あらすじ
切々と愛弟子に訴える最後の訓戒
炎の教師、松蔭の遺書
読みやすい大文字版
身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも 留置まし大和魂
志高く維新を先駆した炎の思想家吉田松陰が安政の大獄に連座し、牢獄で執筆した『留魂録』。
愛弟子へ切々と訴えかける最後の訓戒で、死に直面した人間が悟り得た死生観を書き記した格調高い遺書文学の傑作を味読・精読する。
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Posted by ブクログ
吉田松陰の残した言葉そのものを知りたく読んでみました。
留魂録は松陰が処刑される前日に書きあげられたもので、松下村塾で共に学んだ弟子に対しての最後のメッセージがかかれています。人間は10歳には10歳の、30歳には30歳の、70歳には70歳のそれぞれの人生の四季があるという死生観は印象的でした。「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置まし大和魂」という留魂録冒頭の句には、松陰の死に対する覚悟と、攘夷を未来に託す志が表れていると思います。
吉田松陰かっこいい~
Posted by ブクログ
『身はたとひ 武蔵の野辺に朽ぬとも 留置まし大和魂』
この歌から始まる「留魂録」は、吉田松陰が江戸小伝馬上町の牢内で書き上げた遺書である。
門下生に宛てた、最後の言葉たちが述べられている。
その中ではやはり、死生観を四季に例えて語った部分が印象的であった。
『今日死を決するの安心は四時(四季)の順環(循環)に於て得る所あり』
自分自身の生き方を考えさせられる一冊であった。
Posted by ブクログ
人は、本から学び、旅先の土地から学び、歴史から学び、人との議論から学ぶのだと思った。そして、どんな人生であろうと、その人生に意味をつけるのは後世の人であり、自分ではない。である以上、自分は自分が納得し、悔いを残さないように生きるべきだと感じた。
幕末と現代では、社会が抱えている問題は大きく異なるけど、松陰先生が言っていることは普遍なのだろう。だからこそ、読んでいて、心に染み渡る感覚が生まれる、そう感じさせてくれる作品。
自然と一つ一つの言葉を、ノートへ書き写していく自分がいた。
萩、もう1回行こうかな。。
Posted by ブクログ
文章で読んでいるだけでも教育者としての凄さが伝わってくる。諄々と諭すような講義を面と向かって学んだときの感化力は相当大きいのだろうなあと思った。ただ、松陰先生は行動に関しては粗忽なくらいに機を見ずにやっちゃう人だったのか?友人の仇討旅行につきあう約束をしたけど藩からの手形が間に合わなくて脱藩したり、黒船に乗せてもらおうと小舟で近づいたり、門下生に檄文飛ばして皆から諌められて錯乱したり、あげくに幕府が気づいていない計画倒れに終わったことを披露して死罪になった。革命の種子を蒔く人は、キレキレの頭の良さと、同じくらいにキレた行動をする人なのだろうなあ。
Posted by ブクログ
偉人であるとの先入観を持って読んだため、
若干肩すかしに感じた部分があった。
(現在の日本に与えた影響は計り知れないとわかりつつ)
しかし、松陰とのやり取りで、今も昔も、お役所ってこんな感じだったのねと思った。
100年後もおそらく同じなんだろうな。
Posted by ブクログ
吉田松陰の遺書「留魂録」の全訳・解説の本です。以前読んだ「世に住む日々」を深掘りする意味で読みました。「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留置まし大和魂」という有名な書き出しで始まる。歴史的な価値のあるものなのだろうが、その内容は死を前にして少し女々しい感じもしてしまう。又幕府につかまり、余計な事までしゃべってさらに刑を重くし遂には死罪となるくだりなど「なぜ」そんなにしゃべってしまうのかと思ってしまう。改革実行者というより師として卓越した先見性と指導力があったのだろうと思う。その後の松下村塾ほとんどの塾生は戦死、自刃しているが、彼らは師の意志をついで幕末から明治維新にかけて、歴史を動かす人々となった。