あらすじ
◆◆◆一生使える「知の道具」、本物の教養を手に入れよう◆◆◆
◆◆◆待望の文庫化 池上彰が贈る骨太の「リベラルアーツ」◆◆◆
「すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる」――かつて現上皇にご進講した小泉信三は、学問についてこんな言葉を残しています。
教養を身につけるとは、歴史や文学や哲学や心理学や芸術や生物学や数学や物理学やさまざまな分野の知の体系を学ぶことで、世界を知り、自然を知り、人を知ることです。
世界を知り、自然を知り、人を知る。すると、世の理が見えてきます。
そうやってはじめて、たとえばビジネスの専門分野――それはITかもしれませんし、金融かもしれませんし、メディアかもしれませんし、製造業かもしれませんし、サービス業かもしれません――で、これまでにない新しい何かを生み出すことが可能となる。
なにより、その人の人生そのものが豊かになる。学ぶことそれ自体が楽しくなる。
教養は、一生かけて身につけ続けて、絶対に損のないものです。
しかも、いつからだって学ぶことができる。
教養がいかに「使える」ものなのか、教養がいかに「人を知る」ために不可欠なものなのか、教養がいかに「面白くてたまらない」ものなのか。
私の仲間の先生たちと一緒に、考えていきましょう。
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Posted by ブクログ
すぐ役立つものは、すぐ役に立たなくなる。
教養とは、高度な社会性を身につけること。
正義とは何か、平等とは何か、人は何のために生きているのか。異なる背景を持った他者を理解するとは、どういうことなのか。
ハウツー本のような小手先だけの技術を身に付けるのではなく、自ら思考して、そこに至るまでの手法を身につけられるような教養土台を身につけなければいけないのだな、と感じた。
今後、AIが発展していくなかで、暗記だけの専門知識は意味がなくなってくると思う。
知識を応用できる力、新しいものを創造できる力、さまざまな生物と共存していくための倫理観がより求められる時代になる。
Posted by ブクログ
もっぱら「おすすめ小説」など検索し、小説三昧だった自分。
小説ばかり読んでいてはいけないな、と思わせてくれた本。
もしこの本に興味があって読んでみたいけど時間がない方は、1限の章と、修学旅行の章だけ読んだらいいと思います(要するに最初と最後)。
↓以下ネタバレです
ほとんどの人が、浅くとも深くとも何かしらの「専門」を持っていて、その専門分野を突き詰めるだけでなく、異分野の知識も積極的に取り入れたあと、その得た知識を自分の専門にどう落とし込み、結果的に専門の幅と奥行きが増すことになったらいい。もちろん、教養的な知識は、自分の心が豊かになるだけで、実益に役に立たなくてももちろんいい。
「すぐ役立つ知識はすぐに役に立たなくなる」が印象的だった。
本書の主題とは関係がないが、対話方式ですすめられており、池上さんの受け答えの仕方がとても上手だった。参考にしたい。
私は大学時代、東工大のサークルに入っていたが、そのときの東工生のみなさんとても素敵だった。とても楽しかった。本当に。コミュ障だなんて全然思わなかった。なので密かに東工大びいきです。
私の大好きな東工大。当時仲良くさせてもらっていた方達は、みな華々しい就職をしていった。現在の東工大の学生さんたちも、素敵な人生が送れることを願っています。
Posted by ブクログ
30歳を迎えた自身に教養がなさすぎると思い、拝読しました。
今更ながら大学でもっと学ぶことがあったと後悔しております。
日本の教育方針や海外との違いを知ることができ、危機感を感じた。
特に印象的なフレーズは「教えるべきは知識ではなく、学び続ける姿勢」で、将来子供に向き合うときに大事にしようと思いました。
Posted by ブクログ
教養の重要性を痛感した。
「すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる」が印象的。
専門知識だけを熱心に学んでも狭隘で短絡的な考え方しかできない。
すぐには役に立たない教養こそが日本の未来を切り拓く上で最も重要であり須く身につけていくべき。
日本人は出された条件下で100点を取るのは得意だがその土台である条件の怪しさを疑うのが苦手。
前提を疑うクリエイティブな思考は教養から生まれる。
積極的に教養を身につけ、欧米に負けない柔軟で奇抜な姿勢を持っていかなければならない。
Posted by ブクログ
教養・リベラルアーツとは,それを身につけた人自身の人生や,また社会と関わっていく上で,それらが"よりよい"ものへと歩みを遂げるために欠かすことのできない,土台や足腰として支えになるもののことであり,それそのものがすぐには役に立つことはないが,生涯に亘ってじわじわと力を発揮することになる。
反対に専門的分野の実学的志向が強い最新技術などはすぐに役には立つのだが,頻繁に刷新されていってしまうために,すぐに役にも立たなくなる。
だからこそグローバリゼーションや多様性が重視されていくことで,変化が激しくなるこれから先の世の中を生き抜いていくためには,下支えとなる教養・リベラルアーツを身につけておいた方が,様々なことへ柔軟に対応できるし,新しいアイディアや気付きを得られる可能性が高まる。
哲学による社会的合意形成のパートでは,よりよい人間関係を築くこと,そのために必要なコミュニケーションの在り方を知ることができた。
人が意見を持つにあたっては,必ず何らしかの理由があり,その理由も含めた背景にある様々な事情を知ろうとする姿勢を持つことの大切さの話が身に沁みた。
