あらすじ
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人気シリーズ「乙女の本棚」第31弾は、文豪・森鷗外×イラストレーター・げみのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
次第に更けて行く朧夜に、沈黙の人二人を載せた高瀬舟は、黒い水の面をすべって行った。
罪人を乗せる高瀬舟の上。弟を殺した喜助の護送を命じられた庄兵衛は、その不思議な様子に興味を持ち、彼に話しかけた。
森鷗外の名作が、書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、本シリーズでは、室生犀星『詩集『抒情小曲集』より』、小川未明『月夜とめがね』、芥川龍之介『蜜柑』、梶井基次郎『檸檬』を担当するなど幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
感情タグBEST3
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朧夜の高瀬川。罪人喜助と同心羽田庄兵衛の2人を乗せた舟での会話。足るを知った喜助の話から、庄兵衛が疑問を 感じたこと。そして、沈黙。
静かな夜の出来事がそのまま伝わってくる感じがした、げみさんのイラストでした。
『高瀬舟』からは、何を幸せに思うか、それによって生き方が変わっていくなと思いました。
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げみさんの絵がとても美しくて溜息が出るばかり。この本は私の秘蔵版になりました。
出版社がリットーミュージックと異色な存在なのだけど、この企画をよく思いついたよなと感心しました。この「乙女の本棚」シリーズはどれもこれも本当にステキ。
Posted by ブクログ
哀しい話。弟は兄を想い命が幾日もない自分が死ねば生活も楽になると自殺をはかり首を切るが死にきれず兄に最期をお願いする。兄は島流しとなるが凛とした佇まいが船渡しをする庄兵衛の心をとらえ生い立ちを知る。
やるせない気持ちと矜持を持った男、2人を乗せた舟は淋しさがあふれている。
絵によって情景が分かるしマッチしている。
Posted by ブクログ
「愛菜の本棚」を読んで気になっていた森鴎外の高瀬舟。読みやすそうなこちらを読ませて頂きました。
安楽死や貧富の差にいろいろと考えさせられる物語でした。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ♪
森鴎外さん×げみさん
以前に芦田愛菜ちゃんの「まなの本棚」を読んで、そこで紹介されてた作品で1番気になってたのが、この「高瀬舟」でした。
それなのに、なかなか文学作品には手が伸びず、、(・・;)
だけどこのシリーズなら、なぜだか手に取れてしまう〜\♡︎/
森鴎外さん初めて読みました。
色々考えさせられる内容だったけど、いい作品だったな〜。
"足るを知る"という事。
そして"安楽死"についても。
高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟。
その昔、罪人をこの高瀬舟に乗せて島流しにする習わしがあった。
その道中?、罪人の話を聞いた護送人が胸を痛め、思い巡らすお話。
自分の当たり前は、誰かにとっては当たり前じゃないかも知れない。
分かってるつもりだけど、そのありがたみってどうも忘れがちになる。
何かにつけ、不満ばっかり言ってるな〜って、自分を振り返ってちょっと情けなくなる思いだった。
安楽死についてはそう簡単に決めれる事ではなく、延命治療の選択は出来ても、それ以上の事は許されてない今の現状に、やっぱり留まるほかないのじゃないかと思ってしまう。
ただ、そこにはどうしようもない場合や、深い愛情があるからこその場合も多いんだろうなとも思えた。
今でも京都に流れる高瀬川は、とても風情のある小さな川で、その川にそんな由来があったのかと初めて知った。
暗い内容だけど、気持ち新たになった気分。
げみさんのイラストも素敵でした!
