あらすじ
今度の柚木麻子は何か違う。
著者の描く3歩先の未来にあるのは、ちょっとの希望とささやかな絆。
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友達もいない、恋人もいない、将来の希望なんてもっとない。
貧困にあえぐ苦学生の真央が出会ったのは、かつて栄華を誇った山戸家の生き残り・四葉。
「ちゃんとした人にはたった一回の失敗も許されないなんて、そんなのおかしい」
彼女に託された一つの宝石箱が、真央の人生を変えていく。
「大丈夫だよ。オール・ノットの真珠にすれば。あんたみたいながさつな子も。これは絶対に切れない、そういうつなぎ方をしているんだよ」
「え、オール・ノットって、全部ダメだって意味じゃなかったっけ?」
「全部ダメって意味もあるけど、全部ダメってわけでもない、っていう意味もあるんだよ。そうだよ。全部ダメってわけじゃないんだよ。なにごとも」
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Posted by ブクログ
奨学金の苦学生の話かと思ったらお金持ちのお友達の盛衰の話だった。
日本が貧しくなることは確定だなぁと思うような近未来の描写もあった。
面白かった
Posted by ブクログ
横浜が舞台のお話。奨学金の返済を抱えて四苦八苦するヒロインと、昔はお嬢様だったのに、没落してマネキンの販売員をしている老女の交流。やる気なさげなのに、抜群の売れ行きを誇る彼女の秘密とは。以下、ネタバレ込みで。
うーーん、モデルはいるのかなぁって。この老女(名前忘れた)の存在感、スゴイです。「さらさら流る」のヒロインにも共通する、本当の「育ちの良さ」。逆境とか困難とか他人の悪意とか、受け止めるけど染まらないんですな。ずる賢い輩に利用されたりもするし、そのせいで損害被ったりもするけれど、だからって他人をうらやんだり、恨んだりという心持に至らない。泰然自若。この老女の来し方が、次第に明らかになっていく。モラハラとか、同性愛とか、当時としては一般的でなかった問題に、臆せず対処していたこと。そのせいで、財産の大半を失ってしまい、贅を尽くした屋敷も手放さざるを得なくなったこと。それでも、なんというか泰然自若。正しいことをした結果がこうなら、黙って受け入れます、みたいな。
オール・ノットのノットは結び目のこと。真珠のネックレスの糸が切れても、真珠がバラバラになってしまわないよう、粒と粒の間全てに結び目があること。
ダメだ。時間がちょっと経っただけで、ろくに要約できなくなってる。
でも、読後感最高です。オススメです。
Posted by ブクログ
やはり柚木さんの小説には、いつも美味しそうな食べ物がたくさん出てきます。
英国式のスコーンや紅茶、ビーフティーを食べてみたくなりました。
物語は、それぞれの章で違う時期、違う人物の視点から、描かれていて、少し混乱する部分もありましたが
なかなか先が読めず、展開に驚く部分もありました。
ラストは、パールの査定がどうなったのかな?!とページをめくってびっくりしました。こんなに唐突に終わってしまうとは。
四葉が、世間への声明を出したあと、SNSなどの情報に踊らされずに
知ったところでどうなるものでもない、時間の無駄。相手にするのもくだらない。という態度だったところは、情報社会にいる自分にはとても輝いて見えました。
主人公の真央が大学生から40歳になるまでの間と、40代の四葉の学生時代までの間のそれぞれの時代において、奨学金問題、同性愛、性犯罪など、さまざまなテーマが、描かれており、時代によって状況や受け止め方も変わってきたんだなと気がつきました。
登場人物の女性たちが皆、愛すべきキャラクターだったなと感じます。
良い男性は、、テーラー郷田のおじいちゃんくらいかな。。
人生一度きりだから、やりたいことをやりたいと思った時にやるべきだし、大きな失敗はしておくものですね。この物語の人物は、みんな自分の欲望に忠実だったのだと思います。
そして、若い人たちには自分たちが感じた不安や不自由を、引き継いでほしくない。しかしそのために自己犠牲の精神で周りを幸せにしようとするのは、幸福の王子のようにツバメもろとも死ぬことになる。
一緒に幸せになる方法を模索するべきだった。
これは、今の日本にも必要な考え方だなとおもいました。
時々、意味がよくわからない文があったりしてちょっと戸惑いましたが、1章のスーパーのアルバイトで出会ったふたりが、こんな壮大な物語を見せてくれるとは思わず、楽しく読むことができました。
Posted by ブクログ
勤労学生の真央さんと、現在はアルバイターだけどかつてのお嬢様の四葉さんの出会い。
そして四葉さんの過去がどんどん明らかになり・・・
最初はランチのアッコちゃんシリーズのような雰囲気の話なのかなーと思いましたが、長編なだけあって色々と過去エピソードが出てきて、読んでるうちに印象が変わります。
山戸家の過去の舞台は横浜で、馴染み深い場所なので情景をイメージしながら楽しく読めましたが、ミャーコさんの人柄がいまいち好きになれず・・・最後の舞さんの話もちょっと無理やり感があったような。
最終的に全部がダメじゃない、何か一つでも救えたなら、動けたならいいじゃないかというオール・ノット精神は伝わりましたが、なんだか微妙な気持ちで読み終えました。