あらすじ
わたしはあなたがよくご存知のある男の妻です。ひと月以内にその男の死亡通知が届くでしょう。彼は実は殺されるのです。そして殺すのはわたしです。こんな殺人予告状が夫とその四人の知人宛に送られてきた。受け取った五人の男は、自分が手紙の中の条件に合致しているのに衝撃を受け、疑心暗鬼になりながらもなんとか対処の方策を得ようと知恵をしぼる。はたして標的とされているのは、この自分なのだろうか。だが、事態は二転三転。ユーモラスなタッチで描く、ひねりの利いたプロット。出色の長編推理!
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Posted by ブクログ
巻措く能わず、とはこのことなのかと今回実感した。
全343ページを5日で消化したのは近来にないハイペースだったと思う。平均にして68~69ページを1時間で読むのだからやはり速い。島田荘司氏の『アトポス』は1日100ページぐらい読んだ記憶があるが、あれとクーンツ以外には思い当たらない。
いや、しかし、今回もなかなかに読ませる。プロット自体は特に斬新ではなく寧ろ地味なのだが、設定や登場人物の動かし方に匠の技が効いていて、350ページ弱を思う存分、愉しませてくれる。
今回の目玉はやはり5人の男に送られた妻からの殺人予告状でこれがどの誰を指すのか判らないという点が面白い。しかし作者はこのワンアイデアで最後まで引っ張るのではなく、130ページを過ぎた辺りであっさりと5人の内1人に絞り込むのだ。
実はここからが天藤真氏の天藤真氏たる所以で、今まで微妙な利害関係で成り立っていた彼(女)らを1つの探偵チームとして機能させていく所がミソ。しかも各々の職業の特性を活かしながら。私自身面白かったのはこの5人が抱えている問題がひょんな事件をきっかけに解決の方向に向かう所で、特に主人公格の羽鳥の妻との問題はサブストーリーとして○。
しかし今回はやはり第3部の存在、これが読者諸氏の感慨を非常に左右すると思われる。第3部は不要で第2部まででよかったのではないかという声と、いややはり第3部はこのストーリーの最後のどんでん返しとして必要だという声が当時あったのではないだろうか?
私は、と云えば…まあ、上の星評価で判断してもらいたい。
Posted by ブクログ
よい小説とは必ずしも現実的である必要はなく、ただ作者の作った虚構の中で物語の進行に矛盾や違和感のないものであれば良質なエンターテイメントとなりえます。
その意味で、この小説はミステリーとはかくあるべしという模範例です。
ただし、小さな穴はあります。(以下ネタバレあり)
共通の知人という設定ですので、中心となる人物一人を抜きにしては共通足りえないという点を考慮すればターゲットはこの時点で明らかです。
とはいえ、最終的にはそういう結末(どんでん返し)にはなるのですが・・
まあ、そんな小さな隙が気にならないくらい、この舞台設定を考え付いた作者の創造力に脱帽です。
「大誘拐」「雲の中の証人」「遠きに目ありて」と並ぶ読んで損のない傑作です。