たまに読み返して、自分に喝を入れたい作品だった。
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げみさんの優しさを感じさせるイラストが文章や雰囲気と合っていて読みやすかった。
ただ単に「この人は悪者」と決めつけてはいけないですね。その人の全てを知っている人のみこそ本当の事を語れるのかなと。こういう事は昔はたくさんあったんだと思うと心が傷みますね。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズの一冊。
これは内容と絵が合っている。乙女でなくとも読みやすい。
このシリーズは、時々なんでこの絵なのかなと思うこともあって、立ち止まってしまうことがあるんだよな。それはそれで面白いのだけれどね。初老の本棚とかあればいいのかも。
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズ、げみさんのイラストと物語が絶妙にマッチしていて、イメージが膨らんだ。
喜助がかなりイケメンに描かれていて♡
それにしても…この状況だと喜助はやっぱり弟殺しの罪人になってしまうのか。
安楽死、昔も今も難しいテーマです。
Posted by ブクログ
昨日1月19日は、森鷗外の誕生日。
毎年、谷根千にある森鷗外記念館が、無料となります。
友人を誘い、森鷗外旧居「観潮桜」跡地に建つ記念館へ。友人は、wikiでは、誕生日が2月17日になっているけど?と。まあ旧暦か新暦の違いでしょうとは思いつつ、受付のお姉さんに確認させていただく。
鷗外自身が、誕生日を1月19日と公表していたので、当館ではその意向を受けて、とのこと。
鷗外は、文久2年(1862)生まれ、まだ江戸時代、新撰組が活躍し始めた頃。誕生日は旧暦。
観覧料安いんですけどね。
平野啓一郎氏が、森鷗外をかなり尊敬する作家として評価されているインタビュー映像なども放映されている。舞姫の解説では、私は今まで全く読めていなかったことを知り、再読必要作品となりました。
平野さんは、小学生の時「高瀬舟」を読んで以来、全集読破されているとのことで、鷗外の文章から多くの作品について触れていました。
そして、ショップでは、乙女の本棚「高瀬舟」「木精」が、棚の中央部に迎えられていました。
私も「高瀬舟」が、初めての森鷗外だったと思います。(もしかしたら山椒大夫かもだけど)
有名で教科書にも掲載が多いので、知っている方が多い作品だと思います。
当時、まだその名称を知らずに考えた安楽死のこと。森鷗外は知足と表現している、足るを知るということ。
貧しくも支え合ってきた弟を殺した心優しき男。
罪人舟で晴れやかな、男の表情。
初読から数十年経っても、男の境地にはたどり着けない。
げみさんの、作品と小説がすごく合っています。
Posted by ブクログ
小学生のころ(多分)教科書で読んだ高瀬舟。
比較的好印象で自分の中に残っていた作品だが、改めて読むと、月明かりの照る夜更けに舟の上で、自分の境遇を語る喜助とそれを聞く同心の心持ちが心地よい静けさを醸し出すなぁ、と思いました。
その静けさをイラストがいい具合に冗長させてる素敵な絵本です。
心地よい静けさ、というと語弊があるかもしれません。人の際限ない欲と、安楽死のための殺人という深いテーマを盛り込んだ作品なので考えさせられる点は多いのですが、それを押し付けないふんわりとした包み込む雰囲気があるのが心地よいと感じます。
2023.1.8
7
Posted by ブクログ
あれ?森鴎外の文体好きかも
はい、13おネエとなる森鴎外+げみの『高瀬舟』でございますよ
『高瀬舟』にはいろいろ語りたくなるポイントがあるんですがめんどくさいのでガッツリはしょりますw
一応「考えさせられますね」とかそれっぽいこと書いておこう
で文体です
あれ?森鴎外ってこんな感じだったっけ?
