あらすじ
小学生五年生の晶と高校生の達は、仲良しな兄弟。物知りで絵が上手く、面白いことを沢山教えてくれる達は、晶にとって誰よりも尊敬できる最高の兄ちゃんだ。でもそんな兄ちゃんは、他の人から見ると普通じゃないらしい。晶以外の人とのコミュニケーションが苦手で不登校だし、集中すると全力で走り出してしまう癖があるから。第11回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。温かさと切なさが胸を打つ、人と人との関わりの物語。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
絵が上手で物知りで不登校でコミュニケーションが苦手な高校生の兄。小学生の晶は他人から兄が「普通じゃない」と評されたことに戸惑う。
自分の中の一番弱い部分を刺激されたような、心の中のあれこれが強く掴まれたような感覚。晶が必死に考える姿に感情が渦巻く。
Posted by ブクログ
メインの話ではないけど、
入り口が暗くて怖いと有名なCDショップの地下への階段を降りる時、背後から撃たれないように友達のシンジュとランドセルとリュックをそれぞれお腹にかかえて背中合わせになって移動するとか、
自分が小学生の時ならやっていたであろう描写がちょいちょい出てくるのでフッと吹いてしまう。25年ほど前ネットで読んだステッグマイヤー名倉さんのOtearai Web(知ってる人居てるんかな)を思い出した。
シンジュがほんとうにいい奴で、この友達が居て良かったよな…と思う。
Posted by ブクログ
5年生の晶は高校生の兄、達が大好き。兄ちゃんは絵が上手。晶の話したものを描いてくれる。兄ちゃんはいろんなことを知っていて、教えてくれる。兄ちゃんはこのところ学校に行っていない。兄ちゃんはこもった気持ちが溜まると言葉にする代わり、狭い部屋の中をどすどすと走り回る。
大好き。なのに友達に兄のことを知られたくない。そんな晶の気持ちの揺れにすっかり同調して気持ちがぎゅっと苦しくなった。すべてのエピソードが愛しくてみんな切ない。
Posted by ブクログ
とてもよかった。「人と違うことの苦しさ、素晴らしさを描いた物語」と帯にはあるけれど、そういう視点よりも、ただ家族でいたいという願い、それ故の悩みや寂しさ、傷つけてしまう・理解しきれない怖さ、通じていると感じるときの安堵など、感情の機微がとても丁寧に書かれている優しい物語でした。第一章の小学5年生の弟目線で進むのがまたよく、揺らいだり嬉しかったりする気持ちが素直で、自分の気持ちを素直に、焦って決めつけないで感じることって大事だなと思った。
Posted by ブクログ
お兄ちゃんのお父さんも、弟のお父さんも良い人ですね。
兄弟の仲も良さそうだし
お母さんだけは、なんか異質な気がするけど、気のせいかな
まあ、普通を求めてもダメだし、そもそも普通って何?って言われたら答えられないし
Posted by ブクログ
いわゆる世の中の物差しではかれば普通ではない達、高校二年生。
彼について、弟の晶からの、そして母からの眼差し。
本人だっていろいろ考えているだろう。同じように一緒に暮らす家族も考える考える考える。
答えなんてなくて、ただ温かさの残る物語。
Posted by ブクログ
面白かったし、刺さる言葉の数々に共感しまくったけど、朝子篇を読んで訳のわからない話になってしまった。
発達障害の許容って難しい。コミュニケーションを取れない相手との関係ってすごくストレス。弟の晶は兄の達とコミュニケーションできてるから感情移入できるけど、達がなんでも突っかかってくるタイプだったら晶も兄と関わろうと思わないんじゃないかな。
Posted by ブクログ
絵を描く才能に恵まれた青年と多感で素直な小学生の弟。いかにも常識的で神経質な母親と事なかれ主義の温厚だけど影が薄い父親。
素直な弟目線の話がいきいきとしていてよかった。
Posted by ブクログ
第1章は小学生五年生の晶(あき)の視点から綴られる。
大好きな兄・達(とおる)は大学生。
でも、学校は休んでいる。
なにか理由があるらしい。
晶の視点からは詳しいことは書かれていない。
達は衝動的に、必要以上に動く。
それは「普通」ではないという。
学校へ行けないのはそれが理由だろうか。
第2章は母・朝子の視点で描かれる。
息子たちを思う親心が痛いほど伝わってくる。
なぜ、達は不登校になったのか。
ルールに縛られているのは大人達も同じ。
コミュニケーションをうまく取れないひとを
晶の同級生は「かわいそう」と言う。
私自身はどうだろう。
知らず知らずの間に誰かを傷付けてはいないだろうか。
優しい物語の中にいくつものメッセージが散りばめられていた。
川上佐都さんの次回作が待ち遠しい。
Posted by ブクログ
読み始めは、抽象的な作品でわかりにくいのかな?
