あらすじ
貧しい青年美容師佐山道夫は、勤め先の美容室の常連客で、証券会社の社長夫人波多野雅子と関係を結び、その出資で独立する。野望に燃える佐山は、一方では雑誌「女性回廊」の編集者枝村幸子に接近し、彼女の紹介で有名タレントのヘヤーデザインを次々と手がけ、一躍美容界の寵児となる。だが、株で穴を空けた雅子が返済を迫るようになり、佐山の胸には黒い計画が生まれる--。
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Posted by ブクログ
2025/22
母親の本棚から借りた本。
松本清張なら何でも読んでみたい。
売れっ子美容師の主人公は女性たちの心を掴んでどんどん出世していく。面白い。
嫉妬深いライター女性に傷跡を指摘される。
気になる終わり方でいいね。
Posted by ブクログ
まだ、上巻だけを読み終わった段階ですので、まだまだ詳しい所は、何もわからないぜ、という状況でございますね。下巻で、どのような展開が、待ち構えているのか、、、ドキドキしながら、読み進めたいと思います。
上巻を読んだだけの感想では、同じ松本清張の著書としては「砂の器」と近い雰囲気かなあ?と思いました。社会的成功への野心を持った若き男の犯罪。栄光と墜落。犯罪を追う司法の側の人間の、調査への執念と、へこたれなさ。
砂の器の和賀英良が、この夜光の階段の佐山(宮坂)道夫かなあ、と。まだ、上巻を読んだだけの感想なので、なんとも言えないのですが。
九州での、八年前の、武蔵温泉近辺での村岡トモ子殺害事件。精神異常者の犯行とみなされている、この事件。これの犯人も、ほぼほぼ道夫だろう、という感じではあるのですが、上巻では、まだぼやかされている感じですよね。下巻で、どのように、何故に、道夫が、トモ子を殺害せざるを得なかったのか?その理由が、どのように明らかになるのか。ちょっと、注目しております。
それにしても道夫は、どうしてこんなに、美容界で成功したいと思っているのか?波多野雅子には、大金を出させ自由ヶ丘に店を出した。そこでは満足せずに、青山にも二号店を出そうと考えている。枝村幸子には、芸能界への伝手を作ってもらい、有名な芸能人のヘアスタイルを担当することで、そちらの方面から世間的に有名になろうとしている。
こうした上昇志向。それが、全然、楽しそうではない。雅子と幸子の事は全然好きじゃないし、二人に二股かけつつ、おまけに更に新たな金づるとしての女性も二人抑えて、四股かけてますやんか。女性の為のスケジュール調整、めちゃくちゃ大変やん。おまけに仕事もしないといけないし。雅子を自殺に見せかけて殺すっていう、すげえ手間もしてるし。
これほど大変に立ち回りつつ、全然楽しそうじゃなく、心底愛する女性もいないっぽいし、仕事もしてるし、で、仕事が、無茶苦茶楽しいか?というと、そんな描写もあんまりない、、、気がするし。道夫、いったい、何のためにこんなことしてるのかしら?というのが、疑問でしゃあない。有名になるためにすげえ努力してるんだろうけど、全然楽しそうでも幸福そうでもないのが、ほんとうになあ、、、なんなんだろうね?って思います。
あと、桑山検事が、法曹の世界の関係者も、名文を知らなければならない、という思いを持っているのは、作者の松本清張自身のポリシー、哲学を、登場人物に反映させているんでしょうかね?小説家としての矜持を感じさせる感じがして、凄く好きです。
で、おそらく、実在したであろう昔の有名な人物の著書の文章を引用したりしているんですが、これってどんだけ博覧強記やねん、とか、思いますね。松本清張自身が、それだけの本を読んで、しっかり自分でその内容に納得したうえで、自分が創作している物語に、引用している訳ですよね。いやあ、凄いよなあ。勉強家、という言い方では、失礼にあたるか。自分が好きだからこそ、色んな色んな本を、本当にこう、読んでいたんだろうなあ。素直に尊敬、ですね。
あと、この小説が書かれたのは、雑誌連載が1969年~1970年の間、単行本化が1981年、だそうです。雑誌連載が終わってから、単行本化されるまでに11年もタイムラグがあるのは何故やろか?とも思うのですが、それはそれとして、凄く興味深かったのは、当時の女性の年齢に対する世間の目の描写。
波多野雅子は、小太りの有閑マダム、という描写ですが、この雅子は、年齢としては40歳ちょっと前。アラフォーですね。村枝幸子は、27歳。で、その年齢で「まだ結婚しないでいるが」と描写されている。
これ、2020年の今どきの作品になったとしたら、雅子が50歳ちょっと前、幸子が37歳くらいで、物語に合うキャラとして、ちょうどええくらいの年齢ちゃうんかなあ?とか思うんですよね。ちょうど、世の中の「それなりの年齢」ってヤツの評価、判断が、10年は、遅くなっているんではなかろうか。それが、超高齢化社会、2020年の日本の現状ではないのかね?とか思うのです。いやあ、社会情勢って、不思議だなあ。