あらすじ
コロナ禍がもたらした、幾つもの「こんなはずじゃなかった」。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれるのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。『トリカゴ』『十の輪をくぐる』『あの日の交換日記』最注目の気鋭がストレスフルな現代に贈る、あたたかなミステリー。
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Posted by ブクログ
もっとエッセイっぽいものを想像して読み始めた。
でも全然違くて、コロナ禍のさまざまな人達の心を描いた、ピュアでリアルで伏線回収がとても綺麗で推理小説でもある。
短編集かと思いきや、全部繋がってる。
あの、お守りと共に。
ほんとに頭の良い、人が善い作者なのが伝わる。
勝手に今回の晴川さんのような人なのかな?と想像してしまう。
辻堂ゆめさんって、どの作品も読んだあと
すごーく、あったかくなる。
純愛系は歳のせいか、刺さらないものもあったけど、山ぎは少し明かりて、とか今回読んだ答えは市役所3階に、とか本当に素敵。大好き!
Posted by ブクログ
コロナ禍のカウンセラーのお話。カウンセリング受ける人は自分のことを全て開示しているとは限らないんよなあ。至る所にヒントは散りばめられているけど、毎回わっとおどろく展開。素晴らしい構成。また読みたい。
Posted by ブクログ
コロナはホントに忌々しい。
当時みんな疲弊していたね。
こんな世の中になるなんて想像していなかった。
1章からズッシリきた。
未知のウイルスのせいで理不尽に夢も希望も吸い取られた人達の葛藤を思い出した。
辻堂ゆめさん、やっぱりいい作家さんだなぁ。
Posted by ブクログ
コロナ禍は社会の様相を一変させた。人生設計が狂ってしまい、不安や苛立ちでいたたまれなくなった人たちは多い。
そんな、悩みに押しつぶされそうな人のため市役所3階に設置されたのが「2020心の相談室」だ。
相談に゙訪れた人の話をじっと聴き気持ちに寄り添いながらも、話されなかった事情やその真意まで読み取って相談者の背中をそっと押す。
そんな女性カウンセラーのミラクルカウンセリングを描くハートウォーミングミステリー。
◇
将来の夢を失った17歳の白戸ゆり。高校3年の進路選択。母と2人暮らしのため経済的余裕がなく、就職を選んだものの、折からのコロナ禍で希望するブライダル関係やホテル関係への就職は絶望的な状況だ。
進路担当の教師は、製造や販売を勧めてくる。でも夢を諦めることができないゆりは、当面はブライダル関係のアルバイトでいきたいと母親に相談したところ……。
( 第1話「白戸ゆり(17)」) ※全5話。
* * * * *
とてもおもしろくて、読み応えもありました。それは2本の柱がしっかりしていたからだと思います。
1本目は、コロナ禍で苦境に立つ人たちの様子が端的に描かれていて、共感できる内容であるというところです。リアリティという点では申し分ありませんでした。
さらに言えば、コロナ禍の矢面に立つ人間として、いろいろな立場の人たちを設定したところに感心しました。
特に、医療関係者や就職希望の高校生を持ってきたのはよかったし、ホームレスが被った被害まで描いたのは興味深かった。そのユニークさにうなってしまうほどでした。
2本目は、カウンセラーの晴川あかりの名推理と謎解きに無理がなく、どれも意表を突かれるという点で、できのいいミステリーを構成しているところです。
個人的には、これまで読んだ辻堂さんの作品のなかではいちばん優れたミステリーだと思います。
相談者に対し、話を急かすことも必要以上に詮索することもなく、丁寧に聴き取っていくあかり。その目のつけどころが明かされる各話のエピローグ部分。もう読むのが楽しみで仕方ありませんでした。
この市役所の相談室でのシリーズ化は難しいかも知れませんが、臨床心理士・晴川あかりとしての物語を読んでみたいと強く思いました。連作、長編どちらでもうれしいので、辻堂ゆめさん、ご一考くださいませんか。よろしくお願いします。
Posted by ブクログ
舞台は市役所の3階に開設された「2020こころの相談室」。コロナ禍による心の不調と悩みを相談するため、その場所を訪れた「どこかにいた、誰かの物語」でした。
相談室の二人は雰囲気がよく、間合いも絶妙でした。誰かに話を聞いてもらいたいという気持ちを、しっかりと受け止めてくれていました。何よりも臨床心理士の観察力のすごさに驚きました。共感力、受容力があり、的確なアドバイスにも感心しました。
