あらすじ
そうだったのか!ムダの先にある豊穣の世界
コロナ禍では「不要不急」がひとつのキーワードとなった。また「コスパ」「タイパ」、そんな考え方が日常を侵食している。しかし、要不要とはいったい何だろう。身のまわりのすべてのことを、「役に立つかどうか」「効率がいいかどうか」「払った対価に見合っているかどうか」、そんなモノサシで測ってよいものだろうか。
その価値観で捨てた「ムダ」なもの、それは本当に「ムダ」なのか?誰にとって?何にとって?そもそも「ムダ」で何が悪いのか?「ハチドリのひとしずく」を日本に紹介した著者が「ムダ」を切り口に、暮らし、労働、経済、テクノロジー、人間関係などについて思索する。
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Posted by ブクログ
気がつけば、より効率やコスパを求められるようになって、自分もショート動画を好んでみるようになっている。
シンプルライフに憧れて、ミニマリストってすごいなと思っていたりもするけど、それらが成り立っている背景まで、考えをめぐらせたことはなかった…。
不要不急と言われてモヤモヤしたり、何ものにもなれていない自分で役に立てていないのではと悲しくなったりすることもあったけれど…
もう一度見つめ直す良い機会になった。
Posted by ブクログ
私はときどき自分のやっていることは本当にこれでいいのだろうか、全部無駄なんじゃないかと感じてしまう。まさに、功利主義だと感じた。私は、本当に大切なことを無駄だと勝手に決めつけて生きていたのかもしれない。もっとシンプルに生きたい。
Posted by ブクログ
今の世の中でひっかかることが多く、読み始めた本。筆者の意見に全て賛同するわけではないけれど、役に立つとは?無駄とは?と考えるうえでいろんな視点をくれます。
Posted by ブクログ
メモは2つ
・愛とは時間を無駄にすること
・役に立つ。を疑え
測れないものをムダと片付ける心のあり方こそ、人間を不幸にする。
贈与論を思い出した。
役に立つ、役に立たないで物事を見つめ続けると、いつしか自分自身をそんな目線で見るようになってしまわないか?ということを問われた気がした。
Posted by ブクログ
周りの世の中が急ぎすぎてるなって思ってたから、なるほどと思うことは多かった。
いろんな本や映画、人物の言葉や作品の紹介があって、読みたい本や見たい映画が見つかった。
Posted by ブクログ
ムダとは本当に必要のないものなのか、そもそもムダとは何か?
暮らし、労働、経済、テクノロジー、人間関係など対して文化人類学者である著者が新たな視点を与えてくれます。
本文より~
・ぼくたちはよく、「ムダだ」と断定する。モノやコト、存在や行為を、「それはムダだ」と。しかし、そのときふと、そう断定してしまっていいのだろうか、という疑いが残る。
・子どもたちはなぜ我を忘れて遊びに夢中になるのか。子どもにたずねれば、ほとんどの子は「楽しいから」と答えるだろう。では、なぜ、遊びは楽しいのか?(中略)①心身の爽快感、②成長の喜び、③自由
・キツネの哲学者は、旅立っていく王子さまに大切な言葉を贈る。「あんたが、あんたのバラの花をとてもたいせつに思っているのはね、そのバラの花のために、時間をむだにしたからだよ」そして、人間が忘れているこの大切なことを、忘れないように、と王子さまに言う。
・愛とは、それが何の役に立ち、何の得になるかにはかかわらず、惜しげなく相手のために時間を使うこと。
~ここまで。
「ムダ」という言葉の意味に含まれる
不合理、非効率、非生産、などから、
つい「そんな事やって何になるの」と思いがちです。
一見、他人にはムダに見える時間の使い方でもその背景や意思を感じることで一呼吸置いた対処ができそうです。
Posted by ブクログ
文化人類学者による、ムダについての考察
現代社会は、役に立つかどうかという視点から物事をみる功利主義に凝り固まっていたのだなと思い知らされる。
もっと頭を解すため、何回か読み返してみたいと思いつつ、参考文献も多くて、他の著書も読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
効率的であること、生産性を上げること、そのためにムダを省くことが最善とされる風潮の社会に疑問を投げかける本書。
ムダを突き詰めるとそれは自分という存在にブーメランのように返ってくることに気がつく。
自然界には無駄がなく、その自然を損なう人間こそが実はいちばんの厄介者でムダな存在であるということ。ごもっともです。
そもそも何がムダかなんて絶対的な答えがあるわけじゃない。誰かにとってのムダが、私にとってかけがえのないものだったり、その逆もあったり。
コスパ、タイパを追求して何を得ようとしているのか疑問だし。いちいち納得の読書でした。
Posted by ブクログ
いつも聴いているpodcast番組に著者の辻信一さんがゲスト出演していて紹介された著作です。
辻さんは文化人類学者で「スローライフ」の提唱者でもあります。昨今の「コスパ」「タイパ」という言葉に象徴されるような “効率化重視の生活” のアンチテーゼとしてどんな議論が提示されているのか興味を抱いて手に取ってみました。
期待どおり、なかなか面白い議論が紹介されていたのですが、「終章」で示された“愛の定義” とその裏付けたる「あなたは効率的に愛されたいですか?」という自問のインパクトは強烈でした。