とかいじめなどが絡む少し気が重くなるような予感がして、何となくスローペースで読み進めていました。
でも、いつの間にかすっかり入り込んでいたようで、中盤あたりでは主人公の兄弟のやりとりに涙していました。わかりやすいハッピーエンドではありませんが、ずっと誰かの愛が溢れていて温かく、希望が湧いてくるとても素敵な作品だと思います。
Posted by ブクログ
「人と違うこと」って特別なことなのだろうか。
そうではないはず…ということを小学5年の晶から教えられたような気がする。
小学5年の晶には、高校生の兄・達がいる。
兄はとても絵が上手くて物知りで最高なのに学校には行っていない。
普通ではないと思われていて、コミュニケーションが苦手。
だけどとても兄が好きであることが、バイト先を心配して事前に確認しに行ったり、ということでもわかる。
そして、ずっと一緒に居たいという思いも伝わってくる。
第2章は、母からの目線で描かれている。
親であるが故にわかってあげたい気持ちと上手くいかない葛藤がよくわかる。
Posted by ブクログ
小学生のまっすぐさが愛おしい。
周りからどう見えても、
やっぱり自分の兄ちゃんが好きだよね。
でも、時々もやもやして、
そんな自分に戸惑って。
そうやっていろいろ知って大きくなるんだな。
Posted by ブクログ
久米絵美里さんの『天国にたまねぎはない』と少し似た設定。(あちらはいとこ、そしてすでに亡くなっている)期待していたので、少し消化不良な印象。
Posted by ブクログ
第一章、小学5年生の晶は高校生のお兄ちゃん達が大好き。
だけど、達は不登校になり家でよく絵を描いている事で、晶は友達に普通じゃないことを揶揄される。晶の葛藤が伝わってきた。
第二章は、母親目線で気持ちがわかるところもあるけど、なんで元だんなの家に達と一緒に引っ越したのか全然わかんない。
Posted by ブクログ
人とのかかわりが苦手らしい達は高校に通えなくなり家にいる。絵が得意で時々家の中を走り回ったり指を高速で動かすなどの癖がある。弟で小学生の晶の目線から日常が語られていく。晶は兄のことが大好きで兄の描く絵も好き。だけど、どうやら世間的には兄の立場は褒められたものではないようだし、晶の家族構成も不思議らしい...。
とりたてて大きな事件が起こるわけではなく少しだけ変わっている兄弟と家族が小学生の目線から(晶の目線も独特)語られ、最後だけ語り手が変わる。悪くなかったものの終わりが中途半端だし、最後の語り手にあまり共感しない。大人向けならいいけど、児童書でこの終わり方は納得いかないなぁと思って星を3つにしました。
Posted by ブクログ
異父兄弟である小学生の晶と高校生の達。
ちょっと変わっているけど、絵が上手くて優しいお兄ちゃんと思っていたのに、他人の目が入ったときに急に「変」で困ったお兄ちゃんに見えてしまう。
こういうことってよくあるよなと思った。
コミュ障や動き回ることなどが原因で不登校となってしまうのだけど、その後に元夫のいる秋田に達と母で引っ越してしまう。
この辺りから、話がわかったようなわからないような感じになってきた。
ちょっと尻すぼみな印象。
Posted by ブクログ
いわゆる発達障害になるのかな。
達は絵がとても上手い。でもコミュ障なところがある。
弟の晶はお兄ちゃんが大好き。でも、学校に行っていないことが不満。
頭が良くてよく気のつく男の子。
ちょっと消化不良。この家族はそれぞれどうなるのか?
Posted by ブクログ
正直な感想としては、星かなり4寄り。
穏やかで、優しい文章ですらすらと読めます
いろんな本で、普通ってなんだろうっていうテーマが書かれていますが、この本は穏やかな口調で普通ってなんだろうっていうことを疑問としています
大多数がそう思うのなら、それが普通
確かにそう思いがちだし、そうなることが多いこの世の中だけど
その人にとっての普通は大多数に決められるものじゃない
誰かを傷つけるようなことが普通だったら困るけどそうではないんだったら
この人にとって、これが普通のことなんだと受け入れられるような人になれたらいいなとも思います