あらすじ
夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。
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Posted by ブクログ
小5、6位の時に読んで「こっっっわ‼️」とトラウマになった作品を26歳になって再読しました。
やっぱごっつ怖い&気持ち悪ぃ〜〜‼️(褒めてる)
児童ポルノ、動物虐待、親から子への虐待、てーんこもりだから作品として賛否両論になると思いますが。
ただ最後にかけて伏線がどんどん回収されていくのがミステリー小説として気持ちいぃんじゃ〜‼️‼️
頭の回転のいいS君と、大人びててしっかり者のミカに囲まれる、ちょっと弱気なミチオ、という構図が、物語が進むにつれて変わっていくのが面白い!
結局いちばん怖いのはミチオでした…
ミチオが自分の作りこんだ物語にここまで入り込んでいるのは、自分がお母さんとミカを殺してしまったという罪悪感からなのかと思うと、辛い。。
こうしないと自分を守れないのかも。
ただ、最後の描写、これはミチオの妄想だよね?
どこまでが現実なのか?分からん。。
Posted by ブクログ
今年30冊ほど読んだ小説の中でダントツで1番好きな小説でした。物語前半に突きつけられる嫌な現実から後半にかけての怒涛な不気味さはとてもハラハラさせられました。後から思えば違和感はたくさんありましたがトリックには気づきませんでした。
人は自分の都合のいいように考えてしまう防衛本能のせいで争いや犯罪が起きているような気がします。
匿名
友達の首吊り死体を見つけ、学校に人を呼びに行っている間に遺体が消えてしまう。虫生まれ変わった友達と遺体探しをする。
話の真相にびっくり。妹のことは何となく分かったが、まさかお婆さんまで?となって、主人公の精神状態に涙が出た。最後の結末にまたゾッとする。
何度も読みたい傑作。
Posted by ブクログ
登場人物全員に裏切られた。
油蝉の声を聞いたらきっと思い出してしまう作品。
S君の首吊り光景は自分が過ごしたかのように頭に焼き付いて気持ち悪さがだらだらと続いた。
終わり方を理解するのに時間がかかった。それでも好きだった。
Posted by ブクログ
合理性とファンタジーが入り混じる不思議な世界観。S君が蜘蛛になって現れたところは「そんなのあり?」と思ったが、S君の推理は筋が通っているように感じられる。ミチオやその周りの人々の異常さや狂気に違和感を感じつつも読み進めていくと、衝撃の事実が明らかになる。私たち読者は、ミチオが作り出した物語を見せられていたのである。ミチオはミカとS君を死に至らしめてしまった罪悪感に耐えられず、自分だけの物語を作り、妄想を生み出してしまった。それは、あまりにも重すぎる運命を背負ってしまった少年にとって、自身が壊れてしまうのを防ぐための唯一の方法だったのだろう。エピローグでも、ミチオは物語から抜け出せず、たった一つの影が夕陽に伸びる描写は切なくも、余韻が残る終わり方だと思った。現実と幻想の境界線の曖昧さを私たちに突きつけてくる作品だと感じた。
「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか」
Posted by ブクログ
ずっとミカちゃんに、3歳っぽくない言動するなぁと違和感があったんだけど、これがその違和感の理由か〜!とはならなかった。妄想している主人公もまだ10歳とかでしょ??と思ってしまう、、
トコお婆さんは全然気がつかなかった!
後味がこんなに気持ち悪いの初めて!
