あらすじ
JR東日本が約130社と取り組んだ新世代オープンイノベーションをまとめた1冊。生活者視点で「駅、まち、社会」を創る変える活動から探る事業開発のヒント
個別企業が単独で製品やサービスを開発するのではなく、複数の企業が業種を超えて主従関係なくオープンに共創し、社会・産業の枠組みを超えて新たな価値をつくことで課題解決に挑むN:N型(エコシステム型)のオープンイノベーションが台頭している。
技術革新、気候変動、人口減少、新型コロナ……ビジネス環境の急激な変化で、社会や産業システムの転換という視点からの商品・事業開発が求められているからだ。
自社だけでなく、関連プレーヤーとあるべき姿やビジョンを共有して進める新たな共創のかたち。
日本でこの先駆けとなったのは、2017年にJR東日本が開始した「モビリティ変革コンソーシアム(MIC)」の取り組みである。
交通に限らずITやXR、人流解析など、100団体を超える多様な産業界・アカデミア・地域を巻き込み、生活者の視点で「駅、まち、社会」の在り方を考える 活動である。
本書では、MICの成功事例から導き出された新共創スタイルの7つのポイントを解説。
今後さまざまな業種の事業戦略策定で不可欠となる新世代のオープンイノベーションである「エコシステム型オープンイノベーション」で大きな成果をあげるための指針を示す。
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Posted by ブクログ
日頃から、共創やオープンイノベーションというものがどんな利点があるのか、しっくり来ておらず疑問でした。
理論と実践を学ぶため拝読。
1. 共創のメリット
以下、理論の中で納得できた点
・得意分野を活かして大きい課題に取り組める。またそれのスピードが出る。
・もう技術や顧客視点ではイノベーションを起こす余地は小さく、次は社会課題ベースでのイノベーションが望まれる。社会課題が複雑化していて、1社だけで取り組めるものではない。
また、実際の取り組み事例を読んで、非常に良い技術検証・実験の場になっていることが理解できた。このような大規模な実験を素早くできる取り組みは稀有と感じる。
2.実践の中での疑問点
以下、理論ではわかるが実際は...と思った点。
・一応社会課題と紐づけているが、実際は参加企業がやりたい技術実験を、JRが場所を提供することでやっている取り組みであり、社会課題が起点ではない。
・『上質な実験ができること』によって生まれる、JR含めた参加企業各社のコミットメントの強さがこの取り組みの一番の特徴。(社会課題などは特徴ではないと感じた)これは共創の活動によるものというより、JRが場所を差し出したことによるもの。共創によって大きい課題が解決できるかは良く分からなかった。
・社会課題との紐付けはあるが、各社のやりたいことを抽象化・上位概念化して、ネーミングした程度の活動。課題の構造から考えるような真剣な取り組みはない?
3.本としての評価
全体的に踏み込んだ考察などがない。他のイノベーションや企業戦略に関する用語をそのまま使って、それ以上の説明がない(ダイナミックケイパビリティとその言葉の概要に触れるだけで、具体的な活動への言及が弱いなど)など、物書きとしての物足りなさを感じる。
実験の場としての有用さは恐ろしく高いと思いました。すごい取り組み。