何作か読んだことあるはずなんだけど、特別好きな作家とかでなかったはず
でもなんか心地よいかも
あ、でもあらためて何か読み返そうとも思ってないですけど(おい)
にしてもやっぱげみさんいいわ〜
げみさんのイラストいいわ〜
世界観を壊さない寄り添ったイラストでありつつ幻想的な余白も感じさせる
他のイラストレーターの方もいいんだけど乙女感出過ぎなんよ
おっさんにはげみさんがちょうどいいわ〜
げみさん好きだわ〜
あ、おっさんじゃなくておネエという立ち位置だった
Posted by ブクログ
徳川時代に京都の罪人が遠島を申し渡されると高瀬舟に乗せられて大阪に廻された。
ある日、弟殺しをした喜助を乗せる。
彼の様子は常の罪人たちとは違って楽しそうですらあった……
今読んでも古びて感じられない文章で読みやすかった。
Posted by ブクログ
読書会@茶房武蔵野文庫(2025/11/16)、2回目の参加。
前回『蜘蛛の糸』と同様、元国語教師のファシリテーターの元、様々な経歴のメンバーとそれぞれ感想を述べ合う。
今回も実に楽しい読書会だった。
本作を高校の教科書で読んだという人もいたが、私の高校時代の教科書は同じ鴎外の作品だが『舞姫』だった。『舞姫』LOVEが過ぎる先生が、教科書での学習を終えたあとも延々と森鴎外、舞姫について語っていたのを覚えている。一学期を全て『舞姫』解説に要したのではなかったか?(笑)
森鴎外作品の思い出はその程度しかなく、本作『高瀬舟』はお初。端正な文章、無駄なく進む短編だが、文字遣いの古さ、固さは時代故にやむなし。
今の解像度で読むと、喜助、庄兵衛という限られた登場人物が、二項対立でもないが、自然体 vs 世間体とでもいおうか、なににも囚われない自由な身と、世のシガラミに絡めとられた身分の、両者の価値観がぶつかる面白い設えということがよく分かる。
さらにそれは時代を超えた普遍性を孕むものという全体感の解説には唸らされた。
使う語彙によって、そこにだけ作者の思い、存在が顔を出すなど、なかなか技巧的でもあったりする。そこに込められた思いをも読み取ることで、さらに作品に深みが出た。
討論会ではないのだが、もう少し喜助は黒か白か? をみなで議論しても面白かったかなと思うが、この作品はそこが主眼ではないので、しょうがない(笑)
因みに、自分は、最初、喜助は黒ではないかと疑って読んだが、これは京都、関西を舞台にしたお話。標準語で喋っている文体となっているが、喜助に関西弁で喋らせれば、白だということが、より明らかになる気がした。
これは、関西人にしか分からないニュアンスかもしれないけど(笑)
Posted by ブクログ
教科書で初めて読んだときから、その悲しいストーリーと痛そうな描写でずっと忘れることができない小説の一つである。
改めて読み返してもその感じは変わらない。
弟殺しの罪で高瀬舟に乗せられた喜助の話をきいて、その不憫な境遇と顛末に懊悩する護送役の庄兵衛。「それが罪であろうか。」という問いと、朧夜の加茂川をすべって行く高瀬舟の静けさに、胸が詰まる。
Posted by ブクログ
先斗町の小さな川が、高瀬川。保津川と同様角倉了以が作った川とは、知らなんだ。伏見迄通じていたとは。味のあるストーリー。何を持って満足した生活か。足るを知るとは、何ぞや。
Posted by ブクログ
名作!
罪を犯した罪人を島に送る船で、どの罪人も重たい表情なのに対して、この喜助はとても爽やかな顔をしている。
不思議に思い、お役人様が喜助に話しかける。
どういう事情なのか?と。
弟は自殺しようと、クビに剃刀を当てていた。
発見時にはもうかなりの出血量で、とても苦しそう。
兄に剃刀を引き抜いて欲しいと、頼む。
兄は弟が苦しそうなのを見て、医者を呼びに行こうとするが、弟は、このまま生き抜いても意味がないという。
剃刀を引き抜いてくれた方が楽になると言う。
兄は、弟の頼みを聞き入れ剃刀を首から引き抜くが、とにかく出血が止まらない。
世話をしてくれる近所のおばあさんにも目撃されて、お役人に捕まってしまう。
兄を思う弟と、弟思いの兄。
これは犯罪なのであろうか?
同心のお役人様(庄兵衛)も、悩む。
でも清々しい顔をしている喜助。
庄兵衛には、
空を仰いでいる喜助の頭から毫光がさしているように思えた。
とても印象深い話。
げみさんのイラストがとても素敵。
このシリーズ好き。