あらすじ
インテリジェンスは国家安全保障の専売特許ではない。ウソやバイアスに引っかからないための最強の知恵なのだ!! 私たちは有象無象の情報(インフォメーション)に振りまわされて失敗することが少なくない。なぜなら人は自分に都合のよい話を重視したり、経験が邪魔して誤った先入観に縛られやすいからだ。「一見が百聞に如かないこともある」「すべてに原因があるとはかぎらない」「結果を見て『自分は予測していた』と思いたがる」――本書は日常生活に潜む落とし穴と、そこに陥らないヒントを、情報分析(インテリジェンス)のプロが導き出す。正しいメソッドと優れた直観を働かせ、仕事や人間関係で得するための判断力養成ハンドブック。
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Posted by ブクログ
"情報があふれている中、自分が正しい判断をする一助になるヒントがあるかなぁ?と思って手にした本。
情報と情報、点と点を結びつける事で、自分が必要とするインテリジェンスを手に入れることができたらすばらしい。情報分析をしているプロが、どんなことをしているのかを紹介し、実践で使えるような練習問題もある。
気になった点をメモしておく。
第1章 問題解決のための基礎知識
問題は4種類ある。単純問題/確定問題/ランダム問題/不確定問題
前半2つの問題は、インフォメーションがあれば、解決するようなもの。後半の2つの問題は、インフォメーションだけでは解決できない。分析・推定が必要になってくる。
第2章 過去を解明する、未来を予測する
過去を解明する事例:アイオワ号の爆発事故
未来を予測する事例:敵の上陸地点を予測する
第3章 知識と経験・五つの落とし穴
分析には「アート(直感、演繹法)」と「サイエンス(メソッド、帰納法)」二つの面が入り交じっている。
ヒューリスティックは、バイアスの元凶
無意識のバイアスはやっかい
1.典型的のヒューリスティック
2.利用可能性のヒューリスティック
3.因果関係のヒューリスティック
4.修正/アンカリングのヒューリスティック
5.後知恵のヒューリスティック
第4章 正しい情報分析の技術
仮説を適度に見直す - ベイズの定理
競合仮説分析
リンチピン分析
第5章 ケーススタディで見る競合仮説分析"
Posted by ブクログ
インテリジェンスを仕事に活かすために必要な人間の心理面の知識、分析手法が安易に解説している良書です。
心理面では、ヒューリスティックスやバイアスなど。
分析手法としては、ベイズの定理や競合仮説分析など。
推論や意思決定のための基本知識を得ることができ、今の仕事にたいへん役に立ってます。
Posted by ブクログ
これは読むべき本。
マンモグラフィーで乳がんになる確率の話は衝撃的だ。
健康診断で、検査機は陽性患者の95%を陽性と判断する。
そして、検査対象者の5%が陽性と検査機が判断する。
さて、Aさんが検査の結果、陽性だったとしよう。
このAさんが陽性患者である確率は何%か。
というような問題。
多くの医療関係者も含め、この問に対して95%とか、9割と答えたという。しかし実際には正しくない。
疑陰性と、擬陽性の可能性があるためだ。
統計の落とし穴にはまり、正しくない意思決定を起こしてしまうことは多々ある。それを可能な限り回避しなければならない。
Posted by ブクログ
国家安全保障機関の情報分析手法の基本がわかりやすく解説されている。問題を分析・解明しようとする際の、バイアスのかかりぐあいや、思考のたどり方を研究した科学であり、一般生活での問題解決にも役に立ちそう。
Posted by ブクログ
政策研究大学院大学教授 北岡元 氏の著書です。
インテリジェンス=情報分析とは何かについて書かれた入門書になります。
非常に読みやすく、内容的も充実した良書です。
情報(インフォメーション)を集め、過去を解明し、未来を予測する情報分析の流れが説明されています。
その中で情報分析時に陥りやすいミスであるヒューリスティクス(固定観念、バイアス)についてパターンを分けて解説されています。
このヒューリスティクスは自分でも思い当たる節があり、実際に注意しなければと思いました。
その後、情報分析の技術的な説明があり、最後にケーススタディでまとめられています。
印象的だったのは、分析は手法などのサイエンスに基づき行いつつも、最終的な結論を出す段階ではベテランの直感的なアートの領域も重視するという点です。
Posted by ブクログ
インテリジェンスという言葉は、数年前からよく耳にするようになり、私も数冊、インテリジェンスに関する本を読んでみた。
