あらすじ
次々と話題の新人を輩出する大藪春彦新人賞、第6回受賞作!
●今野敏 選評(抜粋)
語り口のうまさに圧倒され、受賞作に推すしかないと思った。
●馳星周 選評(抜粋)
舞台設定、キャラクター造形、ストーリー展開、文章力、どれをとってもプロの作家顔負けの上手さでケチをつける隙がない。
●徳間書店文芸編集部編集長 選評(抜粋)
オーソドックスなネタに、スワッピングという変化球をうまく掛け合わせている点が見事です。
●あらすじ
蟬の鳴き声が響いている。
女郎のおさきは楼主に呼ばれ、内所の障子を引き開けた。
そこにいたのは見知らぬ顔の若い侍。
用向きが読めないおさきに、藤岡と呼ばれた侍は頭を下げた。
「おさきとやら。厄介をかけるが、よろしく頼む」
藤岡の敵を討つため、おさきは仮初の夫婦を演じることに――。
※受賞作のほか、選評および受賞の言葉を収録
感情タグBEST3
すんなり読める
新人賞受賞作ということであるが、新人らしくない、しっかりとまとまった作品である。ストーリー展開も無理なく引っかかりなく進んでゆく。あまりにも予想通りなので、その点で物足りなさを感じるところもあるが、よくできた作品だと思う。
さきがとてもいとおしい
話にまとまりがあり、文章も読みやすくサクサクと読めた。主人公のさきは頭がよく、とても愛らしく魅力的に描かれているが、少し出来すぎか。結末は何となく想像できたが、まあこれも短編ならではのことと思う。