あらすじ
ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ゲーテの時代も今の人と同じような人間関係の悩みがあったり、異性にときめいていること自体がもう素敵だった。
考えてみれば同じ人間なんだから当たり前だけど、こうやって書簡体の文章で読むとより親近感を持ってこの時代に触れられて良かった。
悲劇的な最後を遂げるウェルテルだけど、彼の燃えるような愛は出逢えただけでも幸福なのかもしれない。
Posted by ブクログ
大学生の時に買うだけ買って、何年越し?
やっと読み終わった
ウェルテルの気持ち、想像に難くない
恋の苦しみ、社会的階級におけるやりきれなさ
厭世
感情の全てを自己に向ける
解説を読んで、当時の小説は”「楽しませることと有益であること」(prodesse et delectare)”としての機能があったけれど、ウェルテルは人間の生き方そのものを問題にしようとした点で、きわめて画期的な作品だったと初めて知った
やるじゃん、ゲーテ
Posted by ブクログ
「ひとが人生のうちでこの本に心を動かされることがなかったとしたら、それはあまり良いことではないだろう」とゲーテは語ったらしい。「こんなにあなたを愛した私を、あなたは決して憎めない」と、ロッテへの純粋な愛と信頼を貫き通した彼の儚い人生についてのこの小さな記録は、到達不可能な憧れに一身を捧げる(シェリーが星と蛾のたとえで美しく言い表したような)愛の喜びと、それの裏側でしかない悲哀を同時に提示し、我々の生に暗くも美しい影を落としている。ウェルテルはロッテの元を静かに立ち去るべきであっただろうか。ロッテはだけれど、確かにウェルテルに想いを寄せていたし、ウェルテルは、ただのエゴイズムから最悪の結果を招いたわけではない。愛そのものが純粋だとしても、その純粋さそのもののゆえに、ひとは、その純粋な愛を保ち続けることに耐えることができないのかもしれない。愛が美しくそして純粋であればあるほど、それを心のうちに保つにはあまりにひとは弱すぎる。
Posted by ブクログ
この小説は、ウェルテルの手紙と、手紙をまとめた編者が調べた内容によって構成されている。
ウェルテルの手紙だけでは分からなかった事実が、編者によって明らかにされていく。
悟ったようなことを言ったかと思ったら、ロッテへの想いに浸り、欲望を押さえ込むのに必死でぐちゃぐちゃになってしまう。
そんなウェルテルのアンバランスさが良かった。
彼の手紙からは、ロッテへの強い気持ちが伝わってくる。
こんなにも気持ちを打ち明けられるなんて、手紙の相手・ウィルヘルムとは一体どんな人なのだろうと、そちらにも興味が湧いた。
手紙から感じ取れるウェルテルは、少々独りよがりのように思えた。
「(ロッテが)ぼくを愛していると感じている」と書かれていたときには、ウェルテルの気持ちが暴走しているのだろうと思ったが、編者の記録を読むと勘違いとは言えないような状況だった。
ロッテのウェルテルへの気持ちは、恋愛と言っていいのかは分からない。
しかし彼女にとって、彼が特別な存在であったことは確かだった。
心がぴったりと調和していて、ウェルテルがもし離れてしまったら、ぽっかりと穴が空いてしまう。
そんな存在に彼はなっていた。
夫がいるロッテへの想いを永遠のものとするには、死しかなかったのだろう。
それがウェルテルにとって、唯一の希望だったように思う。
ウェルテルが死の直前に綴ったとされる手紙はどれも素晴らしく、私のお気に入りだ。
目の前の自然や自分の存在に目を向け、死と向き合う彼の言葉には、心を絞り上げられるような心地がした。
とても好きな作品だった。
読めて良かったと思う。
◇
心の中には無数の計画や希望が狂いまわっていたけれど、とうとうしっかりと、はっきりと、最後のただ一つの考えがきまったのです。自殺です。——横になり、朝、眼をさましたときの、落ち着いた気持のときも、死のうという考えは、まだ小ゆるぎもせずしっかりとしています。——絶望じゃありません、がんばり通したぞという安心です、 あなたの犠牲になるのだという確信です。
(P183〜184)
Posted by ブクログ
『ファウスト』と並ぶ、ゲーテの代表作にして、近代文学の傑作である。アイドルオタクの私の心はズタズタに切り裂かれた。
繊細で恋愛を知らない若貴族ウェルテルが、法官の娘シャルロッテに空前絶後の恋に落ちてしまう。しかし、シャルロッテには既にウェルテルすら尊敬してしまう許婚がいたのである。
伝統や風習、世間体を堅く守り、ウェルテルを愛しながら、彼の気持ちを受け入れることができないシャルロッテと、ひたすら愛に飢えるウェルテルの心情描写が見事。恋愛に関する、ありとあらゆる事柄がこの物語に詰め込まれている。
当時欧州に自殺ブームまで起こしてしまったこの悲劇が、21世紀の若者にも突き刺さってしまうことは、かのゲーテでも予測できなかっただろう。
Posted by ブクログ
アラフォー既婚の私が読んだので、どうしてもロッテの立場を考えてしまう…。
この後ロッテはまともに生きていけるの?女の人って精神的に強いから大丈夫かな。
もっと若い頃に読んだらどんな感想を持っただろうか?ウェルテルに共感する部分が多かったのだろうか?ウェルテルの熱い情熱にひきつつも、人間の内面を深く切りとって書かれた名作。読み終わった後の余韻が半端ない。