【感想・ネタバレ】すべての美しい馬のレビュー

あらすじ

1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディは、自分の人生を選びとるために親友と愛馬と共にメキシコへ越境した。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描く永遠のアメリカ青春小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

コーマック・マッカーシーの描く、国境3部作の第1作目。祖父が亡くなって、牧場が人手に渡ることとなってしまい、馬を愛する少年ジョン・グレイディ・コールは、相棒のレイシー・ロリンズとともにテキサスを出てメキシコへ向かう。

マッカーシーの技巧的ながら硬質な文体が、貧困と血と暴力の光景の中で、自然とそこにすむ生き物たちの美しさ、人間存在の確かさと不可解さ、友情の輝き、恋の激しさ、そして悲しさを描き出す。

原題は『All the Pretty Horses』。すべての馬が“Beautiful”でなく“Pretty”――強い印象を与えない好ましさ――であるのは、文中にあるように「馬という生き物は全体でひとつの魂を共有しており一頭一頭の生命はすべての馬たちをもとにしていずれ死すべきものとして作られ」るために「仮に一頭馬の魂を理解したならあらゆる馬を理解したことになる」という考え方のためかもしれないし、あるいは主人公が心から馬を愛しながらも、決して馬と同一化をはかったり神格化したりしない、孤独で高潔な魂の持ち主であるからかもしれない。

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2019年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

トラックの行き交うハイウェイの横を馬で南へと進んでいく、そんな印象的なシーンが序盤にあって、ある意味ここら辺から発展を遂げているアメリカに対する主人公の反抗的精神かうかがえる。

古き良きアメリカ――広大な大地を馬で駆け抜ける、そんな憧れが主人公ジョン・グレイディにはあった。

ちなみにジョン・グレイディは16歳。牧場経営の家に生まれ育ち、小さい頃から馬に慣れ親しんできたこともあり、将来は自らが牧場に携わるはずだった。しかし親父が死んでしまい、残された母は牧場を売り払うことを選択してしまう。

だからジョン・グレイディは国境を越えてメキシコに行くことを選んだのである。

そこには何かがあるのだ。それこそ馬に関わる仕事があるのではないか――だから友人のロリンズを連れて馬を走らせ南へと向かっていった。



アメリカの小説だなーと思う。アメリカが歩んだ歴史が下敷きとなり、おそらくアメリカ人はこれにノスタルジーを覚えるのだと思う。

馬を愛し、人間のかけがえのないパートナーとして信頼関係を結んでいく。解らないけれどさ、馬って人を惹きつける何かがあるよね(語りかけたくなるなうな、こちらの何かを察してくれるような気にさせれれる感じのさ……)。

たぶん馬のあつかいの上手い人間って当時は尊敬されたりしたんだろーね。

で、ジョン・グレイディは正しさも誤りもない馬の純粋さを信じていた。作中、そんな内省を語る描写はないけれども、ただ、グレイディは誰よりも馬を上手く扱うことができて、そして誰よりも馬に敬意を示している人間だったのです。ある意味グレイディ自身が純粋そのものだった。たぶんグレイディは馬と共に荒野を駆けまわたかった――そして馬を愛し、馬と共に人の役に立てる仕事を求めていたのかなーと僕は勝手してるんです(というのもマッカーシーの淡々とした描写は、いちいちグレイディの内省を描いたりしないのです。でもグレイディの行動の端々には、そうとしか言いようのない愛情が含まれている)。



メキシコ――グレイディは不法入国でこの国やってきた。

途中、ブレヴィンズという若者が旅の道連れとなった。そしてブレヴィンズの乗っている馬はあまりにも見事な馬だった。

しかし、その馬がメキシコの地で事件を起こすきっかけとなってしまう。グレイディを含めたアメリカからやってきた三人は誤解をされて馬泥棒の汚名を着せられることになる。

メキシコは彼らを放っておいてはくれなかった。彼らは結局、捕まって酷い仕打ちを受けることになる。

グレイディは自分の信念に従って決して折れることはない。時には死を恐れることもなく真っ直ぐに行動したはずだった。事実、馬は自分たちの馬であり、そもそも馬たちの愛すべき場所を求めていただけだった。

しかし事件がひと段落を迎えたころ自分の行動を振り返って、グレイディは自分は馬のように純粋ではなかったことを知る。時に必要のない人間を傷つけてしまったことに苦しんだ。

何故、人間は馬のように生きられないのか――グレイディはそんな人の愚かさを知って嘆いてしまうのです。


読んでいて読者は16歳の若者を苦しめたものの正体を考えてしまうでしょう。

グレイディの考えはおそらく青臭いものなのでしょうね。でも、グレイディの健気さに触れていると、我々は忘れてしまった純粋さを思い出すんですよ。そうだ――確かに、あの頃は何かに真っ直ぐだった。

