あらすじ
朝、いつものように、母親がぼくの背中に触れる。いつものように「行ってきます」と答えて学校に行けばいい。それなのに、ゾクッと寒気がした。ぼくは自分の反応に驚く。
異変は続く。昼休み、母親が作ってくれた弁当を開ける。母親はぼくの世話をするのが生きがいらしい。おかずたちが、「おいしく食べて欲しい」とぼくにプレッシャーをかけてきて、一気に食欲が落ちる。でも、これはせっかく母親が作ってくれたお弁当。無理やり食べたけれど、気持ちの悪さは残った。いったい、ぼくはどうなってしまったのだろう?
中学生男子・タツキの自立心は、弁当作りへの熱意に変わる。冷凍食品を使えば、料理が得意でなくても弁当が作れるらしい。弁当作りの先輩・マシロにアドバイスをもらったり、幼なじみ・カホに相談に乗ってもらったりしながら、タツキは自分の弁当を作り続ける。しかし、母親には「タッちゃんはそんなにお母さんが嫌いなの?」、父親には「どうしてお母さんの仕事を奪うんだ」と責められ──。
両親が決めたことを守らないのは、わがままなんだろうか? 自分の弁当を作りたい気持ちは、どうしたらいいんだろう?
映画化もされた『お引越し』で知られる児童文学作家、ひこ・田中が描く、一風変わった中学生男子の反抗期。弁当作り、さらには洗濯まで!? ユーモアたっぷりに描かれる反抗期の心情、必読です!
【対象:小学校高学年以上】
感情タグBEST3
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今幼い孫もこの過程を辿るんだろう。その時には味方になってやらなければ。
親特に母親と息子の関係はこの段階で一気に変わらなければならない。親も承知して時には緩めながら手を貸すことだ。可愛い、可愛い、と言っているいまの溢れる言葉を何に変えよう。2025.11.10
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読みながらすごく考えさせられた。母親の気持ち、家族の関係、そして主人公の中学生男子の気持ち
私は母親だから同時に両方の気持ちがわかる
ただ、母親にもっと自分の気持ちをわかってもらうように話したらどうかと思った…
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自立とは何か
変化から始まる主人公タツの成長
愛と支配、男と女、役目と趣味……似たようで、全然違う、大切なことに気づける中高生に一番読んでほしい物語
きっと読み終えた後はお弁当を作ってみたい、洗濯物をしてみたい、と家事に対する興味が少しだけ湧く……かもしれない
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思春期、反抗期の子供が、どんな風に物事や親を見て、評価しているのかが、とてもよくわかる。
迷いながら考えながら、毎日を生きているんだろうなぁと、改めて思う。
親を、一人の人間として評価するところなどは、
あぁ、私もこの時期こうだったなぁと、思い出した。
子供の意思を尊重せず、この家のルールだから、自分が稼いだお金だから、と、権力で押さえつける感じも、あるあるだよなぁと、考えさせられる。
親の従物、親の支配から、子供が自立していく過程を、こんなにも繊細で詳細に言語化してもらえて、感謝です。
子供との関係性に、大きな影響を与える本でした。
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中学生のタツキは過保護な母から離れたい。これは反抗期なのか?母に触られたくない、部屋に入ってほしくない、その思いからお弁当を作ることにするが…。中学生男子にしてはちょっと思考が幼い気もするが、自立したいという思いが今まで見ようともしなかった色々なものに目を向けさせて、なかなか頑なな両親ともぶつかって話せたタツキはえらい。そのまま成長していってほしい。というかタツキの両親がおかしい。まあこんな家庭はいっぱいあるだろうけど、まさに支配されている家庭だったな。
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『あした、弁当を作る』
最初は子どもの反抗期の物語かと思った。
でも実際は、ジェンダーバイアスや夫婦関係の歪み、その中で「子どもとしての役割」を強いられる姿が描かれていた。
成長するにつれて違和感を抱き、自分の要望を伝える子ども。
それを「笑顔」でかわそうとする親。その笑顔が時に嘲笑に見え、ゾクッとする怖さを感じさせる。
人が立場を揺さぶられたときの反応は、親子関係であっても目を背けたくなる。
それでも子どもはできる範囲で抵抗し、自立していく。
私自身もかつては子どもで、今は親。きっと数年後に直面するであろう時期に、少し備えるヒントをもらえた気がした。
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自分で自分の弁当を作りたい、
自分の衣類を洗濯したい、
