【感想・ネタバレ】デカルトの密室のレビュー

あらすじ

ヒト型ロボットが実用化された社会。ロボット学者の祐輔と進化心理学者の玲奈は、ロボットのケンイチと共に暮らしている。三人が出席した人工知能のコンテストで起こった事件から、悪夢のようなできごとは始まった。連続する殺人と、その背後に見え隠れする怜悧な意思が、三人を異世界へ引き寄せる――。人間と機械の境界は何か、機械は心を持つのか。未来へ問いかける科学ミステリ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりに、読んでいて頭がしびれるくらい、頭フル回転させられた作品。脳みそで汗をかいた、という感じ。

チューリングテストを裏っ返して、人間がより機械らしく振舞うという発想とか、すごく面白かった。

フランシーヌ オハラは、森博嗣氏の作中に登場する真賀田四季博士のイメージと重なります。

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2011年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロボットと人間、倫理と哲学、自我の話。

 自分の知識や読解力の弱さを棚にあげるのも心苦しいところではありますが、対象となっている、科学技術、倫理、精神学上の知見が乱立されている印象が強く、全体的に何が示されてたのかよく理解できませんでした。

チューリングテストのコンテスト、中国語の部屋などは物語の舞台としては大変魅力的であり、文章も巧みであるため威風独特な雰囲気は十分に感じられるのですが、その舞台の特殊性がどのように生かされたのか、とどのつまり何のためのエピソードだったのかが最後まで理解できず、もやもやとした消化不良に苦しみました。

作中では舞台の転換や主格(ぼく)の転換が激しく、確かにそれは筆者の恣意的なものではあるのでしょうが、読者にとって有意義であるか否かは別の話であり、残念ながら全体的に理解に至らなかった自分としては、無駄に読者を混乱させるだけの要素としか感じられませんでした。
背景にある科学技術の難解さ、人間の全てを知覚するという壮大なテーマに内在する抽象性 神秘性と相まって、いつまでたっても問題の複雑度があがっていき最後まで収束していないという解釈にとどまりました。

訳知の優秀なキャラクターたちが、お互いに観念をこねくりまわして、思考のループの再確認して満足している、そんな印象です。
結局は、読み手の能力の問題なのでしょうか・・・?

神経伝達の束を意識と同義であると捕らえること、自己を書き換えながら増殖と連携を繰り返すソフトウエアに自我の発現を見るという考え方、量的な制約から解放されていることを上位層への遷移と考えることなど(そもそもこれらは誤解なのでしょうか・・)全く理解というか納得できませんでした。
メタな視点から観測できない差を、差がないと捕らえる考え方など、これらは哲学のものなのでしょうか?
下積みがないと太刀打ちできないということなのかもしれません。

他の方のレビューで、再読によって大きく印象や解釈が変わったと書かれている方が多かったように見受けられます。
今は食傷気味ではありますが、哲学が少しでも身に宿る機会があれば改めてチャレンジしてみたいと思います。

「不気味の谷」というものの存在は非常に興味深く、感覚的にも非常に納得できます。
本編とは全く関係ありませんが、時々メディアで見かける女性型ロボット・・・、たぶん高度な技術の結晶なのでしょうが、外見を人間へと近づけていく方向への技術革新とその成果には違和感を通り越して嫌悪感を覚えてしまいます。

歳なのかもしれないですね・・・。

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2011年05月11日

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