あらすじ
知られざる「死」の歴史を紐解く!
首切り、切腹、怨霊…なぜ日本には独特の「死に方」が生まれたのか?
●憎き敵に、生首を踏ませて辱めた源義家
●処刑された首はどこへ行く?
●刀を呑み込む今井四郎、集団自殺の加茂一族……壮絶な武士の死に方
●なぜ、ペストは日本にやってこなかったのか?
●庶民の遺体があっても、悲しまない? 『明月記』に見る貴族の感覚
●政治闘争に敗れて左遷され、怨霊となった菅原道真
●悲惨な死に方をした天皇たちの名前にまつわる不思議
●日本でも万能薬として売られていたミイラ
●当時と現代における、大きな「死」への価値観の違い
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本人の死生観がどのように変わっていったのかがよくわかります。
とくに、切腹がいつからおこなわれていたのかについては、目から鱗でした。
時代劇を見ているだけでは勘違いしたまま過ごしていくことになったと思います。
妖怪といわれるものが、史料にはほとんど記述がなく、水木しげるの創作だろうといわれているというのも、なるほどと思う反面寂しい。
Posted by ブクログ
帯にあった「なぜ日本には独特の『死に方』が生まれたのか?」という一文に惹かれて。
言われてみれば、切腹という作法は日本独自である。
諸外国では死の苦しみを少しでも長引かせないためにギロチンが発明される一方、日本ではすぐには死ねない切腹が生まれた。
その切腹がいつ頃から行われ、どういう価値観でもって発展(と言っていいのか)したのか、その解説を読むだけでも興味深かった。
重くなりがちな内容だが、ですます口調の柔らかい文体で書かれているので読みやすかったのもいい。
武士が己の手柄としていた「首」について、他にも「疫病」「怨霊」「葬送」「臨終」など「最期」に関わることを歴史的な視野から見つめた一冊。
特に印象深かったのは。
・昔は頭を見せるのが恥ずかしいという文化があった?股間を出しても烏帽子は脱がずなことも。
・日本にペストが蔓延しなかったのは、ペストが入り込む外交がなかったから=鎖国は成立していた(最近は鎖国はなかったという説も根強い)
・昔は夫婦別姓だったため、お墓もそれぞれ別個だった。それが夫婦同姓になりお墓も一緒になった(お墓も一緒になったから夫婦同姓になったのか、その逆だったのかの議論はさておき)
あと、個人的不勉強で恐縮だが、天皇は今でも土葬だったことに非常に驚いた。
上皇陛下は様々な理由から火葬を望んでいらっしゃるとのことだが。
ともかく、親しみやすい文章かつ興味深い内容、驚かされることも多く、読んでいて波長の合う一冊だった。
勉強になったし、内容が内容なのに(不謹慎ながら)楽しい読書となった。
他の著作もこのような文体なら読んでみたいと思えた。
Posted by ブクログ
"死"という側面から書かれていることが、なかなか新鮮だった。
本郷さんはすごい勢いで新書を出版されているが(読むのが追い付かない・・・)、とにかく歴史は面白い、考える学問であるということを広めたいということに基づいてやられているので、歴史が苦手な人にぜひ読んで欲しいと思う。