【感想・ネタバレ】道徳および立法の諸原理序説 下のレビュー

あらすじ

「政治と道徳の学問の土台をなす真理は、数学のような厳密な学問的な調査によらなければ、そして比較を絶するほど複雑で広範な調査によらなければ、見いだすことはできない」。序文に記されたこの言葉通り、本書全体の三分の一を占める長大な「第16章 不法行為の分類」においてベンサムは人間の不法行為のありようを執拗に追跡し、精緻な考察を繰り広げていく。そこに映し出されるのは、科学に立脚して立法と道徳を問いなおし、完全なる法体系を打ち立てんとするベンサムの強靱な意志である。幸福とは、人間の道徳とは、そして法の目的とは──。哲学史に燦然と輝く重要古典、待望の完訳。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 立法の全大系を、道徳も含めて、整えようとの試みには、途中で「挫折」しているものの、迫力がある。フランス革命以前にこうした試みに挑む先人がいたことに敬服する。しかも、その内容は、若干、宗教的なものの扱いに関しては違和感をぬぐえないが、現代でも十分通用する人間の本質に基づいた分析から行われていることに驚かされる。

0
2022年12月04日

「学術・語学」ランキング