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朝、いつものように、母親がぼくの背中に触れる。いつものように「行ってきます」と答えて学校に行けばいい。それなのに、ゾクッと寒気がした。ぼくは自分の反応に驚く。
異変は続く。昼休み、母親が作ってくれた弁当を開ける。母親はぼくの世話をするのが生きがいらしい。おかずたちが、「おいしく食べて欲しい」とぼくにプレッシャーをかけてきて、一気に食欲が落ちる。でも、これはせっかく母親が作ってくれたお弁当。無理やり食べたけれど、気持ちの悪さは残った。いったい、ぼくはどうなってしまったのだろう?
中学生男子・タツキの自立心は、弁当作りへの熱意に変わる。冷凍食品を使えば、料理が得意でなくても弁当が作れるらしい。弁当作りの先輩・マシロにアドバイスをもらったり、幼なじみ・カホに相談に乗ってもらったりしながら、タツキは自分の弁当を作り続ける。しかし、母親には「タッちゃんはそんなにお母さんが嫌いなの?」、父親には「どうしてお母さんの仕事を奪うんだ」と責められ──。
両親が決めたことを守らないのは、わがままなんだろうか? 自分の弁当を作りたい気持ちは、どうしたらいいんだろう?
映画化もされた『お引越し』で知られる児童文学作家、ひこ・田中が描く、一風変わった中学生男子の反抗期。弁当作り、さらには洗濯まで!? ユーモアたっぷりに描かれる反抗期の心情、必読です!
【対象:小学校高学年以上】
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Posted by ブクログ
ちょっとしたきっかけで親と距離を取ろうとする時期がある。それを思春期とか反抗期とか自立心の芽生え期とか色々言い方はあるだろうけど、決して親を嫌ってのことではないと思います。
子ども目線で考えれば至極当然なことで、考え方の相違、感覚的、世代的相違から自分で考え行動する自立へのステップはとても健全なこと。しかし親目線で考えれば、この母親の淋しさはわからないでもないが、親離れ、子離れの適切な時期もあるであろうと思います。
極めて私的感想なのだが、タツキの親父さんの考え方は好きになれない。昭和初期の「男は」、「女は」の感覚は今の世の中通用しないだろうから。男性であれ、女性であれ家事、育児、生活全般にわたりある程度熟せるに越したことはないのではないだろうか? 確かに領分はある、性差、得手不得手もあるだろうが、子どもの自己実現欲求や承認欲求への応援はしたいと思います。
Posted by ブクログ
『あした、弁当を作る』
最初は子どもの反抗期の物語かと思った。
でも実際は、ジェンダーバイアスや夫婦関係の歪み、その中で「子どもとしての役割」を強いられる姿が描かれていた。
成長するにつれて違和感を抱き、自分の要望を伝える子ども。
それを「笑顔」でかわそうとする親。その笑顔が時に嘲笑に見え、ゾクッとする怖さを感じさせる。
人が立場を揺さぶられたときの反応は、親子関係であっても目を背けたくなる。
それでも子どもはできる範囲で抵抗し、自立していく。
私自身もかつては子どもで、今は親。きっと数年後に直面するであろう時期に、少し備えるヒントをもらえた気がした。
Posted by ブクログ
自分で自分の弁当を作りたい、
自分の衣類を洗濯したい、
自立に向けて喜ばしい一歩を踏み出したはずの中学生が、両親の反対を受け、親の庇護という名目で、支配下に置かれ続けようとするお話。
息子といるときは息子に甘えて夫の悪口を言い、夫がいるときは夫に頼り、息子の言動を逐一告げ口する母親。
「わたしはいつもタッちゃんのことだけを考えて生きているのに。生きがいなのに」
ぼくは、母親が世話をするための人形だ。ぼくは支配されている。そして、父親はそうしろとぼくに命令している。
愛情ということばを隠れ蓑にした、ぞっとするような母親の言動と、傲慢かつ威圧的な父親、
その中で揺らぎながらも、自らの意思を貫こうと奮闘し、家族のあり方を受け入れ、前を向こうとする主人公が印象的でした。
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