あらすじ
あなたは誰のメガネで世界を見ているのか。
ネットニュースでは「日本は世界に愛され尊敬され続ける最高の国」という気分のいい記事から、「少子高齢化が進み、競争力低下が止まらない日本はもう終わり」という、読めば不安が押し寄せるものまでさまざまだ。
円安が進めば「円安が日本を滅ぼす」という絶望的な記事が並ぶ一方で、「円安はチャンスになる」という記事もまれに登場する。
一体どれが本当なのか。あるいは、どれも本当ではないのか。
情報を処理するとき、人間の脳は論理的に正しいものより、わかりやすいものや都合のいいものを選んでしまう傾向がある。その結果、特定の人物や物事に対する偏見や間違った思い込み、ときには差別的な感情を強くしてしまうことがある。
そんな思考の偏りや思い込み=「バイアス」は世界に溢れていて、自分の脳で思考する限り、誰もが「自分バイアス」から逃れることができない。つまり、誰の意見であっても、どこからの情報であっても、何らかのバイアスがかかっていることを知った上で、物事と向き合うことが重要なのだ。
誰かのメガネをかけさせられたまま、つまり、誰かの思考バイアスに覆われたまま不自由な人生を送ることを避けて穏やかに生き延びる戦略を、脳科学の知見から語る。
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Posted by ブクログ
■バイアスの存在理由を簡単に一いってしまえば「人間の脳の限界」。
今より脳の性能を上げたいならもっと脳の体積を大きくしなければならないが、骨盤の大きさに限界がある。これ以上脳を大きくできないならどうすればいいかというと、現状の脳の大きさのままで、よりよい答えを出すための工夫をしなければならない。粗い計算でいいから、瞬時に大まかな答えを出すという工夫。その工夫の一つがバイアス。論理的な思考はスキップして脳にかかる負担を減らし、エネルギーを節約すること。
私達の脳は、正確さよりも速度とエネルギー効率を重視した結果、バイアスというものが必要になったと考えられる。
■中国には戦い方や戦略を解いた兵法書が古くからたくさん残されている 。それらの中でよく最重要戦略として紹介されているのが「戦わないこと」。
「百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」(「孫子」謀攻篇)
100回戦って100回勝つのは、最も優れていることとは言えない。戦わずして敵を屈服させるのが、最も優れていることだという意味。さらに、最も優れた戦い方は、敵の陰謀を未然に防ぐことであり、その次には敵と仲の良い国との友好関係を壊すこと、その次には実際に軍を動かして敵を攻めること。一番よくないのは敵の城を攻めることだと続く。
中国の南北朝時代に書かれた「兵法三十六計」では、最も重要な戦略として「逃げる」を挙げている。
「走為上」(走ぐるを上と為す)
「三十六計逃げるに如かず」ということわざはここから転じたもので、戦術には三十六計のように色々あるけれど、困ったときや迷ったときには、とにかく身を引いて逃げるのが最良の策だということ。
■「アンダードック効果」とは、相手から弱い部分や劣勢にあるものを見せられると、人は相手に対して寛大な心理になる傾向があるというもの。
Posted by ブクログ
「受け身を学べば、失敗は怖くない」
この本から1番大切だと思った一節です。バイアスの含まれた言葉は、パンチ力があり、自分への攻撃力が高く、そして信憑性に欠け、時には人権侵害に近しいことを含む可能性がある。自分ができるバイアスの対処法はワンクッション挟むことではないだろうか。攻撃力が高いのならば、メガネを変え、言葉への見方を変える。信憑性に欠けるなら正確なのか調べ潰す。人権侵害に近いしことならば、反面教師にして、次世代に正しいことを伝える。
自分の脳みそは自分が思っているよりも性能が良くない。便利な現代だ。使えることは使い、自分にとってまっすぐ誠実に生きたい。
Posted by ブクログ
最近、専門学校生向けに心理学に関しての講義を依頼されたのだけれど、もし引き受けることになれば、これは課題図書としたいと思った。
若い世代向けに書かれていたけれど、あらゆる世代の人に読んで欲しい。
Posted by ブクログ
誰しも偏見を持っている。
でも、そのバイアスの存在にそもそも気づいていないことが多い。
『孫子』『兵法三十六計』
間接的なコントロール、地味にできてたかも笑
逃げるが勝ち
人に構ってるほど暇じゃない!
Posted by ブクログ
生き延びるための思考、行動だと思えば、今までの理不尽な仕打ちも諦めがつくかもしれない。深い意味もないのかもしれない。そう考えさせてくれる、優しいエールを送ってくれる本だった。
Posted by ブクログ
40%は知ってる情報だった。バイアスには興味持ってたものの確認しても喉元過ぎれば飲み込まれてしまう思い込みのメガネ。著書は20代30代
もっと言えばティーンエイジャーへの応援メッセージ。それを読んで改めて気づくこともあるおばさんの私。
Posted by ブクログ
10〜20代前半向けという感じで、とてもわかりやすく説明されてて、すぐ読み終えました。中高生の時にこういった本を読みたかったです。今はネットでいろんな情報を簡単に手に入れることができるし、嘘か本当かわからないものも多くなってきて、また意見の発信も簡単になったことで、バイアスの偏り(?)が顕著になってきているのかなあと感じました。
自分自身も人生の積み重ねの中で、自覚がなしにバイアスが形成されていると考えておく必要がありますね。
Posted by ブクログ
■ Before(本の選定理由)
よくお名前を聞く脳科学者。著作も読んでみたい。
■ 気づき
たった1.5kgしかない脳は、不確実性のなか瞬時の判断を求められる人類の環境において、よくやっている。ただ人の能力は、あなたが思っているほど完璧では無い。
■ Todo
無知の知というか、偏見(バイアス)はあって当然。それを認識したうえで、振る舞うことが自分にとっても楽なのだと思う。
Posted by ブクログ
10代向けに書かれた本。
結論、他人のバイアスは変えられないから上手くかわせ。至極当然のことを教えてくれていました。
学生時に読んでいたら、刺さっていたかも。
Posted by ブクログ
タイトルにあるバイアスに触れた本かと思い読んだが、著者の人付き合い(生き延びる)について重きを置いた内容となっていた。
男性社会の中で生きる女性としては共感する箇所が多いのではないだろうか。