コロナ禍の犠牲になった高校三年生、医療従事者、一人で出産した母親、ホームレス、浪人生。それぞれの理不尽な思いは、コロナ禍できっと誰かが感じていたことだと思いました。
相談室にいったことで物事がうまくいき、まえを向いて歩けるようになった、というだけの話ではないところがよかったです。人間は自分の都合のいいように話をするという現実。それを伏線回収として書かれているところが、この短編集の面白いところでした。
読後、先入観を取り払って人と向き合うことと、常にまっさらな目で世の中を見るようにすることは、相談室の2人にかかわらず誰にでも必要なことではないかと思いました。
〈目次〉
第一話 白戸ゆり(17)
第二話 諸田真之介(29)
第三話 秋吉三千穂(38)
第四話 大河原昇(46)
第五話 岩西創(19)
Posted by ブクログ
作家さん縛りで、タイトルで借りた1冊。コロナ禍に市役所にできた心の相談室に来る様々な人達の話。
最初と最後がかちっとはまって読後感のよい
1冊だった。
カウンセラーの晴川が最後まで頭のなかにイメージがわかないのも、真っ白な心で対応していた晴川の特徴が現れてたからなのかな。
個人的には2話の男性看護師の話がほっこりして心に残った。
あーコロナ禍ってこんなだったなぁとすでに過去なことにも改めて気付かされた。
Posted by ブクログ
世界的に猛威を奮ったコロナ。当時の勤務先で急に待機期間の命令が出されてお仕事休みになったり、時差出勤になったりと不安になったのを覚えています…
この本のお話しはクラブ活動や、就職など楽しいことを奪われた5人が心の相談室に行き、心が救われるお話し。
どのお話しも素敵でおもしろくよかったんですが、途中から晴川さんの推理に少しモヤモヤしてしまい星4にしました(^_^;) 正木さんが一喝言ったシーンはちょっとスカッとした笑
Posted by ブクログ
コロナ禍の物語。
数年前ならコロナ禍の話はしんどいので読みたくなかったけれど、今回は「こんな事、あったな〜」と出来事を思い出しながら読むことができました。
「2020こころの相談室」という市役所3階に開設されたカウンセリングルームが舞台です。
第1話 白戸ゆり 17歳
将来の夢を失った。
第2話 諸田真之介 29歳
婚約者を失った。
第3話 秋吉三千穂 38歳
幸せな未来を失った。
第4話 大河原昇 46歳
人間の尊厳を失った。
第5話 岩西創 19歳
生きる気力を失った。
5人の相談者の話で、それぞれの失ったことを読みながら、コロナ感染拡大での近い未来が狂ってしまったことを思い出していました。
この物語では、2人のカウンセラーが相談者の隠している部分までを推理して見抜いていきます。
ちょっと鋭くてきついな、と感じる部分はありますが、全体的に温かい作品で登場人物の繋がりもあって良かったです。
Posted by ブクログ
コロナ初期からもう5年かー。
あの頃にコロナになり入院したな。
その時にコロナの中で鬱々としている市民のために話を聞く相談室の二人。
話を聞いて相談者の心が晴れる!
感動系なだけではなく、ちょっとしたミステリーもあり、こういうの好きだなーと思った。
Posted by ブクログ
コロナ禍の困った人の市役所カウンセリング、と単純に読み始めたら
カウンセラーの晴川と正木のやりとりもテンポ良く、カウセリングを受ける人も読み手もついつい引き込まれて行く
また話していないことまで次々推理され、的確なアドバイスあり
そして一人一人の相談は別物だけど
ちょっとずつ繋がり、ラストは小道具も含めてぎゅっとまとまる
こんなカウンセリングが無料なら人気になるはず!
コロナ禍は二度といやだけど
Posted by ブクログ
コロナ禍で苦しんでいる人の心境を描写した本
読み進めていって、あのときはそうだったよな、確かにそういうニュースもあったなと現実の出来事を思い出しながら読めた。
少し面白いのは、この本推理パートもあるってこと。
相談してくる人が全員正しいことを言ってるとは限らないから、その真意まで探るって、臨床心理士ってすごい。それともこの本に登場する臨床心理士がすごいだけ?
私はコロナ禍を経験しているから、この本を面白いと感じたけど、コロナ禍を経験してない人が読んだら、どう思うだろうと感じた。
Posted by ブクログ
Nと刺繍されたお守りがキラリと繋がる連作5話の物語。カウンセラーの晴川と正木の観察力がすばらしい。めぐりめぐったNのお守りの効果が可愛かったなあ。
Posted by ブクログ
辻堂ゆめさんの連作短編集。
途中までは、よくある短編集の感じがしましたが、ラストが良いんですよねー。辻堂ゆめさんの作品は、ラストが本当に素晴らしい!!
コロナ禍を思い出す一冊!!
手元に残しておきたい作品です!!
