【感想・ネタバレ】嘘のレビュー

あらすじ

これから少年に嘘をつく――。主人公は、かつて幼い息子を水難事故でなくした、絵本作家の里谷千紗子。彼女は父・孝蔵との間に確執があり、長いあいだ絶縁状態にあったが、独りで暮らす孝蔵が認知症になったため、田舎に戻ってしぶしぶ介護をはじめることになった。ところが、久しぶりに再会した旧友と町で飲んだ帰り道、旧友がひとりの少年を車ではねてしまう。幸い大きなケガはなかったものの、少年は記憶を失ってしまっていた。ただ彼の身体に虐待の跡を見つけた千紗子は、少年を自分の子供として育てることを決意するのだった……。ひとつの“嘘”によってはじまった少年と千紗子の母子、そして認知症が進行する父親の三人の生活は、豊かな自然のなかで、しだいに新しい家族のかたちを育んでいく。しかし、そのひとときの幸せな生活にも、やがて破局の足音が近づいてくるのだった――。新進気鋭のミステリ作家が紡ぎ出す、感動&衝撃のストーリー。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

息子を水難事故で亡くし、離婚。実父が認知症を患い仕方なく実家に戻る。友人と飲み、その友人が代行運転を頼まず飲酒運転をし事故。その罪を被る。ひき逃げは許せないが、事故にあった子を引き取り自分の子として育てる、一緒に父の介護をする、など主人公の千紗子の変化が予想以上だった。最初は亡くした子、純の代わりとして接していたが愛情が深まり実の親子と言うより同志のような絆で結ばれ、引き取った子、拓未が賢く思いやりのある子なのも含め、幸せな時間を過ごせ良かった。千紗子が自首したことにより拓未の人生も振り回されるが、結果オーライになるのは出来過ぎ。でもラスト1行で救われた。いつまでも、飲酒運転が引っかかるが、それでも読後感のいい話だった。

0
2025年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2024.06.30

嘘から始まったいびつな関係の「家族」。
その奇妙な組み合わせからやがて本物の家族のような絆が芽生え始める。
始めは自分の損益しか頭にない久江や、確執のある祖父を邪険にする千紗子に苛立ちつつも、
拓未の存在により次第に丸くなっていく関係性が心地よく、気づいたら最後まで読み切っていた。
実の子でもないのに、自分が罪を被ってでも守りたいと思える千紗子の母性には感動した。

0
2024年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

みんな嘘つきまくり。
孝蔵は娘に気付かぬふり
千紗子は拓未を子供にするための嘘
久子は飲酒運転事故隠蔽
犬養夫妻は虐待を隠す嘘
拓未は記憶喪失してるふり
拓未が嘘ついてるなーというのはなんとなくわかってしまったな。

久子の嘘はちょっと…
いくら千紗子との利害と一致しているとはいえ、ひどい、人間性疑う。

嘘に塗れたお話。
嘘を現実にしてしまうほど、千紗子と拓未はお互いが必要とし合っている。消したいくらい辛い過去の記憶を抱いた2人。なんの繋がりもない親子は幻想のまま、どこまで親子でいられるのかな。

一方認知症の記憶障害は悲しい。
もともと素直じゃない性格が故、娘を想う本心を伝えられないまま、その記憶もなくしてゆく。消したくない記憶も想いも無念にに消えてゆく。
でも、なんだかんだで娘に介護してもらうなんて幸せ。


0
2025年05月21日

「小説」ランキング