あらすじ
進路、競争、同調圧力、貧困・格差……。
気鋭の財政社会学者が贈る
未来をつくる君たちへの物語。
障害がある、ないにかかわらず、女の人も男の人も、
お年寄りも若い人も、すべての人が
お互いの人権や尊厳を大切にし、支え合い、
誰もが生き生きとした人生を送ることができる社会、
これを「共生社会」といいます。
本書では、小学5年生の主人公・愉太郎が、
日々の暮らしの中でさまざまな疑問と出合い、悩みます。
そして、生きづらい社会の中で、お互いに支え合うことの
大切さに気づいていく過程が描かれています。
母子家庭で育った著者の実体験に基づいた物語で、
社会のあり方を読者に主体的に考えてもらいたい
という願いが込められています。
自己責任社会から、頼りあえる社会へ。
誰もが安心して暮らせる社会を実現するために、
私たちにできることとは何か?
財政社会学者ならではのアプローチを大切にしながら、
子どもたちに生き方を問いかけ、
また親世代の大人たちにも気づきをもたらす内容です。
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
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このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
かなり刺さった。
小学生でも読める本だが、大人が読んだ方が考えさせられる部分は多いと思う。
自分が子どもだったときに「ふつう」だったことが、今や「ふつう」ではない。何が「ふつう」なのか、その「ふつう」を自分や他者に押し付けてないか。そういうことを一度立ち止まって考える時間が必要だと感じた。大人になるにつれて、そういうことにずいぶん鈍くなってしまったな、と……
そして筆者の後書き、「小学生の主人公は自分がなりたかった姿だ」というのは、何ともえぐられるものがあった。
・たとえ、大切な人がすっかり別人のようになっても、愛するその人の幸せを願う気持ちは、心の同じ場所にずっとあり続けます。それなのに、あわただしい毎日、生きること、暮らすことに必死な毎日の中で、私たちは、その場所をうっかり見失ってしまいます。ぼんやりしている間に、愛する人は消えてしまうかもしれないというのに……。どうすれば”ふつう"の日々の中で、この「大切な人の幸せを願う気持ち」の居場所を見つけられるのでしょう。
・気づかなかったことに気づく、この変化を私たちは「心の成長」と呼びます。「同じ風景」がある日まったく「ちがう風景」に変わる。それは心が成長したからこそ起きる変化です。
・同じような毎日がくり返される”ふつう"の日々は、勝利への道でもなければ、敗北への道でもない、と。なぜなら、「ゴールに着くこと」ではなく、「ゴールに向かって歩くこと」そのものが「生きること」だと思うから。ゴールだけを追いもとめる生き方は、「死んだように生きている」だけだと思うから。
・長い人生の中で、”ふつう"の日々の"ふつう"のできごとに「意味」を見つける愉太郎の生き方を、僕は、「ふつうに生きる」と名づけたいと思います。
・”ふつう”に生きるということーそれは過去をふり返り、いまをだきしめ、そのときどきの痛みや悲しみの中に「意味」を見つけながら、未来へと歩んでいく、そんな終わりなき旅なのです。
Posted by ブクログ
小学生の目線なのでとても分かりやすい書き方がされている。今の世の中の問題や、大人たちの心の冷たさなんかを感じられる話。その中でも、愉太郎のように、今を大切に、“ふつう”の日々を精一杯生きていきたいと思った。