あらすじ
これから少年に嘘をつく――。主人公は、かつて幼い息子を水難事故でなくした、絵本作家の里谷千紗子。彼女は父・孝蔵との間に確執があり、長いあいだ絶縁状態にあったが、独りで暮らす孝蔵が認知症になったため、田舎に戻ってしぶしぶ介護をはじめることになった。ところが、久しぶりに再会した旧友と町で飲んだ帰り道、旧友がひとりの少年を車ではねてしまう。幸い大きなケガはなかったものの、少年は記憶を失ってしまっていた。ただ彼の身体に虐待の跡を見つけた千紗子は、少年を自分の子供として育てることを決意するのだった……。ひとつの“嘘”によってはじまった少年と千紗子の母子、そして認知症が進行する父親の三人の生活は、豊かな自然のなかで、しだいに新しい家族のかたちを育んでいく。しかし、そのひとときの幸せな生活にも、やがて破局の足音が近づいてくるのだった――。新進気鋭のミステリ作家が紡ぎ出す、感動&衝撃のストーリー。
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Posted by ブクログ
息子を水難事故で亡くし、離婚。実父が認知症を患い仕方なく実家に戻る。友人と飲み、その友人が代行運転を頼まず飲酒運転をし事故。その罪を被る。ひき逃げは許せないが、事故にあった子を引き取り自分の子として育てる、一緒に父の介護をする、など主人公の千紗子の変化が予想以上だった。最初は亡くした子、純の代わりとして接していたが愛情が深まり実の親子と言うより同志のような絆で結ばれ、引き取った子、拓未が賢く思いやりのある子なのも含め、幸せな時間を過ごせ良かった。千紗子が自首したことにより拓未の人生も振り回されるが、結果オーライになるのは出来過ぎ。でもラスト1行で救われた。いつまでも、飲酒運転が引っかかるが、それでも読後感のいい話だった。
Posted by ブクログ
結末が予想できて読み進めたけど、面白かった。お父さんの嘘には感情が揺さぶられた。登場人物達の小さな嘘が積み重なって取り返しのつかない事件になったけど、最後はハッピーエンドだった。
Posted by ブクログ
初めての作家さん。前に読んでいた本の後ろに紹介されていて読みたいと思った。
老人介護に児童虐待とwで問題を盛りすぎかなとも思ったけど、読んでいて気にならなかった。主人公の女性が犯してしまう罪は必ず暴かれるだろうとはらはらしたが、最後にあんな事件を仕込んでくるとは!拓未の嘘は法廷でばらして欲しかった。そうすれば減刑されたのでは?涙腺緩みました。
Posted by ブクログ
常識的に考えると、設定に無理があるかもと思える部分もあったが、それが気にならないくらい良かった。良かったというか、人の想いに、いろいろとこみ上げるものがあった。
メインの登場人物達に幸せになってもらいたい。
Posted by ブクログ
同じ出版社の本の巻末広告で知ったので読んでみたのですが、大当たりでした。様々な「親子愛」のお話です。広告では「2度読み必至」とあったのでやや構えて読んだんですけど、その必要はありません。でも、オススメの1冊です。
Posted by ブクログ
かつて幼い息子を水難事故で亡くした経験を持つ娘、認知症の父、実の両親に虐待され記憶を失った少年。"嘘"をきっかけに始まった三人の生活はしだいに家族の絆を育んでいくのだが……。
ミステリという形式だからこそ可能な”家族”の再生の物語に涙、涙。テーマと仕掛けとの融合は見事としか言えない。傑作!!
Posted by ブクログ
認知症の父との望んでいなかった生活。じゅんとのいけないとはわかっているものの、自分の思いを突き進んでしまった母。
虐待、いじめに対して、全く罪悪感のない人たち。
どれも考えさせてられる内容でした。
終章の最後は心に、ぐっときました。
Posted by ブクログ
前半は情景の描写が細かくて読みにくかったけど、中盤から後半にかけてどんどん物語に引き込まれていった。
認知症がどんどん進行していく父の様子がリアルで、それと向き合わなければいけない家族の苦悩や残酷さを痛感した。でも父は心の奥底では娘と一緒に過ごせてる時間を大切に思ってるんだろうな。
父ってこんなにも不器用なものなのかなと。
洋一が拓未として人生をやり直す、強い意志に涙が溢れた。虐待やいじめのシーンは心が痛かったけど、立ち向かう拓未の姿がかっこよかった。
それは千紗子が覚悟と愛情をもって育てたから。
親が子どもに愛を与えることの大切さを改めて痛感した。
老いや虐待などの社会的なトピックから派生して、色々なことを考えさせられた
Posted by ブクログ
嘘をつく事はいけないこと!幼い頃からそう言われて来た
でも、嘘をつく事はいけない事ではない、優しさでもあるとこの本を読んで感じた
結末の嘘は、やられたと思った
Posted by ブクログ
2024.06.30
嘘から始まったいびつな関係の「家族」。
その奇妙な組み合わせからやがて本物の家族のような絆が芽生え始める。
始めは自分の損益しか頭にない久江や、確執のある祖父を邪険にする千紗子に苛立ちつつも、
拓未の存在により次第に丸くなっていく関係性が心地よく、気づいたら最後まで読み切っていた。
実の子でもないのに、自分が罪を被ってでも守りたいと思える千紗子の母性には感動した。
Posted by ブクログ
(内容紹介)
認知症の父と、その父を憎みながらも介護をする娘。その家に、一人の少年がいっしょに暮らし始めた…。
友人とその家族を救うためについた嘘から始まり、自分を救い、一人の少年を救うためにつき続ける嘘、その結果はどうなるのか。
紆余曲折がありながらもやがて訪れる安穏に安堵できる作品。
Posted by ブクログ
初読の作家さんです。優しい嘘、自分を守ろうとつく嘘、嘘に気が付かないふりをしてくれる人、認知症で記憶が曖昧になっていく父。人を殺めて良いわけはないけれど。人間だもの。他の作品も読みたくなりました。
Posted by ブクログ
映画化されたとどこかで見て、読んでみようと思った。読んでみると一気に読み進めるタイプ!