自立に向けて喜ばしい一歩を踏み出したはずの中学生が、両親の反対を受け、親の庇護という名目で、支配下に置かれ続けようとするお話。
息子といるときは息子に甘えて夫の悪口を言い、夫がいるときは夫に頼り、息子の言動を逐一告げ口する母親。
「わたしはいつもタッちゃんのことだけを考えて生きているのに。生きがいなのに」
ぼくは、母親が世話をするための人形だ。ぼくは支配されている。そして、父親はそうしろとぼくに命令している。
愛情ということばを隠れ蓑にした、ぞっとするような母親の言動と、傲慢かつ威圧的な父親、
その中で揺らぎながらも、自らの意思を貫こうと奮闘し、家族のあり方を受け入れ、前を向こうとする主人公が印象的でした。
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反抗期にいろんな葛藤があるんだなと思った。自分の時はそんなに深く考えてなかったので、これから迎える息子の反抗期に参考になると思った。
しかし、この父親と母親、両方ともろくな人間ではないのに、よくまともな良い子が育ったなって思った。
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子供が中学生の時、急に触られるのを嫌がって、手を払い除けられたのを思い出しました。部屋に入るのも嫌がって「ノックを5回して」って張り紙をされたことも。
反抗期だからって思ってたけど、この本を読んで子供の気持ちが少しわかった気がしました。
こちらは共働きだったけど、子供が失敗しないように、子供の先回りして世話を焼いたり口を出したり助言したりしてた。
なんでも自分でやってみよう、と思いついた龍樹くんはすごい。この先どうなっていくのか、楽しみです。続編はあるのかな?進学で一悶着起こりそう。
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まず、こんなに色々考えて、悩んで、実行する中学生のタツキに驚いた。そして、自分からやってみようとする子どもを否定するタツキの親に失望した。タツキのまわりには、お互いの話を聞いて認め合う友だちがたくさんいて、それぞれがちゃんと自分をもって考えて生活してて、なんか、いいなぁと思った。傲慢で、他人を認めないつまんない大人になるなよーーー!!
私は、ちゃんと子どもたちを認めて応援してあげられてるかな? って、でも、余分なコトしちゃうと、鬱陶しがらあれちゃうかな。
反抗期は成長期!!タツキがんばれーーー
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自分が、中学の時にこんなに自分のことや自分以外の事を考えていただろうか?
思春期を迎えた我が娘の気持ちもきっと、色々なんだろう。
1歩引いて、見て観察して今現在の思春期の我が子達を覚えておこうと思わせてくれた1冊でした。
時代錯誤な父親勢に違和感があるものの、まぁ未だにこういう人多いよね。
娘達からすれば、私もその1人かも…
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思春期の少年が親からの自立に目覚めるまでの話。少年の心のうちが描かれていて、自分にもそんな時期があったなあと懐かしく思う。また、息子を溺愛する母親や家事を見下してあたかも自分だけが偉いかのように家で振る舞う父親など、今まで当たり前と思っていた狭い世界が広がった時、何かおかしいと気づく。
それまで立派だと思っていた両親や周りの大人の言うことに矛盾を感じたり、実は子供っぽいのでは?と気付いてしまうあの感じ。そこから離れたいけど未成年という経済的弱者ゆえ動くことができないもどかしさ。そういった少年の心情にフォーカスした小説は初めてだったので新鮮で面白かった。
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弁当を作る
誰が?何のために?表紙の男性に見えるこの人?何歳?
など疑問たっぷりで読み始めた。主人公は中学生龍樹。=タッちゃん。
亭主関白モラハラな父と、専業主婦の母に重く世話されることに違和感を覚え、背中を触られるのもゾクっと不快になるお年頃。
本人はうっすらとした自覚を哲学者の様に考え自問自答。表情に出てしまうので、幼馴染のカホや友人のアヤとマモルに問われるがままに答え、悩み相談をする。
友人達との淡々とコミカルな会話とは真逆の家庭での父親と母親と息子の会話。サスペンスホラーの様でとても怖い。
自立のキッカケのツールとして弁当作りがあったわけね。
個人的には龍樹の気持ちがよく理解できる。なぜならば、私の母も同タイプであったから。
悩める中学生に読んでほしい。
#中学生
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中学1年生の龍樹は、仕事が忙しくてあまり家にいない父親と、専業主婦の母親との三人家族。ある日、いつもと同じように母そやから「行ってらっしゃい」と背中を触れられた瞬間、悪寒が走ります。母親には触ってほしくない…。それ以降、母親の「重たい」愛情から逃れたいという気持ちと、母親を邪険にしては申し訳ないという気持ちの間で悩む龍樹。
