あらすじ
◎NHK<ラジオ深夜便>の
人気コーナー、待望の文庫化!
◎読売新聞(2/25)でも激賞!
◎明るく前向きに生きることに疲れた人へ。
病気、事故、災害、あるいは、
失恋、挫折、そして孤独......
人生における受け入れがたい現実に
直面した時、人は絶望します。
古今東西の文豪たちも
例外ではありません。
絶望に行き当たり、絶望を見つめ、
絶望の中で書き留められた珠玉の言葉たち。
本書では、そんな文豪・偉人たちの
「絶望に寄り添う言葉」から
生きるヒントを探します。
カフカ、太宰治、芥川龍之介・・・
絶望の淵で放った言葉は
どんな言葉よりも力強く、心に響く。
<文豪・偉人の名言を収録!>
カフカ、ドストエフスキー
ゲーテ、太宰治
芥川龍之介、シェークスピア
中島敦、ベートーヴェン
向田邦子、川端康成
ゴッホ、宮沢賢治など
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Posted by ブクログ
名言集を読むよりも先に普通に作品を読むべきか、とも思いつつ読み始めたが、第1回のカフカの回で早速引き込まれてしまった。辛かった時の感情を思い出してあの時にこの本またはカフカに出会いたかったなと思ったり、今の気持ちを表現してくれる名言に出会えて救われた気持ちになったり、もっと作品に触れてみたい作家・作曲家と出会えたり、読んでよかった。
辛い時にはポジティブな言葉よりも絶望名言の方が沁みたり救いになることがある。若い時に13年間の闘病生活をしていた頭木さんが共感したり救われた名言とその背景、人物の紹介をしていくラジオを書籍化したもの。
カフカ、ドストエフスキー、ゲーテ、太宰治、芥川龍之介、シェークスピア、中島敦、ベートーヴェン、向田邦子、川端康成、ゴッホ、どれもよかった。
彼らや頭木さんほどではないが、自分も思い描いていた人生の道から外れたときや寝たきりで過ごすしかない苦しい時期があって、だからこそ世界がそれまでとは違うように見えたり、良くも悪くも諦めを覚えたりして。10年前だったら味わいきれなかった名言たちだなと感じた。
カフカの絶望名言より
「生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない」
Posted by ブクログ
ひとつのことで深く悩めないタイプだ。悩まないのではなく、悩めない。少女マンガの傑作(傑作です。異論は認めない)「天使なんかじゃない(矢沢あい)」のなかで、まみりんが翠に「あなた悩んで夜寝れなかったことなんてないでしょう?」と聞くシーンがあって、翠の「昨日の夜は寝れなかった」というモノローグに続くんだけど、あの明るくて、前向きに進んでいく翠ですら、寝れないことがあるのか!と当時高校生だった私には、結構な衝撃だった(詳しい話は、マンガ読んでください。傑作なので)。
そこまで深い悩みがなかった、ある意味幸せじゃないか、とも思うのだけれど、その後の人生でも結局「寝れないほど悩む」ことがないまま、今に至る。
寝たら頭がすっきりして、ちょっと解決に進むよね、あとは行動しよう!という、ポジティブタイプ、とも言えるし、なんかこう、思考・思慮が浅いのでは、とちょっと後ろめたい気持ちにもなる、そんな人生。
なので、と続けてよいのか分からないけれども、人生のどん底、絶望の淵で、グルグルしているようなタイプの小説は苦手で、避けてきたところがある。
この本は、もっとクスっと笑えるタイプの本かと思って手に取って、確かにユーモアにあふれたものではあるのだけれど、作家それぞれの絶望を紐解き、なぜその言葉が、こちらに響いてくるのかを丁寧に解説したものだった。
そのベースにあるのは、話しているお二人の経験で、それぞれ病気で苦しんだからこその想いや実感が乗っているからこそ伝わるものがあるんだろうとは思う。
でもそれは、「病気の経験があってよかった」わけでは決してないし、その経験がなくても、なるほど確かにそういう風に響くのは分かるなと、これまでの読書で抱いていた苦手意識をふわっと軽くしてくれたように感じる。
私は、小説を読むということをもっと感覚的にやってきたところがあり、それをきちんと解説することに違和感を持ってきたのだけれど、あぁ、文学を学ぶってきっとこういうことなんだなと初めて思えた経験でもあった。
もとはラジオなので、それも聞きたいなと思ったのだけれど、なにせ耳から入った情報を処理するのが苦手なので、きっと文字で読んだ方がしっくりくるんだろう。
得るものの多い読書でした。