Posted by ブクログ
コロナ禍に、市民の心の悩みを聞く為に、市役所3階に、新たに設けられた、「心の相談室」。
そこに来る相談者の話が、5つの短編となっていて、最後には、登場人物の関わり合いがわかる。
最初の相談者が落として行った、手作りの「お守り」が、良い仕事をする。
1日の最後に、カウセリングが、事務整理の際に、相談者の言葉や態度で、彼らの嘘を見抜く、謎解きもあって、なかなか、面白かった。
Posted by ブクログ
コロナ禍の頃を思い出す作品。実際に起きた事がそのまま出てくるからよりリアル。
そんなコロナ禍で苦しんでいる人々が市役所に設置された"心の相談室"で心のうちを吐き出す。"心の相談室"にいる相談員は、清川あかり(臨床心理士)と正木昭三(認定心理士)の二人。みんなこの二人に相談するのだけど、相談に訪れた人々は年齢、性別、職業、悩み、葛藤はみんなバラバラ。だけど共感してしまう事もいっぱいあった。それぞれの心のうちがまたリアルだったからだろう。あの頃はそうだったよね⤵︎とその当時の自分を振り返ってしま
う。
心理士の二人は主に聞き役で、たまにアドバイスもする。みんな心のうちを吐き出し、スッキリして立ち直っていく心温まる話なんだけど、ただそれだけではないことにびっくりだった。心温まる話には違いないと思うけど、ミステリ度が高い。清川あかりの洞察力がとにかく凄すぎる。相談者の隠された真実を明かしていく。なんと言えばいいのか、最後にどんでん返し?謎が解けた後の爽快感?がほっこりより強いんだよな。第一話でそれに気付き、第二話から真相を見極めようと読んだけど、私は真相に辿り着けなかった。唯一第二話が少し分かっただけ。なんか悔しい。
心温まる話➕ミステリ。意外な組み合わせ。
クセになるかも。
Posted by ブクログ
一人一人のお話が終わった後にエピローグがついている形式で、そこで相談者の隠していたことが明らかになるのが面白かったです。
そして、少しずつ相談者たちが繋がっていて、相談のその後を見られるのも良かったです。
すっかり昔のことのようで忘れていたけど、コロナ禍ってこんなだったなぁと思い出させる描写が多くて、始まりはみんながコロナに怯えて、さまざまな差別もあって、本当に嫌な期間だったなぁと改めて思い返すことができました。
Posted by ブクログ
思った以上に面白かった!
相談室に来る人視点→相談室職員同士の会話という流れが読みやすいし、毎回最後でゾワッとする種明かしがある。
それぞれの話も完全に独立はしていなく、ところどころ繋がっていて面白かった
Posted by ブクログ
物情騒然となった2020年。
その中で、作品に出てくるような状況の人たちがたくさんいたのだなと複雑な気持ちで読みました。
自分はといえば、2020年は年明けからすぐに病気になり療養に入った年。症状や薬の副作用に振り回され辛かった。入院もした。
しんど過ぎて、ほとんど記憶がない。
振り返ってみると、今まで生きてきた
なかでベストワンの「しんどい期」だったかも。
作品の中では、シングルマザーの話が一番印象に残りました。
出産も面会制限あって、一人で不安と闘って辛かっただろうな。
全話を通して、すごくスラスラ読めました。
理由を考えてみると、それぞれの立場で辛さがあって、登場人物を応援する気持ちが強かったからだと思います。
話の中で登場するレモン色の御守り。全話でつながっていて良かった。
心が温まる良い作品でした。
Posted by ブクログ
コロナ禍のとある市役所におけるこころの相談室のお話。
普通に一話読み終わって、一件落着と思いきや、その後の市役所の昼休みや退庁前のカウンセラー二人のやりとりにより、暴かれる真相。
毎回晴川さんの話すどんでん返しに驚きつつも、その驚きが快感になってました。(笑)
最後の方で、4話との繋がりに気付き、そして5話は1話に繋がっている。
ほっこり系かと思いきや、人は誰でも嘘をつく、という真理に基づいたお話だったのね、と感心。
Posted by ブクログ
コロナ禍の2020年、立倉市の市役所に設立された「2020こころの相談室」を利用した人々と2人の相談員の物語。
母子家庭で高校卒業後就職を希望していたが、コロナの影響で希望する業種の求人がなく悩む女子高生「白戸ゆり(17)」。看護師であることを理由に婚約者と喧嘩別れした男性「諸田真之介(29)」。コロナ禍で妊娠・出産したが、夫は仕事で忙しくワンオペで育児ノイローゼになった女性「秋吉三千穂(38)」。日雇い労働者の仕事がなくなり、ホームレスになった男性「大河原昇(48)」。対面での授業がなくなりリモート授業で引きこもりのようになった男性「岩西創(19)」。
