あらすじ
若い大工の大輔は子連れの美女、真実と同棲している。そこに引きこもり気味の大輔の義理の弟・光男が転がり込み、さらに部屋の大家である先生も家族同然だ。不思議な共同生活のなかで、大輔と真実のあいだには微妙な温度差が生じて……。ひりひりする恋を描く、クールな青春小説。表題作のほか、煮詰まった二組のカップルの微妙な感情のゆれを緻密に描き出す「グリンピース」、外資サラリーマンの奇妙な休暇と出会いが短篇ながら忘れがたい「突風」を収録。
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Posted by ブクログ
大工として働く大輔
同居する真実と血のつながりはないが娘のようにかわいがっている小麦
かつて兄弟だった時期があった光男
近所に住む時先生
現場の家主の娘に手を出し小火騒ぎを起こした大輔
仕事もせずに家で熱帯魚ばかり見てる光男
他短篇
無職男と彼女の喧嘩
休暇中に房総らへんで気紛れで手伝った民宿の奥さんとのドライブ
ああ、芥川賞意識していたのかなぁと思うような話。
結構好き。
読んでてなぜか伊藤たかみを読んでるような気分になって、あれ?吉田修一だよねーって何度も確認した)^o^(
Posted by ブクログ
芥川賞受賞以前に発表された3つの短編。薄情スレスレのドライさがそれぞれの主人公に共通している。どれも20世紀に発表された作品と知って妙に納得した。
Posted by ブクログ
「__親切にされればされるだけ、身動きできなくなる人だっているの。それにもし、その親切にしてくれる人が淋しそうな人だったら……」
ファミレスで読んでいて良かったと思った。家で読んでたら泣き出してたかもしれない。他人を過剰に慮って親切にするのは淋しいから。ズレているようで、1ミリもズレることなく当たっている気がする。とにかく心の中の何かを抉られているようで怖かった。
Posted by ブクログ
難しい!これ、ムツカシイ本や!ムツカシイ系の本だ!って、思いました。一読して。いやあ。こうねえ。男女の恋愛の機微、系?生きていくって色々あるねえ、っていう緩い諦観、系?なんなんだこの不気味さは?っていう、ヌルッとした人間の怖さがシミジミ、系?いやあ、ムツカシイ。難しい系の本だな、って感じでした。
面白いかどうか?と言われると、面白いような面白くないような、うーん。なんだかなあ。という感じなのですが、なんかしら、おおう?って引っかかる所は、あった。そんな感じでしたね。吉田修一、なんか、ええなあ~、って感じの。
オサレなのか不細工なのか。アツいのか冷酷なのか。気合入っているのかニヒルなのか。うーん。わからん。わからぬ。その分からなさが、なんだか、不思議な味になっている、っていう。
熱帯魚
表題作なのですが、主人公の大輔と、血の繋がっていない兄弟?の、光男の関係。熱帯魚の水槽をジッと見ている光男の姿。黒沢清監督の映画「アカルイミライ」の、浅野忠信とオダギリジョーの二人を思い出しました。「アカルイミライ」のストーリー、一回見たけど、もう全然思い出せないんだけど、それでもまあ、思い出した。水槽を見つめる男の姿って、絵になるんですかね?どうなんですかね?不思議だなあ。
あ、大輔と、家主の娘の律子ちゃんとの、あのなんだかエロい駆け引き。あれ、すっごい良かったです。プールのあのエロい駆け引きから、あの建設途中の新居で起きたアレに至るまでのあの流れ、すげえなんだろう、いいなあ、って思いました。いやあ、思いました。いやしかし、まあ、あんなことしたら、大輔、棟梁にボッコボコにボコられますよねえ。まあ、しゃあないよね。って思う。あの感じ、すげえリアルで、好きだったなあ~。
グリンピース
主人公の草介が、嫌なヤツすぎて笑ける、って感じなのですが、オシャレ雰囲気なのに、いなたい。そんな不思議な作品ですねえ。うーん。男女の恋愛の機微は、わからん、って感じでしょうか。面白くないと思うのに面白いかもしれないと思わなくもない、という、すげえ不思議な味わいの作品です。謎のパーティーの主催者の草介の友人の三上が気になる。そしてこの時代、まだ、DVDが出現する前の、ビデオデッキの時代なんだ、、、と思うと、すげえ不思議な気持ちになりますね。ケータイのない時代の話なんだなあ、、、タイムレスなイメージ、ありますね。
突風
あんじゃこら?という雰囲気の話でした。超クール。こ、この話を読んで、なにをどう感じろと?みたいな。超クール。だが不思議と嫌いじゃないぜ、みたいな。いやあ、なんだかなあ~。ほんと、謎のシャレオツ感と、謎のいなたさが、見事に同居しております。
全体的に、ホンマに不穏なんですよね。怖いんですよ。でも、その怖さが、なんなのかが、よく分からない。不気味だ。不気味な作品です。で、なんだか妙に、スッコーン、って明るい所も、ホンマに不思議で不気味。やっぱなあ、吉田修一、凄いよなあ、って思います。この不気味さが、後に、「悪人」生み出すわけでしょ?いやもう凄いですよそれは。