【感想・ネタバレ】新しいゲノムの教科書 DNAから探る最新・生命科学入門のレビュー

あらすじ

DNAという言葉は誰でも知っているし、日常会話のなかでもよく口にする言葉です。しかし、DNAが生命の設計図であることはなんとなくわかっていても、それが具体的にどんな形で私たちの体の構造の「情報」になっているのか、想像するのは簡単ではありません。また、ニュースで毎日のように取り上げられる、PCR検査やゲノム編集、遺伝子組換え、クローンといった話題が、DNAとどう結びついているのかを正確に理解している人も少ないでしょう。
本書では、中学や高校で習う原子や分子といった知識があれば理解可能なように、DNAに基づく生命科学の大枠を、DNAに書かれた生命情報という観点から解説を試みました。少ない予備知識の読者でも最初から順を追って読めば基本を理解でき、少し知識がある読者なら、基本を確認しながら最新の解析技術まで深めることができる1冊。

第1章 生命の情報~なぜDNAという分子が重要なのか
1生命の単位としての細胞 /2原核細胞と真核細胞 /3細胞の多様性と分化 /4クローン生物とはなにか /5ES細胞、iPS細胞と再生医療 /6すべての細胞に同じ「ゲノム情報」 /7DNAの構造
第2章 遺伝子とはなにか
1遺伝子という概念の変遷 /2RNAとセントラル・ドグマ /3転写――RNA合成/4mRNAを成熟させるRNAプロセシング /5タンパク質の基本構造 /6タンパク質の多様性 /7翻訳―ータンパク質の生合成/8翻訳後のタンパク質の成熟 /9非コードRNA遺伝子 /10 DNAの複製
第3章 ゲノムDNAの全体像
1ヒトゲノム計画 /2いろいろな生物のゲノム /3すべての生命に必要な代謝システム /4ヒトゲノムDNA の中身をのぞいてみると/5 トランスポゾン とはなにか/6 ウイルスとゲノム /7 遺伝情報システムとしてのゲノム /8ゲノムの不安定化とDNA修復/9ヒトゲノムの個人差と多様性
第4章 クロマチンとエピゲノム~ゲノムに追記される情報
1DNAのヌクレオソームとクロマチン構造 /2細胞記憶を担うエピジェネティクス /3エピゲノムの片腕――DNAメチル化/4もう一方の片腕――ヒストンコード /5遺伝子のスイッチ /6転写を増やす働きをするエンハンサー /7エンハンサーの謎 /8インスレーター の二つの構造/9核構造と相分離
第5章 生命科学を大きく発展させるDNA解析技術
1 DNAを扱う基本操作 /2遺伝子のクローニング /3すっかりおなじみになったPCR /4DNA塩基配列決定法の基本/5「次世代」のDNA塩基配列決定法 /6遺伝子の発現解析法 /7クロマチン構造の解析法/8DNA解析に変革をもたらすゲノム編集技術/9新次元のゲノム情報をもたらすメタゲノム解析

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Posted by ブクログ

分子生物学の教科書を新書サイズにまとめた本で,初学者はここから学習するのが良さそう。既習者でも,何が原則で何が例外かを確認するのに役立つ。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

DNAは2本らせん、というお題目だけの知識でとどまっていた身には、とてもありがたい読書体験であった。この数十年の間のこの分野の進歩は凄まじいと感じた。ミクロの世界の構造や化学反応を、どうやって分析し確定しているのか、疑問は深まるのだが。

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2023年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりに仕事関連の本に触れてみた。
新たに知ったところ。
・コラーゲンはヒトの全タンパクの1/4を占める
・岡崎フラグメントができるほうの鎖の伸長速度は、反応が複雑なため遅れる。リーディングは先導するという意味、ラギングは遅れるという意味
・チンパンジーのゲノムはヒトの4%の違いしかない。染色体数は24本。ヒトの祖先において2本が融合したらしい

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2023年11月03日

Posted by ブクログ

ゲノムや遺伝子等の分子生物学の分野の色々な本のエッセンスを最新情報も交えてギュッとまとめられている。最後の章は専門的な内容が大半だが、その他はタイトル通りのまさに新しい教科書。過去読んだこの分野の本の総復習的な、これまでの知識がコンパクトにまとめられていて、統一的に整理できる一冊。

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2023年03月26日

Posted by ブクログ

たまたま書店で目に留まり、購入してしまった。

目次の時点で感じた通り、内容はガッツリ分子生物学。大学でやったクロマチンやヒストン、サザン法など懐かしい単語も目白押しだった。 紙面の都合で各説明は限りがあるものの、それでも久々に触れると読み応えがあった。

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2023年04月25日

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