あらすじ
「小春日和のような穏やかな暮らしを一変させた妻の入院、そしてあまりに唐突な末期ガン宣告。それは私にとって、すさまじい木枯らしの日々の始まりでした」。老年期のとば口でたったひとりの家族を失ない、やがて深い孤独と後悔から体調を崩し、しだいにうつ状態へと落ち込む。元NHKのお天気キャスターとして人気を博した著者が、伴侶の死、自殺未遂、精神科入院を経て回復するまでの痛切な日々を率直に語り、反響を呼んだベストセラー。
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Posted by ブクログ
自分がうつ病になって、どのような本があるかを調べている中で気になった本。
奥さんが亡くなったことで堰を切ったようにいろいろなことが倉島さんの心身に起こり、とてももがき苦しんだことが書かれている。
数十年にわたって内面で苦しんでいたものが、一気に外に出てきたようだった。
「倉島さんに比べたら、自分はまだ軽い方かもしれない」と思ったのが正直な感想だ。
倉島さんはNHKで見たことがある方で、テレビで気象解説をすることを専門にしていると思っていたが、もともとは気象に関する研究が主業務だったようだ。
そのせいか、文章の端々に理系的な考え方が見えてくる。
自分も数学を専門に勉強していた典型的な理系なので、共感できる個所が多かった。
タイトルの「やまない雨はない」は、まさに理系的な考え方が表現されたものだと、本文を読んで感じた。
ひとつ印象的だったのは、家計や保険契約の管理などのすべてを任せていた奥さんに先立たれてしまったということ。
我が家では、その管理は夫である自分が取り仕切っている。
万が一、自分に何かがあっても家族が困らないようにしておかないとと強く思った。
Posted by ブクログ
情けない部分、ダメな部分をさらけ出してくださり、頭が下がる。夫人との愛の記録であり、一種の懺悔録でもある。壮絶な物語だが、ときおりはさまれる気象へのたとえに随分救われた。
Posted by ブクログ
大切な人を亡くしました。
本の好きな人でした。彼女の存在は私にはとても大きく、勉強嫌いで、ついでに活字嫌いだった私に、本という素晴らしい世界があるのだと教えてくれたのも彼女です。
彼女が去って、暫くは途方にくれていました。このままいつまでも途方にくれているわけにもいかないと、痛む心を抑えながら遺品を整理していたらこの本が出てきました。
何箇所か、本の端が折られてありました。本を大切に扱う彼女からはとても考えられない行動だと驚きました。
折り目のついてあるページをひらくとラインないくつか引かれていました。私へのメッセージでした。
もうすぐこの世を去ると覚悟していたのでしょうか。彼女らしいやりかたに私は救われました。
Posted by ブクログ
最愛の人の喪失、うつ病、精神病院への入院。死ぬことばかりを考えて生きる毎日のしんどさは痛いほど共感できた。
わたしのうつ病は一過性ではなく慢性的なものになりつつあり、診断を受けてからは6年を過ぎたので、なかなかどうして、やまない雨はない、とは思えないですが、それでもずっとどしゃ降りの雨が降り続けているわけでもなく、曇ったり一瞬の晴れ間があったりすることはあるので、そういう意味ではたまには雨もやんでいるのかな。
Posted by ブクログ
元気象庁の職員で、NHKのお天気アナだった著者。
奥さんがガンで亡くなり、自身もうつ病に。
そこからの苦闘の回復の手記です。
今はまさしく小春日和の日々とのこと。
やまない雨はないのだ、と信じたい。
Posted by ブクログ
各チャンネルにたくさん出てくる気象予報士がまだ
今のようにバラエティにとんだ解説をする時代のまえから倉嶋さんはNHKで季節の話など優しく解説していたのをよく見ていた 優しい性格が滲み出ていてその時間を楽しみにしていたのを覚えている
奥様は苦労してされたんだろうな と推測できる
仕事では活躍していた倉島さんだが、奥様の死期が迫ってきた時に 自分が1人になって困るとかそういう理由で泣いてしまうのはうちもたぶんあてはまる気がする。とても自分本位で子供っぽい。
でもそれを自覚して反省もしている文章。
Posted by ブクログ
とても厳しい人生を生きた筆者の自伝的な一冊。妻が重い病気になりつつも、自分も重い病気になるという究極のアンラッキーだが、自分にもそれは起こり得る未来として読み進めた。
純愛です!感動してください!というごり押しではなく、人間の弱く汚らしい一面もありありと描かれているので、本人の病気に加えて周囲の苦労もよく理解できた。ただ、まあこれはわりとお年を召した方の立場で描かれているので、今の人の価値観とは少しずれるところはあるかもしれない。そういうことを前提に読む必要はある。
うつは治るということ、薬物での治療もちゃんと効果はあるということ、うつ病の人にとってはこういうちょっとした情報でも希望に見えるだろう。