あらすじ
「こうしてねぇ、あんたんチのおとうさんもねぇ、揉んだことあるとよぉ」と、自分の胸を揉みほぐしつつ語る伯母。その娘で肘の骨が飛び出るほど痩せているビョーキの従姉と同じバーで働く、あたし19歳……。博多の中心地、「ドブ川」こと那珂川ぞいでもたれあうように暮らす3世代の女たちを描いた表題作。お茶の販売店で生計をたてつつ、泰然と暮らす女性を描いた「スッポン」、他「ゆううつな苺」収録。芥川賞作家のデビュー作。
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Posted by ブクログ
初恋なんかに煩わされてたあんとき、
その時のまさにその対象だったりしたあの女の子。
いつも一人で、
ふわっと浮かんだり沈んだりしていたあの女の子。
僕の一生懸命をどう見てたんだろうかってことが、
だいたいわかってきた。
わかってきたから、
いてもたってもいられない。
女の子の眼差しのホントウを知るには、
男というものは幼すぎる。
女の子だけではない。
二十歳のあの人もそう、
だろうし三十路のあの人もそう、
だろうしだろうし。
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文庫本のカバーは写真なんだ。
僕が手にしたのはハードカバーの方で、かわぐちみおによる装画が、本書に収められた三つの短編の雰囲気やテーストを見事に凝縮しているような気がします。
それはある少女を描いた非常にシンプルなイラストなんですが、19歳のホステス、各地を転々とする33歳の処女、はみ出してはいるがヤンキーにも成りきれない女子中学生、といったそれぞれの短編のヒロインに見事に重なるんですよ。
もちろん錯覚なんでしょうけど、本書を通じて三人のキャラクターを愛でながら、僕は愉悦の境地にありました。
著者の『しょっぱいドライ』や他の作品も読みましたが、デビュー作のこの短編集が一番好きです。九州の方言も程よくブレンドされ、少女を中心とした女たちの揺れる立ち位置を目で追いながら、軽くめまいを覚えるもまたいいです。
それにしても「ゆううつな苺」、誰か映画にしてくれないかな。
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表題作「裸」は、男に媚びない主人公と、男に媚びる伯母、腰巾着な従姉のお話。対比した性格や気持ち悪い関係性、男女を描かれている。
方言も相まってジメッとしたやりとりは心地悪かった。
個人的には「ゆううつな苺」の女子中学生の話の方が好きかも。
Posted by ブクログ
芥川賞受賞作家のデビュー作。『裸』『スッポン』『ゆううつな苺』の3編を収録。
いずれも女性を主人公にした短編であるが、暗い重苦しい雰囲気の中で女性の強かさと逞しさが感じられた。しかし、面白くはない。
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『裸』は読みづらかった。「あたし」の言葉の連発はあまり好きになれない。『スッポン』は人物がよく描かれている。ここでは「わたし」だ。最後の『ゆううつな苺』が一番好きになれた。中学生が「私」で語っていた。「私」も母親もいい感じで絡んでいた。中学生の感受性もよく描かれている。
Posted by ブクログ
九州弁がきつい。だらだら流れる平凡な日常の断片の羅列もだるかった。 だけど最後はしっかり締めてくれた。
「山は文鎮みたいにしっかり地面をおさえつけている」「窓から見える月へ恭しく頭を下げた。何でもします。できます。この脚でふんばれます」
勇気付けられた。