あらすじ
昭和四十三年、夏至の早朝、在日韓国人夫婦の間に一人の女の子が生まれた――。家族のルーツ、両親の不仲、家庭内暴力、苛烈をきわめた学校でのいじめ、そして自殺未遂……。家庭や学校、社会との、絶え間ない葛藤と軋轢のなかで歩んできたみずからの姿を見据え、類いまれな“物語”へと昇華した感動の一冊。作家としての豊かな資質を示し、読者に生命の力を吹き込んだベストセラー作品、待望の電子化!
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Posted by ブクログ
なんか壮絶な話だった。
自伝だけど・・・。(この本だったよね?)
でもなんか救われた気がした。これ読んで。
救われる要素は微塵もないのに。
一回頭が壊れてももとにもどれるんだね。
柳さんの他の作品も芝居も観たことないんけど、(三月兎だっけ?)また自虐系だったら嫌だなと思って敬遠してる。
Posted by ブクログ
私はあまりエッセイを読まないのですが、柳美里さんの作品に熱中するようになったのはこの本からでした。
彼女特有の鋭利な文体と、少女時代の記憶。
幻想のようでありながらこれは真実であった、そう気づく度にぐっと惹きこまれていきます。
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柳さんのプロフィール的なことは何作か著作を読んでいて知っていたんだけど、改めてこういう形で読むと、「濃い」と思った。
家庭環境や学校でのいじめ、って箇条書きみたいにしちゃうと平たく感じちゃうんだけど、読んでる間、最初から最後まで薄闇の中で目を凝らしているような重苦しい感覚なのに、なぜだか軽快に読み進めることができた。
私も柳さんと同じく高校を中退してモラトリアムと言えば聞こえはいいけど何もせずにただ家に居た時期があった。
今はこうやって冷静に感想を書けるけど、きっとその時期に読んだら心が揺さぶられすぎていたんじゃないかと思う。特に前半。
Posted by ブクログ
柳さんのルーツのきれ端が見える自伝(私は“自伝”として読んだ)。
『ゴールドラッシュ』の舞台となった、巨大なパチンコ店のある黄金町で過ごした十代の一時期は、『ゴールドラッシュ』での風景描写を本作に投影したため、非道く心苦しくなった。
林真理子女史の解説は私の感じていた“柳美里”という作家を気遣う思いやりで充ち、なんだかとても愛おしい。
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昭和四十三年、夏至の早朝、在日韓国人夫婦のあいだに一人の女の子が生まれた—。家族のルーツ、両親の不仲、家庭内暴力、苛烈をきわめた学校でのいじめ、そして自殺未遂…。家庭や学校、社会との、絶え間ない葛藤と軋轢のなかで歩んできたみずからの姿を見据え、類いまれな“物語”へと昇華した感動の一冊。作家としての豊かな資質を示し、読者に生命の力を吹き込んだベストセラー作品
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『昭和四十三年、夏至の早朝、在日韓国人夫婦のあいだに一人の女の子が生まれた―。家族のルーツ、両親の不仲、家庭内暴力、苛烈をきわめた学校でのいじめ、そして自殺未遂…。家庭や学校、社会との、絶え間ない葛藤と軋轢のなかで歩んできたみずからの姿を見据え、類いまれな“物語”へと昇華した感動の一冊。作家としての豊かな資質を示し、読者に生命の力を吹き込んだベストセラー作品、待望の文庫化。』
◆自伝小説。柳さんは壮絶な人生を歩んできたとは知っていたけど、こんなにもずっと辛い状況だったんだなと、読んでいて胸が痛くなった。それで今は素晴らしい作品を書く人になっていることがすごいなと思う。
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もういいよっていう程までに、何から何まであけすけに書かれている。胸が苦しくなるから一度しか読んでないけど、売れずにずっと本棚に立てかけてある。柳さん、痛々しいけど、放って置けません。