私が読んだ本は、国家の情報機関に関する本が主だったため、なかなかむずかしい感じであったが、そのインテリジェンスが仕事に役立てられれば、効率も向上するだろうと思い、読んでみることとした。
この本は、実例を挙げつつ、我々が陥りがちな勘違いや思い込みによって、重要な場面での決断が大きく左右されることを解説している。
ヒューリスティクス。 日常生活であまり聞かない言葉であるが、われわれが持つある種の能力である反面、偏見や思い込みの元凶でもあると書かれている。
個人的には、直観よりもアルゴリズム(原因をしっかり追究して、積み重ねて評価すること)のほうを好むが、これだけでも100%、いい結果を生むとも限らない。
私は、インテリジェンスの世界では、すべてがアルゴリズムで成り立っていると思っていたが、実はそうではないようである。
もちろん、さまざまな情報を収集し、それを評価することが根底にあるが、経験からくる直観も重要視されている、ということはある意味驚かされたが、それもまた、一つ一つの経験の積み重ねがあってこそでるが・・・
また、ベースレートの誤信、ギャンブラーの誤信というものも、さまざまな判断を下す上で過ちを起こす原因となっていることもおもしろい。
ベースレートの誤信では、実例を示され、実際に私も完全に間違った判断をしてしまったが、これは今まで気付かなかったことであった。
ここで重要視されている、ベイズの定理。 非常にシンプルだが、実際の重要な判断を下す際にぜひ利用してみたいと思わされる。
さらにもうひとつの分析手法として、競合仮説分析が解説されているが、これもまた興味深い。
グループで討議を行った場合、さまざまな意見が出てより吟味された考えがまとまると考えがちだが、同じ意見を持った者だけで討議を行うことでそのバイアスが強化されて、必ずしもよい結果を得ることはない、という実験結果が示しており、この競合仮説分析の重要性を考えさせられる。
実際にケーススタディ形式で3問示されているが、とても参考になるものでった。 ぜひ、職場での討議の時に使ってみたい分析手法である。
我々は日々、さまざまな情報を手に入れ、その都度、自分にとって最良とおもわれる判断をしているわけであるが、この本を読んでみると普段、思いこみなどにより大きく間違った判断をしているのでは・・・と思わされた。
冷静に情報を分析し、無意識のヒューリスティクスを排除して、的確な判断を行えるよう鍛錬していきたいと思わされた。
Posted by ブクログ
なぜ思いこみが起きるのかを、ヒューリスティクスが起こすバイアスというインテリジェンスの観点から説明されていて興味深かった。
「競合仮説分析」という分析方法は、特に原因が明確でない不良分析、対策に有効のように思われた。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
私たちは有象無象の情報(インフォメーション)に振りまわされて失敗することが少なくない。
なぜなら人は自分に都合のよい話を重視したり、経験が邪魔して誤った先入観に縛られやすいからだ。
「一見が百聞に如かないこともある」「すべてに原因があるとはかぎらない」「結果を見て『自分は予測していた』と思いたがる」―本書は日常生活に潜む落とし穴と、そこに陥らないヒントを、情報分析(インテリジェンス)のプロが導き出す。
正しいメソッドと優れた直観を働かせ、仕事や人間関係で得するための判断力養成ハンドブック。
[ 目次 ]
第1章 問題解決のための基礎知識
第2章 過去を解明する、未来を予測する
第3章 知識と経験・五つの落とし穴
第4章 正しい情報分析の技術
第5章 ケーススタディで見る競合仮説分析
終章 正しい判断をするために
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
情報(インテリジェンス)の処理、判断の際に使用する思考のショートカット(ヒューリティクス)に注意。
- 確率のミス。(ベイズの法則。乳がん検診の陽性診断の捉え方。ベースレートに注意。)
- 直接見聞きしたことへのバイアス
- 因果関係
- 取りあえず判断してしまい、徐々に修正する際にアンカリングで硬直化 してっ修正ができなくなる。 競合仮説分析Analysis of Competing Hypotheses(ACH)で、仮説と情報をマトリクスにし、矛盾する(Incinsistent)組み合わせを多数探す。
- あと知恵。
リンチピン分析、分析の元となる前提が単なる仮説でないことを確認
