あらすじ
卑弥呼はヤマト王権の初代大王、その王都は奈良盆地東南部の纒向(まきむく)にあった!
盟主不在の「倭国乱」ののち、3世紀初めの「卑弥呼共立」によって「新生倭国」=ヤマト王権は誕生した。考古学の成果と中国史書の精読から導き出された、この国の国家形成史の新しい枠組み。
◆纒向遺跡はいつ出現し、どのような特徴をもった特別な遺跡なのか? 詳細に解説
◆王権はのちに畿内と呼ばれる地域の勢力から誕生したのか? 新しいストーリーを提示
◆卑弥呼はそもそも「邪馬台国の女王」だったのか? 彼女はどこに眠っているのか? 箸墓古墳の被葬者はいったい誰なのか? 最新の研究成果にもとづいて推理
本書の構成(目次)
第一章 纒向遺跡論/第二章 日本国家の起源を求めて/第三章 王権誕生への道/第四章 王権の系譜と継承/第五章 卑弥呼共立事情――私の邪馬台国論/第六章 卑弥呼とその後
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Posted by ブクログ
寺沢薫氏による邪馬台国や卑弥呼についての見解を知ることのできる一般書。同著者による『王権誕生』(講談社)よりも、さらに詳しい内容となっている。
先行研究についての言及が多く、「邪馬台国」について知りたい人が最初に読む本として勧めることができる。
考古資料と文献によって詳細に論述された、倭国の首都としての邪馬台国は畿内にあったという見解は大いに説得力がある。
『日本書紀』と纒向遺跡の関係性、卑弥呼・台与の王権がその後どうなったかという問題にも切り込まれていて興味深い。
長年の考古学の蓄積を感じられる一冊。
Posted by ブクログ
奈良・纏向遺跡の遺構・遺物を通してヤマト王権の王都としての性質を明らかにするとともに、各地の考古資料と中国史書を元に卑弥呼共立にいたる国家形成過程を論ずる内容。異論の検証から見える考古学の論点の数々も興味深かった。
Posted by ブクログ
纒向遺跡の特徴、ヤマト王権最初の大王都。
石塚古墳・矢塚古墳・ホケノ山古墳→勝山古墳・東田大塚古墳→箸墓古墳。
纒向型前方後円墳、全長:後円部径:前方部長=3:2:1
楯築墳丘墓の特殊器台。
北部九州の「ナ国」連合と「イト国」連合。
1c末から2c末、イト倭国?
後漢王朝の衰退と倭国乱、公孫氏の台頭と帯方郡の設置。
公孫氏の外圧による、倭国乱の収束。
イト倭国とキビ、イヅモ、コシ、タニハ、尾張。
3cはじめ、倭王「卑弥呼共立」=ヤマト王権の誕生、新生倭国。
Posted by ブクログ
考古学が遺物の情報を積み上げてどこまで歴史を再現できるのか、びっくりするぐらい地味な作業を膨大に積み上げてるけど、それでも限界があるんだなという印象。