これを勧めたら友達が減る理由もわかるなあ。
独特で面白かったし、読んでよかった。
Posted by ブクログ
外ではなく内の世界の謎を切り開いていくというのは面白かった。オカルトと現実の塩梅が良く、自分が信じていたものを絶妙に裏切っていく構成は凄まじいなと。ファンタジーと思いきや、全てに説明のつく論理性があり、ミステリーの枠から出なかった。いじめ、児童虐待(精神的)、小児性愛など気持ち悪い雰囲気は正直やみつきになった。今までに読んだことのない救いのない陰鬱感があり、見たことないがミッドサマーとかと似ているのかもしれない。夏、猛暑、晴天、向日葵などの明るさが、決して漆黒の内面を照らすことも、包むこともないという絶望感がある。心理や動機の多層的な引っ掛けは、東野圭吾の悪意に似ていると思った。ただ、自分には複雑すぎてついていけない部分があった。無垢で可哀想なところから、残酷で凶悪な少年に変わっていくのは面白かった。だが、それらは表裏一体で、というよりも同じなのだと認識した。正直現実離れしすぎていて、読み終わった現時点では強い感情の揺さぶりはなかった。衝撃が一点収束型の物語がやっぱり好きなのかもしれない。そして、心理やトリックを細分化すると斬新さはなかった。もうこの木を見て森を見ない読み方はよくないのかもしれない。いや、むしろ森を見て木を見ていないのかもしれない。登場人物の心理を薄らとしか共感できていないのだから。
Posted by ブクログ
気持ち悪いモヤモヤとした感情を常に抱きながら読むことになる。最後のシーン、アスファルトに伸びるのは一つの長い影、という表現から結局残っているのはミチオだけであると暗示させる。最後の会話はミチオの描く理想の家族や友人関係、会話を描いていたのかもしれない。それまでのところも現実の境界線が何かわからなくなり、なんだったんだとなる。
そして大前提としてこれが9〜10歳の少年の脳内で起こること?とは考えてしまう。
Posted by ブクログ
気持ち悪いだとか鬱だとかは最後の驚きで吹き飛んでしまって、ずっと何を読まされていたのかと喪失感のようなものが残った。妹もどうやら虫なのではないかと疑うこともあったけど、母親の反応とかから違うと判断したし、そもそも、この虫に生まれ変わるという概念はどこまで作中で共有の概念なのかわからなくてずっとモヤモヤしていた。その謎を明かしつつのどんでん返しは想像を超えていた。みんな自分に都合のいい世界で生きているんだという内容かと思ったら実はそれすら全てミチオの都合のいい世界の中の話だったというオチ。アンフェアだとも思わないし、今までにみたことないような内容だった。
Posted by ブクログ
展開が予想できない部分では面白かった。ページ数多い割に読みやすかったです。ただ主人公だけが最後生き残るなんとも言えない展開と人の死によって生かされてる展開がなんとも言えない最後だったと思う。
Posted by ブクログ
当然だがミステリとして筋が通っていたし、どんでん返しにも驚いたが、他のどんでん返し系の作品(方舟、十戒、十角館、シャドウなど)に比べて驚きは少なかった。そして、世界観がとても独特だった。殺された人間が生まれ変わり、生まれ変わったs君と共に事件解決していくという流れが珍しかった。解説にも書かれていたが、現実ではあり得ないことが起こる、独特な世界観のミステリは好き嫌いが分かれると思う。そして個人的には、嫌い〜好きが1〜10とすると、3.5くらい。やはりミステリは現実で起こりうる内容で解決しているほうが納得いく。受け付けないわけではないが、シャドウのような現実味のある話の方が個人的には好きだ。最後のページに葬儀とあるが、誰の葬儀だったのかいまいちよくわからない。(焦げ死んだお爺さんの?)最後のミチオに爺さんが色々聞いていくネタバラシシーンで、「きみは、S君を自殺させてしまった。しかし、それを絶対に認めたくなかった。もっと言えば、忘れてしまいたかった。だからあんな話を考えたー違うかい?」と言われて、「誰だって、そうじゃないか」「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かを忘れようとしてるじゃないか」「みんな同じなんだ。僕だけじゃない。自分がやったことを、ぜんぶそのまま受け入れて生きていける人なんていない。どこにもいない。失敗をぜんぶ後悔したり、取り返しのつかないことをぜんぶ取り返そうとしたり、そんなことやってたら生きていけっこない。