その「成長期」とも「反抗期」ともつかない自分探しの手段が、母親に頼りきりであった家事(特にお弁当づくりや洗濯)を自分でやる(=それにより母親の過干渉を減らす)という平和的な手段であることが、ほほえましく、またリアリティがあると感じます。
親にとってはいつまでも「かわいい子ども」でいてほしいところですが、実際には子供は成長して親の影響下から抜け出していくものですから、龍樹の良心のようにそのことを無視して「子ども扱い」を続けようとすればどうしても軋轢が生じるだろうと思います。一方で龍樹は「自分のことは自分でやる」と強がりつつも、お金を稼ぐことはできませんし、弁当と洗濯以外の家事は母親に頼らざるを得ません。ただ、その状況をきちんと認識して、自分の「いたらなさ」を考えているところは、とても中学1年生とは思えないくらい大人びていると思います。
龍樹のように深く考えてはいなくとも、「親がウゼエ」と感じている男子中学生・高校生は少なくないと思います。親の愛情(干渉)が嫌だ、と思ったときに罵詈雑言を浴びせて攻撃的になるのではなく、「自分の事は自分でやるから放っておいてほしい」という龍樹のような「平和的かつ建設的」な方法もあるのだ、というアドバイスの意味も込めて、ぜひ中高生に読んでもらいたい作品です。
Posted by ブクログ
依存、過干渉、支配、束縛、思春期、反抗期、成長期‥
盛りだくさんの一冊。
後半、行け行け〜〜っと心の中で叫びながらエールを送った。
この中1主人公、アッパレだな。
Posted by ブクログ
自立に目覚めた中学生が弁当を作り始める。友達と感情を共有しながら、母親、父親にその思いをぶつけていくけど、思いがすれ違う。自分や子供たちにもそんな時があったなと思い出すような場面もあった。あと、表紙の弁当を食べている主人公の絵が勢いがあってすごく良い。
Posted by ブクログ
自分の気持ちや行動をここまで考える反抗期があるのだろうか…。なぜ?って考えることって大事だよね。
父親への拒否感が強くてなかなか読み進められなかったけど、少なからずこういった思考を持ってる人はたくさんいるよね。「男だから」「女だから」じゃなくて、〇〇だから、って個人を尊重する世の中になればいいな。
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読み始めてすぐなんだか読み心地が悪く感じたけど、それは作品との相性が悪いとかではなく…きっと私自身が親(反抗される側)だからなのかと気付いた。そして読み進めて主人公の両親が頻繁に登場するようになると…その両親に対する違和感(本音を言えば、気味悪さ)に変わっていく。そして、最後は主人公の言動に頷きながら、応援していた。
子どもの権利条約が定められて久しい時代に、まだこんな感覚の両親っているのかなと感じたけれど、それは読者という客観的に見られる立場だからなのかもしれないとも思う。私も子どもを見守る立場。我が子が主人公のように気付き、考え、訴え、行動するようになった時は、同じように応援していきたいと改めて感じた作品だった。
Posted by ブクログ
思春期の男子中学生のお話。母親目線で読んでしまいドキッとした。作中の母親の気持ちも分からないではないけど、今の時代、それは子の自立をおおいに妨げる。ニートや引きこもりをつくりかねない。
主人公は聡明で、自分できちんと考え、さらに思いやりもある子。その独白が分かりやすく、ぜひ、中学生、親も読んでもらいたいなと思う。自分も子どもに対する接し方、考え方を気をつけよ…
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中学1年のタツキは、ある日、出がけに母親から背中を触られたことに、
ぞくりとしてしまう。
これをきっかけに、タツキは自分で弁当を作り、洗濯をし、
同級生と話し合いながら、自分に起きた変化について考え出す。
気がつけば、それはいつのまにか、家庭内の役割分担から
大人としての生き方にまで広がっていくって・・・
ついに、タツキは自分の家庭がバラバラであったことにも気づく。
でもタツキは言う。「それでも家族だ」と。
・・・あらすじを書けば、こうなるのだが・・・
魅力は、ここに至るまでのタツキを中心とする中学生のやりとり。
私の頃(アラカンですw)には、こんなに、しっかりした考えを持っていた子は
いたのかな?
昨今の子ども達は、大量の情報の中で生きているだけあって、
またプレゼンが授業の中に取り入れられているので
考え、意見を述べることになれているのかも知れない。
テレビのインタビューなどを聞いていても、いつの頃からか、
感心する受け答えが増えてきている。
ずいぶん話がそれたが・・・
この中学生の問題意識を、ちっとも飽きさせることなく、
つまり物語としてのおもしろさを喪うことなく
読ませるのが、ひこさんらしい。
タツキは、良い子すぎるキライガあるけどねw
できることなら、この家庭の数年後を読んでみたい。
タツキは、どう成長する?
