あらすじ
「ヨガとカレーとガンディーの国」から「人口世界一」「IT大国」「グローバルサウスを牽引する新興大国」へと変貌し、西側と価値観を共有する「最大の民主主義国」とも礼賛されるインド。実は、事情通ほど「これほど食えない国はない」と不信感が強い。ロシアと西側との間でふらつき、カーストなどの人権侵害があり、表現や報道の自由が弾圧される国を、本当に信用していいのか? 日本であまり報じられない陰の部分にもメスを入れつつ、キレイ事抜きの実像を検証する。この「厄介な国」とどう付き合うべきか、専門家が前提から問い直す労作。
まえがき
序章 「ふらつく」インド――ロシアのウクライナ侵攻をめぐって
第1章 自由民主主義の国なのか?――「価値の共有」を問い直す
第2章 中国は脅威なのか?――「利益の共有」を問い直す
第3章 インドと距離を置く選択肢はあるか?――インドの実力を検証する
第4章 インドをどこまで取り込めるか?――考えられる3つのシナリオ
終章 「厄介な国」とどう付き合うか?
あとがき
主要参考文献
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
インド人とはどうゆう人々?インドはどうゆう国?という質問は、全く意味が無いことを知った。複雑過ぎてわからない国。経済の成長性や人口構成で取り上げられる事も多いが、ビジネスチャンスがあっても上手くいくには並大抵なことではなさそう。
ちょうどダイキンの大規模工場が南部アンドラプラデシュ州スリシティ工業団地で稼働するそう。
ネットで調べても現地に行かないとわからない事ばかりだと思うが調べて見ようかと思う。
Posted by ブクログ
標題にある「未来の大国」候補たるインドについて幅広い観点から書かれている。
インドは日本などと異なりどの国とも同盟関係を結ばないことを国是としている。このあたり日本人には分かりにくい。その上で米、中、ロとの関係を捉えることが必要。日本としてもインドとの関係を強化することが重要だが中、ロとの関係を強く持つこともインド側に取って重要なことなので困難が多い。
広い国土、中国を追い抜いて世界一となった人口、我々日本人が知る言葉「カースト」が生きている国...どう付き合うか難しい。
順調に経済が進展してゆけば日本のGNPを追い抜いて遥かに大きな額となるのは速い。そんな中での日本の立ち位置も難しい。
Posted by ブクログ
人口世界一で、IT人材も豊富、選挙による民主主義、経済成長の著しい国。一方で、カースト制度、人権弾圧、中国との国境問題を抱え、ロシアとの距離感など、まだまだ得体の知れない要素がある。特に、モディ首相の動向を見ると、日本や欧米諸国には理解出来ない行動が背景にある。
ただし、その背景には歴史的、地政学的理由があり、本書では丁寧に解説されている。インドがどこかの国のグループに属することが出来ない、誰の味方でも敵にもなることができない状況であることを、おぼろげに理解した。
単に一国の利益だけでなく、もう少し将来まで見据えた広い視点からも、独自路線にならざるを得ないのだろう。
モディ首相がどのようにこの大国を率いていくのか注目したい。宗教も言語も多様であり、世界的な影響力を持つモザイク国家の旗振りはさぞ難しいだろう。
Posted by ブクログ
必ずしも価値観や利益を共有できないインドと、なぜ関係を継続、強化する必要があるのかを、将来のインド太平洋地域の勢力図、ロシア、中国との力関係など踏まえてわかりやすく解説されている。インドの好きなところ、嫌いなところに共感。
Posted by ブクログ
インドは本当に民主主義国家なのか、という問いを説明している本になります。
インドの基本は1つの勢力に100%入れ込まないということで、これはまぁ今の世界の多くの国に共通する考え方ですし、地域大国としてそう簡単には下につかないのも理解できるわけで。正直、全く民主主義的でないというのでなければ、ビジネスライクに敵の敵は味方と思って付き合っていくしかないのでしょうね。
Posted by ブクログ
インドでは、2014年にモディ政権が発足、多くの外資規制の撤廃や緩和が進み、西側にとって、好ましい国になってきた。それでも、カーストやカシミール問題、ムスリム差別など、人権侵害が横行し、労働や消費に対する価値観の違いがあり、インフラの未整備、宗教、民族、文化の多様性など、他国企業が進出するにあたって、やっかいな問題の多い国である。
また、どの西側の国とも「同盟」を結ばず、一方でG7やクアッドの会合に出たかと思えば、BRICSなどロシアを含む枠組みにもコミットを続ける。
このように民主主義国家とは思えず、どちらを向いているかわからない国を、なぜ、日本をはじめとする西側諸国が重要視し、関係を深めようとするのか、メリットは何か、本当に信用できる国なのかについて専門的立場から分かりやすく解説した本。
インドは、地政学的に見た場合、その海域や港湾は国際通商の要である。また、14億人を超える人口大国である上、若い世代が多い。経済力や軍事力も米中に迫る。西側諸国にとっては、対中戦略上、何より重要な国である。