Posted by ブクログ
事政策研究から生まれた情報分析(インテリジェンス)を、ビジネス分野への応用に関する入門書です。『ビジネス・インテリジェンス』という同じ著者の本を読んだので、こちらにも手を出してみました。
中盤は、直観に頼ると往々にして誤るという例として、様々な誤りのロジックを出して説明しています。しつこいですが、この部分は、それだけでも読めます。
その上で、そういった誤謬を回避するための客観的なツールとして(アートに対するサイエンスとして)、競合仮説分析というメソッドを提案しています。この手法の特徴的なところは、複数の仮説に対して適合する情報を重視するのではなく、非適合な情報を重視するところにあります。ノルマンディ上陸作戦(を模擬した)例がケーススタディとして採用されていますが、そういった(第2次大戦における上陸ポイントのように)事業戦略上でその結果により非常に大きな影響を与える不確定要素(シナリオプランニングでいうところのシナリオドライバ)の分析には向いているツールかもしれません。
Posted by ブクログ
戦争に勝つための情報分析、インテリジェンスの考え方を簡単に説明した本。キーワードは、ベイズの定理、リンチピン分析、ギャンブラーの誤信、ヒューリスティクスなど。人間の思考が陥りがちなワナを考慮して、客観的に情報分析する必要性が理解できる。
Posted by ブクログ
競合仮説分析Analysis of Competing Hypotheses=仮説に整合しないinfoを重視。それが少ない仮説を吟味、採用する。ベイズ定理による仮説修正。ヒューリスティクスとアルゴリズム。
Posted by ブクログ
インテリジェンスとはインフォメーション(情報)をもとに生産され、国家や企業、個人の判断や行動の材料に使われるもの。なぜインテリジェンスが必要か、それは「得をする」あるいは「損をしないため」である。
インテリジェンスを生産するにはインフォメーションの分析が欠かせない。しかし分析にはさまざまな落とし穴がある。この落とし穴にはまらないためには、いくつかのポイントを押さえなくてはならない。本書ではそのポイントを中心に解説をしている。
Posted by ブクログ
広い意味の情報学の中に、インテリジェンスと呼ばれる分野がある。情報の収集・伝達・分析に基づいて未来に起こりうる可能性を予測し、意思決定に役立てるのが目的であり、古代から方法論の研究と実践が行われてきた。インテリジェンスは組織の戦略策定において重要な役割を果たしているが、日本でインテリジェンスの研究を行うことは長い間タブー視されてきたらしい。最近になって、佐藤優氏がインテリジェンスの実態と実践について衝撃的な本を出したことにより、少しずつ注目を集めつつある。
情報の分析と言えば、計算機科学がもっとも得意とする領域の1つである。しかし、これまで計算機科学とインテリジェンスはそれほど密接に関わっていなかった。インテリジェンスにおける情報分析は、分析担当者の属人的なスキル(勘・経験・度胸)にもっぱら依存して行われていたため、計算機を用いた分析は低く見られたこと、また、それにしたがい、米国の情報機関(CIAやペンタゴン)が自身の情報分析能力の向上に対して予算を付けなかったことが主な原因である。その後、世の中の情報の多くが電子化されてネット上を駆け巡り、サイバーテロやサイバー戦争の脅威が現実味を帯びる中、米国が本腰を入れてデータ分析の取り組みを開始し、(マッキンゼーやIBM等の)東海岸の情報産業がこれに追随したというのが、昨今の「ビッグデータ」ブームの発端なのだろうと私は考えている。
前置きが長くなったが、本書はインテリジェンスの実践に必要な基礎知識を、ある程度体系化して説明している。「ヒューリスティクス」「アルゴリズム」「バイアス」等、計算機科学でおなじみの用語について、計算機と切り離された本来の意味を知ることができて有益であった。また、インテリジェンスの実践には、アート(演繹)とサイエンス(帰納)の融合がポイントだと書かれているのだが、演繹を「アート」とみなす説明が私にとっては驚きであった。私は帰納が大嫌いであり、演繹のみで説明可能な閉じた世界に喜びを感じるのであるが、この性向は科学者に向いていないと常々感じていたので、アートだと言われれば何となく腑に落ちるものがある。
Posted by ブクログ
最近アートとサイエンスの関係を考えるときがあった。対照的なこれらをどう統合できるかということが気になっていた。このときは、最初から統合することを考えずに、結果的にベン図の重なり合った部分に着目するくらいでよいのだろう、と自分の中で位置付けていた。