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彼女はまさに同年代なのだが、あまりにも濃く詰まった人生で、何ともやるせない。だからこそ、多くの傑作を発表できたのだろうし、作家としては、与えられたものは多いんだろう。彼女に見つめられたら、私の薄っぺらさを見透かされそうで怖い。でも、心安らぐことはあるんだろうか。闘わずに生きて欲しい、破綻せずに、と思ったりもする。
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柳美里、著。在日韓国人として生まれた著者の自伝的小説。幼少時代から大人になるまでの彼女の生活が語られる。
壮絶と言うべきか、数奇と言うのべきか。いや、在日という環境を踏まえ、複雑というべきだろう。しかし話自体は思ったよりも在日の感傷に頼っているわけではなく、あくまで一日本人、一女の子としての陰鬱な生活をあっさりとした文体で淡々と語っている。だから自殺の場面も迫力には欠けるが、「無駄に感傷的にならない」ということならこういう描写もありなのだろう。
ただ、これは近年の日本の私小説全般に言えることだと思うが、特異な題材であれ日常的な題材であれ、特別変わった視点をとるわけでもなく淡々と物事を描写する意味はあるのだろうか。私はいつもこういった小説に、文章の上手いロボットが作った無言のシナリオ、といった印象を受けるのだ。
Posted by ブクログ
自分の人生を切り売りするような、読んでいて苦しくなる本。それだけ書くということに懸けているのかな、と思います。最近では、重いテーマを扱ったおはなしも淡々と書く小説家が多い中、この小説はドラマチックだなーと思いました。この人の作風か、時代か。
Posted by ブクログ
たいてい自伝小説には、自分の半生を皮肉に見つめる作者の視線が垣間見えるものだけども、柳美里の場合は、視点をぶらすことなく、淡々と自分の苦しみの半生を語っている。不安定な自己のルーツと家庭に翻弄されながら、生命を燃やす人間像は、正直読んでいて胸が苦しくなったがなぜか読むのをとめられず、2限分の授業をムダにして読んだ
どんな思い出にも結局は自分の主観による書き換えがなされていて、真実はどこにもない。といったふれーずが印象的
Posted by ブクログ
読んだ時期:2007年11月
柳美里の本が急に読みたくなって手にした作品。
自伝書なのですが、多くの影のある経験を負っていた方なのですね。
その心の傷を赤裸々に語っていて、読んでいて心が痛くなりました。
家族の崩れかけた絆、馴染めない学校、在日韓国人であったために受けた周囲の目等、私には理解できないほどの辛さ、苦しさでした。
Posted by ブクログ
あまりにも壮絶な自伝的小説。アイデンティティを獲得する為の行程(創作)は一生続いていくのか。文章としては稚拙な部分もまだあるがそれを補って余りある。
Posted by ブクログ
著者の自伝的エッセイ。作家にたどり着くまでの壮絶な人生が綴られています。どこまでが真実(現実?)なのかわからなくなるほど、えらいことになってました。カバーイラストのなごやかさとのギャップが激しすぎる。
Posted by ブクログ
小学生の時に母にすすめられて読んだ。それから暫く柳美里耽読していた時期がありました。おもしろかったです。
これは柳美里の自伝のようなものなのだけど、多分小説よりもおもしろい。
この前読んだ高田馬場〜は迷走している感じがしたなぁ…
Posted by ブクログ
自らの在日2世として生きた個人史をつづったエッセイ集。世界へと結びついてはいないが、『8月の果て』のプレリュードといっていいだろう。見開き外祖父「梁任得」を中心とした家系図も出ている。「私はなぜこんな早すぎる自伝めいたエッセイを書いたのだろう。過去を埋葬したいという動機はたしかにある。私が書いた戯曲の主題は<家族>であり、その後書きはじめた小説もやはり<家族>の物語からのがれることができなかった。p.268」「今年のはじめに、15歳のとき自殺を試みた逗子の海岸に行った。p.268」『8月の果て』のモデルとなった15歳で海に飛び込み自殺するナミコの年齢と同じ年齢である。