だからみんな物語をつくるんだ。昨日はこんなことをした、今日はこんなことをしてるって、思い込んで生きてる。見たくないところは見ないようにして、見たいところはしっかりと憶え込んで。みんなそうなんだ。僕はみんなと同じことをやっただけなんだ。僕だけじゃないんだ。誰だってそうなんだ」というセリフがこの作品の肝であり、道尾秀介が言う、本格ミステリは人間を描く最も有効な方法という発言が表れているところだと思う。ミチオは、お母さんに見向きされず当たり散らされていること、お父さんは昔のような精気がなくカメのような目をしていて、お母さんにいつも負けていて反抗できないこと、妹を殺してしまったこと、S君を自殺に追いやったことなど、みたくないことから目を背けて自分の心地良い物語を作っていたが、その物語がもう取り返しのつかないところまで行ってしまっているのに気づいていて、お爺さんの「このままでいいのかい」という一言で、もう壊して物語を終わらせるしかないと思って花火に火をつけたのだと解釈した。また、今まで動物虐待や動物殺しなど全く理解できなかったが、今も許容しているわけではないが、ミチオがいろいろいっぱいいっぱいになっていたところに、S君がミチオを挑発するようなことを言い、ミカがS君ばかりみているところを見て、自分でも驚くような残虐なことをS君にした場面で、ミチオがS君が犬猫を殺していた時の気持ちを理解した場面で、私も少し理解してしまった。色々心が耐えられなくなると弱者に残虐なことをしてしまうことも少し理解できるような気がした。ミカが死んでいることは、実は死んでいるかミチオが作り出した空想かなと思っていたので、少し予想できていた。ミカも生まれ変わりだとは思わなかったが。結局岩村先生は全くのミスリードのための人物だった。それに関してはもう少し物語と絡めつけてほしかった。ただの変態で終わった。お母さんが最後普通の人になってるのも納得いかない。もう少しミチオとミカに申し訳なさそうにしてほしい。
Posted by ブクログ
全てが狂っていた。特に蜘蛛となって現れたSくんがミチオくんに殺されるシーンと妹の正体を知ったときは驚いた。そこからはページをめくる手がとまらなかった。
面白かったけどまた読みたいとは思わない、、
Posted by ブクログ
至るところに散りばめられていた違和感が、読み進めるにつれて解決したか、と思った矢先の違和感。
最後、ミチオが家に火をつけたとき。父と母のミチオへの愛情が表れたことに感動したのも束の間、ミチオはこれを狙って火をつけたのか…?と疑惑を残して終了。改めて、プロローグを読み直して、ミチオの心中を想像する。
自分の主観がいかに脆いものかを考えさせられる。
私には無理でした
叙述トリック小説が好きで手に取ったのですが、冒頭から不快感を煽る描写、おかしな人物たち、場当たり的な行動、主観的で根拠のない推理が続き、最後までセンスが合わず、胸クソ悪かったです。S君が蜘蛛になった時点で「なんだこりゃ…(呆)」となり、正直読むのが苦痛でした。3歳とは思えない口達者なミカは、ミチオ以外の他人には知覚できない存在なのだろうとは分かったので、トカゲという実体があろうがなかろうが、どうでもよかったです。恐らくミチオが聞こえる声、交わす会話だけが妄想で、視覚的なものは常人と同じものが見えているのでしょう。あれ、でも校舎の窓からS君が空を飛んでいるのが見えたんでしたっけ?
「お爺さん」を論破して追い詰めるほどの饒舌さと身体能力を持つ、こんな9歳男子なんているわけない、あぁきっとミチオは自分のことを小学生だと思いこんでいる青年なのだろう、と期待したのですが、そんなオチでもなかったようで…。
ミスリードさせるための異常性を持つ岩村先生はいつのまにか退場してしまいます。彼は一連の事件とは関係なかったけれども、彼の被害に遭った子たちはどうなったんでしょう? もしかしてミチオは自分の記憶にフタをしているだけで、岩村先生の部屋で見たビデオに映っていたのも、S君じゃなくてミチオ自身だったんじゃないの?と勘ぐってしまいました。
最後に部屋に火を放ったミチオにとって、両親が死ぬか、自分が死ぬか、あるいは全員死ぬか、どれでもよかったのでしょうから、ラストシーンやプロローグだって、死んでいくミチオの妄想かもしれません。「ぜーんぶ主人公の妄想でしたっ!」というのはただのちゃぶ台返しであり、私にとって「叙述トリック」ではなかったです。いや、伏線とかあるんだろうけど、読み返す気にもなれない。