【感想・ネタバレ】人体最強の臓器 皮膚のふしぎ 最新科学でわかった万能性のレビュー

あらすじ

皮膚はさまざまな能力を併せ持った「スーパー臓器」です。有害な化学物質や病原体の侵入を防ぐ物理的バリアであるともに、人体最大の免疫器官であり、無数のセンサーが埋め込まれた感覚器官です。
皮膚組織の分子レベルが解明が進んだことで、これまでからだを覆う「薄皮」のように思われてきた皮膚には、生命活動にかかわるさまざまな精緻なしくみが備わっていることがわかってきました。21世紀に入ってからの皮膚医学の進展は目覚ましく、毎年のように教科書を書き換えるような発見が相次いでいます。本書は、人体最強の臓器と呼ばれる皮膚の謎に、最新の科学的知見を元に迫ります。


ここまでわかった万能の臓器「皮膚」の謎
・人が温度を体感できる「からくり」がわかった
・皮膚をかくと、かゆみが静まる驚きの理由
・ヒトが「裸のサル」になった必然的理由とは?
・アトピー性皮膚炎の原因遺伝子がわかった
・いかに皮膚は老化するのか?
・喘息などのアレルギー発症も、アレルゲンの皮膚侵入が引き金になる
・AIの診断能力はすでに一流の皮膚専門医をしのぎうる

(本書の内容)
はじめに
第1章 そもそも皮膚とはなにか?
第2章 皮膚がなければ、人は死ぬ
―生体防御器官としての皮膚
第3章 なぜ「かゆく」なるのか? 感覚器官としての皮膚
―感覚器官としての皮膚
第4章 動物の皮膚とヒトの皮膚 109
―生き物が変われば皮膚も変わる
第5章 皮膚の病気を考える
―どんな病気があるのか?
第6章 アトピー性皮膚炎の科学
―現代人を悩ます皮膚の難病
第7章 皮膚は衰える
―皮膚の老化とアンチエイジング
第8章 未来の皮膚医療はどう変わる? 239

番外編 研究者になるための体験的・人生ガイド

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 皮膚を研究対象とし、主にアトピー皮膚炎を相手に苦闘してきた著者による労作。

 再後段の、アトピー皮膚炎用の新薬開発とそれを支えた科学的な思考が著者の中でどう醸成されたか、が本書の最も重要なポイントとなる。

 と感じたので、門外漢である私の印象としては、皮膚関連の疾病一覧やそれぞれどのような薬剤が有効か、と言う部分については省略して良かったのではないかと思う。

 アトピー皮膚炎との闘いとその前段として、皮膚と言うのが人の最大の臓器であること、皮膚の基本構造などに述べている部分をもっと詳しく、と思った。差し出がましいが、おそらく著者は真面目な性格で、自分が皮膚について知っていることをすべて詰め込んでしまったのではないか。

 科学分野の本で面白く読んだ、前野ウルド浩太郎氏の「バッタを倒しにアフリカへ」「バッタを倒すぜアフリカで」や、川上和人氏の「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ」のようにテーマごとに深堀りする方式でも良かったのではないか。ただし、本書で触れられている内容については初見のものばかりで、その高度に知的な刺激について刮目して読んだ。

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2025年11月24日

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