インドも、経済的に中国に飲み込まれる脅威を感じているが、海洋国家としての警戒感以上に大陸面での安全保障を懸念する。隣国・パキスタン、中国、その向こうにあるロシア、イランなどとの関係が戦略的な重要性を帯びる。アメリカとの接近で中国を刺激することは避けたいし、対中国を考えるとロシアとの友好関係も保ちたい。
インドは古代からプラグマティックな戦略文化に慣れ親しんできた故、多くの方面と接触し、得られる実利を重んじ、いいとこ取りするという分析もされていた。
インドが日本に期待しているのは、経済政策、インフラ支援、債務問題での協力。日本にとっては、脱中国のサプライチェーン構築の意味では、利害が一致する。文化的多様性があり、権限が地域で分散されているインドでいかに利益を上げるか、一筋縄ではいかないが、何らかの形で付き合っていくべき国であると認識した。
Posted by ブクログ
善悪はさておき、インドに一度はまってしまう(魅力に取り付かれる)と一生抜け出せなくなるのではないか、という感覚をこの本を読んで感じた。
それは自分にとっては中国に対して感じる感覚に何か近いものがあるし、一方アメリカやヨーロッパに対してはこの感覚は感じた事がない。
恐らくアメリカやヨーロッパは此岸と彼岸、という一種ドライな見方をするのに対し、中国(もしかするとインドも)はウェットな見方を拭いきれない所があるからなのだろう。
これからインドに関する文章に触れる時が増えていく気がする。
くまざわ書店阿倍野店にて購入。
Posted by ブクログ
世界最大の民主主義国
人権については、脛に傷をもつ=中国に関与を認めない。
ヨガとカレーとガンジーの国。
中国は2036年には世界一のGDPになる予測もあるが、成長鈍化が続くとアメリカを上回ることはないのではないかという見方もある。
インドは人口ボーナスがつづく2040年代まで高成長を維持する。
2027年には日本が追い越される。防衛費は2.5%。今後はアジア太平洋で主要な地位を占める。
インドは世界中の国から言い寄られて戦略的パートナーシップを結んでいる。
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20240831再読
インドにとってロシアは昔からの信頼できるパートナー。
一党独裁や軍事政権を経験していない国。アジアの国は開発独裁によって成長した例が多い。
パキスタンはクーデターで軍事政権が続いた。
インド人のカーストとは、職業と結びついたジャーディのこと。
自由民主主義指数では、インドは日本やアメリカと、中国、ロシアの中間程度。
報道自由指数では世界180国中150番目と低い。ロシアが155位。メディアが寡占化されている。
宗教の自由では、とくに懸念される国、になっている。
経済自由度数では、中国ロシアなみ。
中国と国境戦争で負けた。そのためロシアに近づいた。パキスタンには負けていない。バングラデシュの独立を勝ち取った。
インドと中国の国境は実効支配線が続いている。曖昧なので紛争になりやすい。
中国とロシアが緊密化すると、パキスタン、アフガニスタン、ミャンマーなどでインドには負の影響がある、と思っているためインドはロシアに対して配慮している。
チャイナリスクは、アメリカ、日本と共通しているが、先進国と途上国という違いがある。
中国とインドは、大きな人口で今後も成長するという共通点がある。新参者で現行のルールを変えたいと思っている。その点で、中国に対する態度が違う。
インドは国土の大半は耕作、牧畜が可能、人が住める。
ピラミッド型の人口構造。
ただし製造業が弱い。第三次産業がGDPの5割。
ヨガとカレーとガンジーの国。
中国、ロシアの権威主義陣営と、アメリカ、日本、オーストラリアの自由主義圏のGDPが拮抗する。どちらかが圧倒することはない。
2050年には、インドのGDPはアメリカに近づく。日本は1/4。
インドは安易に中国たたきに乗るべきではないと考えている。
Posted by ブクログ
インド出張を前に読んでみたが、仲良くなれると思わない、ビジネスライクで行こうと思えた。
軍事同盟、経済連携協定をどことも結んで無い、とは利己的というか、どの国ともベタベタには仲良くならないという意思を感じる。民主主義の考え方とかも西側諸国とは違うので、同じ価値観とは思わないのが身のためかと。
Posted by ブクログ
今の仕事を始めてから、ほぼ毎日マジクソと思う瞬間ばかりだ。
業務はインド案件である。
全然話通じないし、自分の主張を小一時間演説するのに、うんざりする。
まったく引かず、厚かましく、そしてたまに嘘を混ぜてくる。
まともに付き合っていたら脳みそイカれる。
インドでうまくいけば、たいていの海外案件は乗り切れる。
なぜに弊社の海外案件第一号がインドなんだ。。。
と、まじくそインド人の思考を理解するための一助となる入口に良いのが本書である。
南ユーラシアの大国インドに培われた謎の上から目線。
根拠のないのに自信が大きい。
こういう連中が、将来は日本を抜いてGDP世界第三位の大国になっていくのである。
うむ。
なるべく距離を置きたい。
俺じゃない誰かにインドとの付き合いを頑張ってほしいものだ。