ページ数も多くないので1日で読めた。
わかりやすい話の展開で、感動するのでオススメ。
Posted by ブクログ
幼馴染で、現在は役所の福祉課で働いている野々村久江から、父親の認知症が進んでいると知った里谷千紗子は、林に囲まれた父の家に、世話をするために帰ってきた。しかし元々確執があった者を介護しなければならない苦痛もあり、少し羽を伸ばして久江と飲みに行った帰り道、久江は男の子を轢いてしまう。最初は罪を隠ぺいするために男の子を連れて帰った2人だったが、男の子の身体に残された痣や、両親の様子を見て男の子が虐待を受けていることを知った千紗子は、男の子の記憶がなくなっているのをいいことに、このまま自分の子供として育てていこうと決意する。
確かに千紗子が行ったことは犯罪だけど、このまま2人で問題なく暮らしていければいいのにと思ってしまうほど、感情移入して読んでしまった。拓未がまた、聡明で素直でなんて可愛らしい。最後のオチは、たぶんそうなんだろうなと思っていたので特に驚かず。この生き残るための「嘘」は許されていいはず。
Posted by ブクログ
読み始めは、なんかツタナイ文章表現だなー、と感じた。しかし、このストーリーと登場人物にあわされているのか、ひきこまされてしまった。最後は、目頭が熱くなり、人間の感情の素晴らさに感激しました。
Posted by ブクログ
誘拐は犯罪。でも、もしそれが救いの行動だとしたら?
愛する息子を亡くした女性。認知症の父親。二人の間に現れた記憶喪失の少年。それぞれの想いが重なって、互いに影響しあいながら生きていく姿がリアルだった。
虐待、誘拐、介護、親子……さまざまな問題にすこし考えさせられた。
Posted by ブクログ
子どもを事故をなくした喪失感から抜け出せない女性が、疎遠だった父の認知症が進み、介護のために田舎に帰る。
事故で救うことになった記憶喪失の男の子の存在が彼女の痛んだ心を救っていく。擬似的な家族の温かさが、ぎくしゃくしながらも生まれていく。
人にとって家族の存在とは何?
優しさ、自分も周囲も救うための「嘘」って悪いことじゃないと、思わせる。
自然の中での暮らしがもたらす温み、人とどのように心を通わすことが幸せなのを考えさせられ、認知症の人の心理や殺伐とした子ども虐待遺棄の問題も浮かび上がり、息を付く暇なく読み上げた。
Posted by ブクログ
認知症の父と、その父を憎みながらも介護をする娘。その家に、ひとりの少年がいっしょに暮らし始めた…。ひとつの嘘から生まれた物語。
拓未と千紗子と孝蔵の3人の暮らしが、ずっと続いて欲しいなっと願いながら読み進めました。明るい話ではないので、途中読むのが辛くなってなかなか読み終わりませんでした。ただ読後感は悪くないです。
Posted by ブクログ
みんな嘘つきまくり。
孝蔵は娘に気付かぬふり
千紗子は拓未を子供にするための嘘
久子は飲酒運転事故隠蔽
犬養夫妻は虐待を隠す嘘
拓未は記憶喪失してるふり
拓未が嘘ついてるなーというのはなんとなくわかってしまったな。
久子の嘘はちょっと…
いくら千紗子との利害と一致しているとはいえ、ひどい、人間性疑う。
嘘に塗れたお話。
嘘を現実にしてしまうほど、千紗子と拓未はお互いが必要とし合っている。消したいくらい辛い過去の記憶を抱いた2人。なんの繋がりもない親子は幻想のまま、どこまで親子でいられるのかな。
一方認知症の記憶障害は悲しい。
もともと素直じゃない性格が故、娘を想う本心を伝えられないまま、その記憶もなくしてゆく。消したくない記憶も想いも無念にに消えてゆく。
でも、なんだかんだで娘に介護してもらうなんて幸せ。
Posted by ブクログ
男性作家さんなのに、作風が女性っぽいなという感想を持った。
子どもを喪った母親にとって、子どもに対する異常な母性と執着は、本当にある。
自分が護らなければ、と躍起になる。
認知症を患った父親とのやり取りや関係性も、妙にリアルだった。
映画化されて当然、と思わせられる作品だった。
Posted by ブクログ
主人公の、子どもに対する接し方や表現が過剰で気持ち悪かったのと、最終章の子ども目線の表現もやっぱり気持ち悪くて。
ハッピーエンドの家族の話として読み終えることが出来なかった。
認知症の父とのくだりが長く、全てが必要不可欠なエピソードだったのか?と思ってしまい、題材として分けた方が良かったのではと思ってしまいました。
最後の1行は、やっぱりそう来たか。と読めてしまった。
Posted by ブクログ
2章を読み終わるまで、あーちょっと失敗したなぁ〜と思ってしまって。あまりにも 傲慢というか自分勝手というか そういう気持ちが 蝕まれるような展開で夜に読むのはダメだなとページを止めたりして。その後は 大丈夫かなぁ〜 ワキガ甘いんじゃないか?と こっちが心配するくらいの 展開で〜。裏切りあるのか?恋愛でちゃうのか?とかゲスの勘繰りしちゃいましたよ。ラストに向けて 急展開は ちょっと 急ぎ過ぎじゃないか?と思わないでもない。ラストの1行、やっぱり こう来たか!は 予想どおりの終わり方でした。他の著書も読んでみようかな。