グレイディほどに実直じゃなかったにしても、似たような理想は持っていたはずだ。

それから情景がいいんですよ。若者と馬と荒野――これがなんとも似合うんですよね。

読み終えて、いい小説だなーと、しみじみしてしまいました。

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2016年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても美しい小説だと聞いて、手に取った。
ここのところ、アメリカ文学を読んでいる。
「ジェームズ」「ハックルベリー・フィンの冒険」は南西部ミシシッピ河流域の小説、「エデンの東」は、カルフォルニアの小説、そしてこの小説はテキサスから国境を超えてメキシコへ渡る小説だった。アメリカは広いなあ。小説によって舞台になる土地の雰囲気が全然違うから脳内旅行が楽しい。
テキサスでカウボーイをしていた十六歳の少年ジョン・グレイディがお祖父さんの遺産の牧場が売られてしまうことを知り、アメリカに自分の居場所がないと思い、愛馬に乗って、親友ロリンズと途中で出会った十四才くらいの少年プレヴィンスと共に国境を超え、メキシコへ渡る。
パスポートも税関も無しでハイウェイを横切り、河を渡ってメキシコに入国出来てしまったので、一世紀以上前が舞台かと思ったが、舞台は1950年代。現代アメリカで居場所を無くした少年たちが居場所を求めて国境を超えてしまうという、アメリカの青春を描いた小説。
道中で雷に会い、愛馬をつないでおくことも忘れ、裸になって丸まっておびえていたプレヴィンスの馬が盗まれ、取り返したプレヴィンスは逆に泥棒として逮捕され、牢獄で虐待され、銃殺されてしまう。
プレヴィンスと逸れていたジョン・グレイディとロリンズはとある大牧場で馬の調教師として雇われる。その馬の調教シーンが秀逸。一見手荒なことをするのだが、馬に身体を密着させて信頼させて、しっかりした主従関係を築く。弱冠16歳でも本当にプロの仕事人で、誰よりも馬への愛の大きさを感じる。
その大牧場のお嬢さんアレハンドラと恋に落ちるのだが、お嬢さんの超エリートの大叔母様に反対され、結ばれない。その大叔母様は自分の生い立ちをジョン・グレイディに語るのだが、フランシスコ・マデロという大統領だった人の弟のグスターボ・マデロと昔恋中だったが結ばれなかった話をする。調べてみたら、フランシスコ・マデロもその弟、グスターボ・マデロも実在の人物だったのでびっくり。アレハンドラの父である牧場主はジェントルマンだと思っていたが、ジョン・グレイディとの関係を知って、ジョン・グレイディとロリンズを警察に引き渡してしまった。
牢獄では中の囚人仲間は殺人鬼のようで、監守たちも人殺しと紙一重のよう。メキシコ怖い。
メキシコから国境を超えてアメリカへ逃亡する小説「夕日に向かって北へ行け」を読んだことがあるが、メキシコは警察とマフィアが繋がっていたりして本当に怖い国だと思った。アレハンドラの大叔母様が話していたようにメキシコという国の歴史は大変だったようだ。
アメリカ小説というより、アメリカから見たメキシコ小説という感じだった。
命を失いかけたところでアレハンドラの大叔母様の差し金で助けられた、ジョン・グレイディとロリンズだったが、助けられた交換条件は「アレハンドラとはもう会ってはいけない」ということだった。
「死ねば良かった」と思うくらい絶望したジョン・グレイディ。だけど、彼は本当に本当に自分にとって一番大切だった馬を友人の分も取り戻して命がけでアメリカに帰るのだ。
一文一文が読点の殆どない長い長い文で、セリフにかぎ括弧もないという独特の文体で読みにくいが、自然描写や恋愛シーンの描写がとても美しい。
弱冠十六歳で「自分には馬しかない」と心を決め、本当に生きたい生き方を求めるだけで、こんなに命がけなのかと思った。アメリカ厳しい!青春厳しい!

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テキサスからメキシコへ友人と家出同然で飛び出し、働き口も見つけ上々の新生活スタートとも見えたが··· 
とにかく真っ直ぐなジョンのセリフが印象的
殺るか殺られるかだ中間はない 等。

少し読解力が追いつかなくて 追手は何故最後馬を連れて行かなかったのか等気になる点も·

とにかく友人と旅をしている描写が面白く、後半からはジョンの行動に目が離せない。

彼女が残ってくれたら恐らくあの行動にはでていない。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死んだじいちゃんの牧場に行くかとおもったけどそうじゃなかったな。
・馬はよくついてきたな
少年ってこんな逞しいんだ
・ハイウェイを馬でって?
・刑務所でナイフが無事に届くかはらはら
・アレハンドラ?
・コインの鋳造の話
・最後つれて旅した警察署長って悪いやつのボスだった?
・馬をもとの持ち主に返しに最後いってたけどみつかるかな。
・裁判所の検事さんが、わかってくれた
・学校行ってる年齢?
・プレヴェンスなんで殺された?
・砂漠の赤土の描写が荒涼としてた
・一文が長すぎ。

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2023年03月15日

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