サイエンスはメソードを重視し帰納法で解決する。アートは直観がものをいい演繹的に作られる。(59頁に対比表あり)本書では、「分析」にはアートとサイエンスが混じり合っていることが必要という。私は重なりあいでなく混じり合いのイメージをつかんだ。この両方のデメリットを押さえ、メリットを活用して融合させることが大切という。
意識していきたいことは、先に結論ありきでインフォメーションを収集しながら、その結論を修正していく「修正のヒューリスティックス」と、とりあえずの結論がアンカーに足を引っ張られて十分に修正できない「アンカリングのヒューリスティック」に陥っていないか点検することだ。
157頁の競合仮説分析(Analysis of Competing Hypotheses)は、機会があればいつか使ってみたい。
1.仮説を複数出す。
2.インフォメーションを縦軸に、仮説を横軸にしたマトリックス(表)を作成
3.アレクサンダーの質問で、どのようなインフォメーションがあれば仮説が否定できるかを考える【重要】
4.インフォと仮説を踏まえて判断(C:適合、?:判断できない、I:整合しない)
5.新たな仮説がないか検討、仮説のは消す
6.Iが極めて多い仮説は消す
7.最後はアートの感覚を使って判断する
Posted by ブクログ
情報分析の入門書
限られた情報を
アートとサイエンスの両方のアプローチで分析し、
結論を導き出す、という情報分析のプロセスは
ビジネスのプロセスと通じるものがあります。
よって情報分析は
分析官やアナリスト達が専門的にやることだけではなく
私達が日常的にやっていることだと感じました。
その情報分析の基本をザくっと学べる、
新書らしい本です。
私的「メモっ得」ポイント
・人間は判断に際して、とりあえずの結論がアンカー(錨)になってしまい、
後でいろいろなインフォメーションを得ても、結論を十分に修正できない
★★★ = 60点以上 = It's ok.
Posted by ブクログ
現在の世の中では、どんどん情報の入手のしやすさが増し、情報量が増えていく反面、その取捨選択や情報処理の能力が情報量の増加に追いついているとは思えない。
そんな考えでこの本を読んでみた。
内容自体は目次を読めば、書いてあることがなんとなく想像できる。
情報分析の際に陥りやすい点や、組織的な情報分析方法などについて具体的な例でもって解説している。
日常生活や仕事でも陥りがちなバイアス(偏見)や勘違いなどの落とし穴を認識できるという点で、大事そうなところをざっと目を通すだけでも役立ちそうである。
Posted by ブクログ
佐藤優氏の著作でインテリジェンスに興味を持ち、具体的にどのような手法があるのかを期待して読んでみました。
インフォメーションとインテリジェンスとの違い、ヒューリスティックエラーをさけるための具体的な分析手法についてコンパクトにまとめられていると思います。土地勘を身につけるにはいいのではないでしょうか。
同じ著者の「Business Intelligence」も読みましたが、どちらか一方、というのであれば後者の方がお薦めです。
Posted by ブクログ
影響力の武器なんかの簡易版って感じだった。
面白いけど、大体聞いたことがある内容だった。
直感と合理的思考のバランスが重要だということ。
直感において陥りやすいミスに注意して直感を利用すること。
--気になった言葉--
ここで、留意すべきは、人間はいったん、「これらしい」とか「これであったらおもしろいな」といったものに出会うと、ほかの可能性を忘れるだけでなく、その仮説をサポートするインフォメーションを選択的に重視し、反証となりそうなものは極力避けようとするということだ。(P39)
したがって、ヒューリスティクスは、新米よりベテランにとって、より危険な存在ということが出来る。(P77)
人間は、この典型のヒューリスティクスを無意識に発動した結果、本来、判斷の基礎とすべきベースレートを無視したり、軽視したりしてしまうのだ。これを、インテリジェンスの世界では「ベースレートの誤診」という。分析にさいしては、無意識のうちにヒュースリティクスが発動されているので、たえずベースレートの存在を意識して、ベースレートの誤診に陥らないようにしなければならない。(P84)
一度出来上がった見方は変わりにくい(P113)
インフォメーションの数が増えると、直感による判断は合理性を逸脱することがある。(P126)
グループ分析を行う場合に、似たような人間どうしで行うのは危険だということになる(P181)