あらすじ
“なんでも屋”の日々を綴る静謐な時代小説
江戸時代の総務部総務課とも言える藩邸差配役・里村が、藩邸内の厄介事から政争に至るまで、あらゆる問題を見事に解決する『藩邸差配役日日控』シリーズ2作目です。
里村五郎兵衛は神宮寺藩の江戸藩邸内の揉め事の差配役。“なんでも屋”と揶揄されるほど、揉め事や雑事が大小問わず持ち込まれますが、「誰もやらぬ…いや、できぬお役」を果たすために次女・澪の隠された出自や神宮寺藩の派閥争いを心にしまい、日々の務めに精を出します。
『星月夜』でも、家老の無骨な懐刀と御用絵師の関わりや、澪が小太刀の稽古をつけている奥女中が抱える思いなど、悩みや騒動が巻き起こります。そして、家族が巻き込まれた収賄事件の真相が明らかに…。
人が暮らす中で生まれる思いに誠実に向き合う、五郎兵衛の差配が垣間見える全6編の連作短編集です。
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「藩邸差配役日日控」の続編。
第1話 藩主和泉守正親が江戸参勤を終えて、地元に帰って行った。五郎兵衛は娘の七緒と亡き夫の形見を整理することにした。筆や硯などの筆記具とともに、日記が入っていた。
絵師の菅沼は最近自分が見張られているような気がするといっている。五郎兵衛が見張っていると、浪岡が菅沼を見張っていた。浪岡は菅沼に病身の妻の絵を描いてほしいと思っている。
第2話 江戸藩邸では御殿の修復工事が行われていて、源蔵という親方が工事を差配している。源蔵親方の顔色が悪いと聞いて五郎兵衛は様子を見に行ったが、本人に大丈夫だと言われてしまうと、どうにもしようがない。
第3話 端午の節句のお人形を飾った。後々のことも考えて、今年は迫水にやらせてみたが、人形の刀が落ちるというハプニングがあったものの速やかに修理に出し、滞りなく準備ができた。奥女中の玉と次女の澪が小太刀で立ち会っていた時に、玉がふらついたところをついてしまい、玉が倒れた。
第4話 安西が父のことで懸念があるという。今年になってから家を空けることが多くなり、たまに泊まってまでくるらしい。様子を見に行ってみると、彦坂もどこかから耳に入れたようで鉢合わせした。しかし安西の父はいない。女か博打だろうということになったが、士道不覚悟として切腹となっては目覚めが悪い。
第5話 浪岡の妻が亡くなったらしい。わざわざ挨拶に来てくれた。登美岡で呑んでいると、外で喧嘩の声が聞こえて見にいく。声をかけたら男が逃げて行った。前任者が不正でとばされた御納戸頭の窪田は、しきりと不正をしていないアピールをしてくるので疲れてしまう。
第6話 御納戸頭の汚職事件で兄のせいでお解き放ちになってしまった遠山俊次郎が、挙動不審で周囲を心配させている。そんなこともあり、事件を見返してみると、娘の七緒の亡き夫がどのように事件を見ていたかがわかるのであった。
Posted by ブクログ
砂原氏本来の面白さの片鱗が垣間見えたので、少し甘めの評価5。冒頭2編のプロットの弱さは否めないが、徐々に良くなり、後半3編はなかなかの出来。特に最終の表題作「星月夜」は確実に面白い。前作「藩邸差配役日日控」からの連話なので、順番に読むことをオススメする。
Posted by ブクログ
里村五郎兵衛の宮仕え日誌、その2。
武士の堅苦しさや、武士ならではの意地や気遣い、そんな中で五郎兵衛の人情が滲み出て、物語の他の人物たち、五郎兵衛の娘たち(七緒、澪)、亀千代君、ちょっと今時な下役の安西主税、五郎兵衛と新しい関係を結ぶ浪岡喜四郎など、読み進むうち、だんだん魅力を感じてくる。
「卒爾ながら(失礼ながら)」や「ご免候え」などの細かい言葉遣いなんかも、世界観として、グッとくるんですよ。
そして今回も、大きな謎が一つ、潜んでいる。
エピソードでは、安西の父、惣兵衛のちょっとした秘密や、梔子姫の思い、亀千代の心遣い、浪岡と五郎兵衛の関係など、それぞれの心の裡が、行間から伺えて感慨深い。
まだ続くと思われるので、楽しみ。青山文平さんの時代劇と共に、武士を描いたものとして、好きな小説になった。