相談者本人視点のストーリーの後に「〜のひととき」として相談員側の短いストーリーがついている。晴川と正木2人の会話で構成されており、相談者の隠した秘密、嘘が暴かれる。晴川は若いけれど人をよく見ており、名探偵さながらに相談員の隠した秘密を暴いていく。正木は人のいいおじさん、おじいさんという感じ。
相談の内容はどれも、本当にこういう人いたんだろうなぁと思うようなもので心が痛い。だが、どれも前向きな形で終わっているのがいい。「白戸ゆり」のエピソードが一番可哀想だった。大人ではないだけに自分で決めることができず、母親に気を遣って、親身になってくれない教師にも気を遣って…。「岩西創」のエピソードで見える後日談でも良い方に転がっていることが見て取れてよかった。
Posted by ブクログ
短いお話がいくつか入っていて、繋がっていないかと思っていたのに、繋がっていたり。
相談の内容に嘘があっても、見破る事ができて凄い。
私は言われた事を正直に信じてしまうから、真実を見極められたらいいな。
Posted by ブクログ
まあまあ面白かった
コロナを思い出した
最後の章はすぐにオチが読めた
少し残念なのは、章ごとに中途半端に繋がってたり繋がってなかったりしたこと。
繋げるなら全章で少しずつ繋げた方が、作品として綺麗だった。
Posted by ブクログ
コロナ禍の頃を思い出す作品。
コロナ禍で悩んでる人が、カウンセリングを受けるだけではなく、各章の終わりに謎解きがある。毎回、その真実に、私は驚かされた。
私も、彼女のカウンセリングを一度受けてみたいと思わせてくれた1冊。
Posted by ブクログ
カウンセラー晴川と定年後学んでカウンセラーになった正木のコンビがすてきだった。カウンセラーがふたりで聴くというのは小説だからかな。1対1しか経験がないため想像でしかないが、2対1だと話しにくい気もする。でも話中は晴川と正木のキャラのおかげもありスムーズに進み、最後には晴川が名推理をする。確かにコロナ禍にたまたま遭遇しただけなのに失ったものを取り返すことができない人が多すぎる。自身の実感もありそのまま受け止めてくれるカウンセラーの存在は大切だと思う。その入り口が役所にあったら気軽に相談できていいなあ。
Posted by ブクログ
コロナ禍、本当に色んな事があった。世の中の変化は目まぐるしかった。怖かった。1番影響を受けたのは子供たちだよなぁ。たくましく生きていってほしい。
Posted by ブクログ
市役所の心の相談室に来た5人の人間模様を描いている。相談者はカウンセラーに必ずしも全てを打ち明けるというわけでもないので、相談内容を聞きながら本心や現状を推理する晴川さんの推理が面白かった。
また登場人物が少しずつだけどお互いの生活にかかわりがあり、黄色い「N」のお守りが5人の中を巡る様子や、ゆりと創が最後離れた家族であったと判明したところはぐっと来た。
コロナ禍独特の雰囲気もよく描かれていた作品。
Posted by ブクログ
2020年、コロナ禍が始まった年
さまざまな悩みを抱える5人と、市役所の心の相談室との関わりの物語
高校生3年生の部活と進路、医療従事者の仕事結婚、コロナ禍での出産そしてその後、ホームレスになってしまった人、外に出ることのない大学生
ただの悩みだけではなく、全てがコロナ禍のもどかしさと相まって当時の記憶が蘇る
それぞれが短編で、相談者目線の物語と、それに応える形で市役所の相談員晴川さん・正木さんのやり取りが添えられているのがおもしろい
実際にカウンセリングを受けているような気分にもなり、ちょっとひとひねりしてあるので、相談員さんの話で答え合わせをしている感じでした
最後の物語でハッとさせられ、心にじーんと響く
コロナの大変な時はもう味わいたくないけど、たまにこの頃の物語を読むのもいいですね
短編集でサクッと読めます!
Posted by ブクログ
久しぶりに読んだ、ほっこり系
建て付けはコロナ禍×問題を抱える人々、
読みやすさが特徴の作家さんなのかな
少し予定調和すぎて物足りなかったかな…ごめんなさい
母親にも元婚約者にも不倫相手にも父親にも
もっと不満をぶつけても、正しくないことは糾弾してもいいと思うのだけどな
皆さんものわかりのよすぎる主人公というか
市役所のカウンセラーの女性が推理力を発揮していくのだけど、納得感が足りないというか
子持ち女性が実は不倫相手だったり、ホームレスが実は常習スリだった件は読者的に悲しくなったし
ほっこり系であるならば主人公達はもう少し善人であってほしいというか…
物語の奥深さよりも分かりやすさや手軽に読める感を重視されているのかなと感じた