友達との関係は?(マシロとカホとタツキとの三角関係勃発なんてねw)
そして何より、母ユキと夫との関係はどうなる?
イマドキ珍しく、昭和な夫婦関係で、しかも、とってもイライラさせられる二人。
読まなくても見えるような・・・
続編は、やっぱりタツキ主体でお願いします。
Posted by ブクログ
突然母親に触られることが嫌になったタツキ。自分でも理由は分からないため、戸惑う。母親から世話されることを嫌い、自分でお弁当を作ったり、自分の服だけ洗濯するようにしたり…
でも、そんな行動は「母親の仕事を奪うことだ」と両親から反対される。
思春期の反抗期って、本人も上手く言えない急激な変化が起こるもので、それが伝わらなくて乱暴な言動になったりするけど、タツキは冷静に自分の思いを見つめ直して、言葉にして伝えようとするから偉い。
タツキの父親のように、男女の役割が決まっているかのような価値観や、常に上から目線な態度は大嫌いだけど、そんなパワハラに負けじと対話をしようとするタツキの方が、十分に大人だと思う。
自分の子どももこんなふうに反抗期になったりするのかな、と将来のことを考えずにはいられない。子どもがそんな素振りを見せた時に、また読み直したいお話だった。
Posted by ブクログ
自分や家族の役割に疑問を持ち、向き合い成長していくたつきが誰よりも大人でした。
傲慢な父親が「言うとおりにしないならお小遣いを止める」と言ったことを、たつきは子供みたいで笑えてきた。というシーンがすきだ。
我が家にいる思春期終わりかけの息子。表向きは反抗期はなかったが、本人の中では複雑な心境のこともあったのだろうと改めて振り返ることになった作品。
Posted by ブクログ
学校に行く日には、「行ってらっしゃい。タッちゃん」と母親が背中を触る。
それが、ゾクッとしてしまい…
その日から母親が作ってくれたお弁当を目の前にして箸が動かない、隣りの女子は冷凍食品オンリーで自分で弁当を作っていると言う。
弁当を自分で作ることから始まり、母親が学校へ行っている間に部屋を掃除していることも嫌になり、洗濯も自分ですることに…。
父親が外で働き稼いで来ること、母親は家事をするのが仕事で中学生は勉強していればいいというのに反発を覚える中学生男子。
さて、彼はどこまで納得して自分のやりたいようにやれるのか…。
思春期男子には、あれこれと世話を焼く母親が重い、と感じるのかもしれない。
放っておいてほしいのに、どうしてそんなにかまうのか…。
自立したくてもできないジレンマがわかる。
いつかは、自分でやらなければならないのなら、やりたいと思うときにした方がいいと思う。
義務じゃなければ楽しいと思うのかもしれないが、それが毎日となると億劫に感じたりもする。
やりたくなくてもやってくれる人がなけりゃ、自分がやるしかないと思うと気が重いし、もっと他のことをしたいのに…と思う人もいるだろう。
ヤングケアラーの場合はそうだと思う。
どのような家庭なのかによって見方も変わってくるが、今はこんなふうに専業主婦で子どもにかまう母親は少なくなってきてるのでは…と思うのだが。
黙って反抗的な態度をとるよりも、やりたいことを宣言している中学生男子のタツキの今後が気になる。
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思春期なのになんてちゃんとしてるんだ。お弁当作ってえらい!こんな思春期もあるのか?と思ってしまった。
お母さんの気持ちもわからないでもないが、子離れって必要だなと思った。
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児童書に分類したけど、これは読んだ人の性別、年齢で感想がものすごく分かれそうなので、統計を取るとまでは言わないけど読者のバックボーンを踏まえたうえで感想を知りたい作品だった。
私としては、彼の行動には賛成したいけれど、洗濯をする、という行動一つにしても洗剤・水道代は親が負担しているというところまで考えが及んでいないので行動は自立しているように見えるかもしれないけど、経済的には全然自立できるものではない、というところまで考えられるようになって欲しい、と思った。
ただ、毎日食事が出てきて当然だ、と思うような子供よりははるかにしっかりしているし、応援したい。
とにかく自我のない母親の態度が一番腹立たしかった。
Posted by ブクログ
うちの親を思い出した…あー。自立をさせるって親にとっても重要な課題だなぁ。生きがいになってしまうと手放せなくなるものかやっぱり。それだけが生きる甲斐なんだもんな。でもそれは押し付けなんだと双方気づかないといけないんだ。
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中学生のタツキが、自立に向けて大人とは?家族とは?と色々悩みながら生きている姿が描かれている。稼げない子どもに対して、それを盾にねじ伏せる父親の姿勢は、大人の嫌な部分を良く捉えている。