ききったものの方がエンタメとして優れてると言いたい。ママの最後のシーンの計算されたしょうもなさなんか感動モノ。ジャンキーなホラーを楽しめる人間にはたまらない作品だろ、と思ったら実はホラー小説大賞をとっていて納得。
きったないローカル本屋でボロボロの状態のものを50円で買い、不快な気分でクソ暑い夏に読む。これ以上なく正しい読み方だったと思う。たぶんずっと手放さない一冊。大満足。
Posted by ブクログ
途中から物語全体の雰囲気がガラッと変わってしまった。テレホンサービスで奇妙な音が聞こえた所まではワクワクして読んでたんですけど、主人公が等々力?家の家系について探り始めた部分で疲れてしまいました。
終盤からはSF?ファンタジー要素を組み込んできて身体が植物化するやら足が再生するやら不死身の御先祖が登場するやらでどったんばったん。もう何がなにやら。
Posted by ブクログ
小学生が主人公ということで、気軽に読み始めたのですが。
ホラーだったんですね・・・・。怖い。怖いよ。
おもしろかった・・・のかな。どうなんだろ。
最後まで一気に読んでしまったのは事実だけど。
後味がすごく悪い。
なんか、薄ら寒いのだ。
車椅子の同級生をみんなで手助けしていい子かと思えば、陰湿ないじめをなんの疑問もなくやっている。
妙に大人びた子供たち。
そして、クラスに「動物占い」ならぬ「植物占い」が流行るのだが、それが実は・・・。
ということで、展開があまりに意外というか想像を超えてました。
途中の近親相姦もかなり私は引きましたね。
少年たちの話なのにあまりにも絶望的な未来。
きっと評価がかなり分かれるものになると思います。