あらすじ
ティラノサウルスと小林快次博士という訴求力満点の最強タッグが贈る、知的好奇心にこたえる一冊!
これまで二十数種が見つかっているティラノサウルスの仲間。しかし、その全貌は複雑で、全体を解説している本や図鑑はありませんでした。
本書は、これまでに発見されたティラノサウルス類のすべてを体系的に解説。ティラノサウルスは最も研究されている恐竜ではありますが、まだまだわからないことが多いのが実際のところです。たとえば「ティラノサウルスには羽毛は生えていたのか?」という一般的な問いにさえ、まだ確定した問いはないのです。
一方で、ティラノサウルスの仲間は、北極に近いアラスカや日本にも生息していたことが分かっています。新たな発見があるたびに新しいことがわかり、そしてまた新たな謎が出てくるのがティラノサウルス研究なのです。
本書では、第一部「ティラノ軍団の現在」で、ティラノサウルス類全種についての最新研究を紹介。第二部では、ティラノサウルスの特徴や生態について解説していきます。ティラノサウルスという一つのグループを扱ったものとしては、圧倒的な情報量を誇る本書では、ティラノサウルスだけでなく、恐竜研究の最新の歩みをつぶさに辿ることができます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
恐竜と言われてもなんとなくしか想像つかなかったのがすこし解像度があがった ティラノサウルスも科があって一種類じゃなくいろんな仲間がいたのも知らなかったし
日本からも仲間の化石が出ているようなのでこれからが楽しみ
Posted by ブクログ
【きっかけ】
息子の夏休みの宿題のために恐竜図鑑を探す過程で見つけた本だった。同時期に新潮文庫から出ている「恐竜まみれ」を読んでいて自由研究用の本には小学校6年にもいいかなと思ったのだ。ただし、夏休みが24日終わるので買ったタイミングが遅かった。自分用にパラパラめくるだけでも面白い本となってしまった。
【感想】
ティラノサウルスの最新の研究成果と知見をもとに、分かりやすく分類し解説している一冊。著者の恐竜愛があふれる一冊だ。2010年が研究のターニングポイントとなってそこからの10年の研究成果をもってさらにアップデートしている内容だが全く専門臭さがなく、恐竜研究の全体像を捉えたものになっている。知的好奇心をそそる内容だ。
確かにティラノサウルスと言っても長い歴史があるわけで進化の背景と特性をきちんとまとめてあり身体的特徴や生活、捕食活動、走る動作あらゆる角度から解説している。まさしく解体新書だ。面白いと思える専門書なので★4つ。
Posted by ブクログ
日本における恐竜研究の第一人者が2010年以降のものを中心に超肉食恐竜といえるティラノサウルスにまつわる最新研究を紹介。具体的には、ティラノサウルスの仲間の分類、ティラノサウルスの食べ物、ティラノサウルスの成長と老化、ティラノサウルスの身体能力、日本におけるティラノサウルス類など。
恐竜好きの1人として、子どものときに得た知識からだいぶアップデートされたティラノサウルスの最新研究の内容を知ることができ、とても興味深かった。ただ、分類の話など、一般人向けとしてはちょっとマニアックすぎる気はした。
Posted by ブクログ
ティラノサウルスの研究で分かってきた内容や最近の論文で話題になった研究を紹介。あと1年発刊を待ってくれていれば、2023年に歯の研究からティラノサウルスに唇があったのでは…との説の解説ができたかも。歯が剥き出しの現在の復元から大きく印象が変わる可能性がある。ティラノサウルスには進化的に3段階に分けられ、最も進化したティラノサウルスは北米のみで、サイズ、嗅覚などの感覚、噛む力など、どれをとっても地上最強だったが、白亜紀の最後も最後に現れた。最も進化したグループはタルボサウルスやダスプレトサウルス、アルバートサウルス亜科にはゴルゴサウルスがいた。聞いたこと無い恐竜はカタカナ多すぎて流し読み。アロサウルスとかは時代も違うが系統も違っており、頭骨や歯の化石で種類まで分かるのかな。意外と成体のティラノサウルスは鋸歯がなく、噛む力が強いので大きい歯を使って骨まで砕くまさに怪物的なパワータイプだった模様。毎年新たな発見もあり、いつか卵の化石なども見つかることを期待。
Posted by ブクログ
永遠のラスボス、チラノ(ティラノサウルス)との初遭遇は石森章太郎のアニメ「原始少年リュウ」だったような…。凶暴さと知性を併せ持つ圧倒的存在感が子供心に刷り込まれました。1971年の頃でした。それから時が巡り1993年、スピルバーグの「ジュラシック・パーク」で再びまみえた時もティラノサウルスの禍々しさは不変でした。アニメの二次元からCGの三次元にアップデートして、怖さも進化したのかもしれませんが、悪役大スター感はますます輝いていました。恐竜図鑑の表紙もティラノサウルスを表紙にするかしないかで売れ行きが全然違うとか。まさに人気恐竜のトップの座は不動ですが、しかし一方、ティラノサウルスは現在進行形な存在なのです。ここ10年ぐらいでどんどん更新される最新のティラノサウルス研究をわかりやすく教えてくれる本が本書です。アニメや映画ではティラノの前にティラノ無し、ティラノの後にティラノ無しといった突出したイメージを持ちますが、一軍、二軍、三軍を含むティラノサウルス軍団という大きな存在であること、それが時間の流れで繋がっていること、そして世界的な分布を生んでいること、その研究によって一軍、二軍、三軍のメンバーチェンジが頻繁に行われていること…驚きです。ティラノサウルスの身体の表面の羽毛の話とか、共食いはあったのかなかったのか、とか最新の研究論文を紹介してくれる、だからまだ確定していない推論もどんどん提示するライブな解体新書です。なんかテンション上がって上野の森美術館でやっている「特別展 恐竜図鑑」に行ってしまいました。そこは発掘された骨からどんな生物を想像するのか、間違えも含めた科学と美術の間の往復運動の展覧会でした。人は恐竜に何を見てきたのか?というテーマはまさに本書の,人はティラノサウルスに何をみてきたのか、と重なると思います。梅雨明け前の猛暑の中で、おっさんのちょっと早い夏休みワクワク読書、第一弾となりました。