あらすじ
それは大戦の傷跡がまだ深く残る一九五〇年十二月、三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家に届いた一通の手紙から始まった。便せんに書かれた“すべての事件の謎は我が解く”の一文。それが意味する「謎」とは――。本格推理の名手が“難攻不落のトリック”をひっさげて読者に挑む、新しいエンターテインメント意欲作!
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Posted by ブクログ
破天荒な探偵と振り回される助手という構図。よくあると言えばそれまでだが、迂生は榎木津探偵と関口氏を連想した。比較対象が悪いのかも知れないが、正直あまり魅力的な人物造形はできていないように思う。ミステリとしてはこんなモン見抜けてたまるか、という大ネタが仕掛けてあって、素直に騙されるしかなく、読み返して伏線はちゃんと張ってあるんだなと感心(?)するタイプ。その辺で違和感を懐いたとしても、このオチが見抜けるとは思えず、怒る人はいるんだろうな。迂生は喜びましたよ。ただ、予告状の真相をあっちの方向で解決したのは残念。
Posted by ブクログ
大戦の傷跡がまだ深く残る1950年12月,300年以上続く由緒ある旧家,西郷家に「すべての事件の謎を我が解く」という手紙が届くところから物語が始まる。骨格は,古き良き時代の本格ミステリ風の雰囲気。探偵役の摩神の登場の仕方が,自分が謎を解くという手紙を送りつけるというものである辺りは,古典的な本格ミステリのパロディっぽい雰囲気も醸し出している。しかし,真相はその斜め上をいくもの。ちょっとした伏線はあるが,最終段階で舞台が火星であること,使用人が火星人であることなどが明かされる。SF的設定を入れたミステリであり,1950年というのは火星歴の話。東京から疎開というのは,地球から火星に疎開してきていたという真相。ちょっとバカミスっぽい雰囲気すらある。
フーダニットとしての意外性はほとんどないが,設定そのものの意外性は高い。SF的設定を含んだミステリは嫌いではないので個人的な総合評価は★3。でも,。ロボット三原則まで出しているわけだし,本格ミステリだとして真剣に読んでいたら,真相に怒り出す人もいるかも。
○ 登場人物
摩神尊
探偵役。自分が謎を解く姿を予見することができる。
木塚東吾
文筆家。ワトソン役。旧弊主義的表現を好む。
西郷瑛二
西郷家の9代目の当主。事件の黒幕的存在
西郷涼馬
瑛二の長男
西郷倖也
瑛二の次男
西郷花鈴
ヒロイン。花鈴の婿選びが,本作品の主たるイベント
西郷美和佳・優里佳
西郷家の先代の双子の娘。美貌を兼ね備えた芸術家。故人
西郷有加利
瑛二の妻。故人
柿沼勇
柿沼コンツェルツンという財閥の御曹司。花鈴の婿候補のひとり
緒方博隆
文部省事務次官。花鈴の婿候補のひとり
星宮秀介
東京から疎開してきた自称画家。花鈴の恋人。実行犯。
南雲游平
有加利の幼馴染。原子力研究の技術責任者。
桐野淳蔵
西郷家の執事。
茨木比奈子
西郷家の侍女頭
那波
警視庁の警部
虎岡
那波の部下
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
それは大戦の傷跡がまだ深く残る一九五〇年十二月、
三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家に届いた一通の手紙から始まった。
便せんに書かれた“すべての事件の謎は我が解く”の一文。
それが意味する「謎」とは―。
本格推理の名手が“難攻不落のトリック”をひっさげて読者に挑む、
新しいエンターテインメント意欲作。
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後の作品「木塚家の謎」を先に読んでしまったのでさかのぼり読書です。
ラストの大どんでんがえし、謎解きではない部分
(ある意味それも謎なのか)での驚きが大きかった。
続編を読んでいて主役の性質を知っていても、やられた~と思いました。
結局バカミスなのかな?これ。
気軽に!な割には摩神探偵の色々を思うとなかなか深い気もしてきます。
面白かったです。