文化人類学・宗教のパートでは,オウム真理教事件などを通して,日本における古典的宗教の凋落,存在感の希薄化が,個人におけるアイデンティティ・クライシスを引き起こしていること,現代病ともいえる"生き辛さ"を抱える人の増加の一因となっていることを学んだ。
生物学のパートでは,人は「幻想」とでもいうべき目には見えない理想や理論にとらわれすぎてしまっていて,現実に実際に起きている現象を疎かにしがちであること。
もっと現実をしっかりと見据えていくことによって,新たな気づきや問題に対する打開策が見つかることもあるということが学べた。
修学旅行と題したアメリカのトップ大学における教養教育の見学では,実際に社会に出て有用な存在として力を発揮するために採られている施策の数々に圧倒された。
日本とは真逆ともいえる理念の掲揚を前に打ちのめされる思いだった。
そりゃ日本は失われた30年へと顛落したまま,なかなか抜け出しそうな希望を実感として抱けないわけだ。
とまあ,このように,全体的にはとても良い本なのだけれども,5限目に登場する生物学者の本川達雄氏の物言いが,だいぶ言葉強めで上から目線に感じてしまうところが鼻についてしまった。
特に自分自身が(西洋)哲学専攻者であるために,プラトンのイデア論や,デカルトの心身二元論による物理的な実体と心的実体を切り分けて,心的実体の方をより高位に配したことに対するこき下ろし具合は酷い言い様で,それこそ逆に自然科学的な物の見方しかできていないようで,教養が無い振る舞いのように感じられてしまった。
もちろん昔の哲学には誤りが多いことは事実ではあるけれども,そもそも哲学とはそのような誤りを検討し論じあうことによって,よりよい考えや観点を導き出して,歩みを進めていくその総体に意味がある学問なのだ。
それを一時点における考えを持ち出して,自説のための叩き台として批判して貶す本川氏の振る舞いが,教養を推奨する本の中で見られるものとして果たして本当に適切なものであったのかどうかは,もう少し考慮していただきたかったなと思う。
Posted by ブクログ
最近「教養」についての本を読んでいるが、著者は違えど、定義的には同じようなことが書かれてあるかな。
ただ池上彰さんは、東工大出身かつ東工大で教えているようで、学生を対象に述べている内容が多いが、その文脈で、なぜ日本の企業が冴えないのか、なぜ政治が劣化しているのか を述べているのが、興味をひく。
また、宗教と科学の関係性についても、対談を通じて考察を述べているが、面白い切り口だなと感じた。
大学4年間で学ぶべきは、知識を暗記すること以上に、学ぶ姿勢であり、学び方である。
社会に出たら自ら学ばなければそこで成長は止まってしまう。社会に通用しないだけでなく、つまらない人間になってしまう。日本の大学教育には、そもそもこの「学ぶ姿勢」を教えるという側面が弱い。
これにも納得だ。
Posted by ブクログ
「実践!○○」「役立つ○○」を読んでも、今ある枠組みの中でしか使えない。
新しいものを作り出したり、根本的な解決に導くヒントは違う分野からやってくるのだというところが腑に落ちた。
教養は、物知りになることではない、人間の根っこをつくること。
すぐ実を結ばなかったり死ぬまで役に立たなかったりが前提だけど、インプットを続けたいと思った。特に今まで見向きもしなかった分野で。そんな積み重ねで、初対面の人ともバックグラウンドが違う人ともコミュニケーション取れるような教養のある人間になりたい。
Posted by ブクログ
専門的な言葉も多かったけど、対談形式でおもしろく読める1冊でした。
大学時代にかなり教養科目があって、当時はなんでこんなに専門と関係ない科目があるんだと思ってたけど、今考えたら私の出身大学はリベラルアーツにも力を入れてたんだなあと。。。
不真面目に受けてた科目もあって本当に今考えたら申し訳ないしもったいないのですが←
教養科目があったからこそ専門分野に生きてるなあとか、自分の人生に生きてるなあってことが結構最近になって実感することが多くて。
今の私だからこそ興味深くおもしろく読めたのかなーとおもう!
大学時代、文化人類学大好きだったんだよな〜
上田先生のダライ・ラマ先生との本、これ読んでたら読みたくなって買っちゃいました。笑
スリランカの悪魔祓いも読みたいけどプレミア本と化してて手に入らない!!!!!
Posted by ブクログ
●教養とは
ネットでおおすめしていて気になった。
生物が他の理系科目と違って事柄に理由があること、大学は教養を教えることか主で良いことが参考となった。自分は総合大学だったので、専門以外の科目もよく学んだ。それが他では常識ではないんだとも知れた。
Posted by ブクログ
なんで今までこんなにも教養を疎かにしてきたんだろう!もっと学んでおけばよかった!ととても思いました。
一人の大人として、広がる多様性の一部として、
自分ならではの価値が出せるように、
また自分のなかでさまざまな視野を持てるように、
教養を学んで深い洞察を手に入れたいです。
〜〜〜
教養は、「人間の根っこ」を作る
高度経済成長頃から、実学重視の教育が主となった。「大学を出たらすぐに役に立つ」専門的な科目を勉強することが是とされている風潮があり、教養(たとえば人文学や宗教学、生物学など)は疎かにされてきた。
しかし、"最先端"の知識は、すぐに古びる。すぐに役に立つものは、すぐに役に立たなくなる。だからこそ、その新しい知が生み出されるに至った、根底の考え方やさまざまな背景知識(=教養)を学ぶ方が、本質的。
本来教養は無駄なものでありすぐに役に立たないものである。それを十分に分かった上で、自分たちの見識や人生を豊かにするためにはなくてはならないものであるとも理解できた。
また、社会システム上で「強い」人や合理主義である人というのは、裏返せば現代の社会システムに大いに依存しているといえる。家庭を顧みず働いて経済力がある人が偉いとされても、会社を失ったその人は行き場を失う。単線的ではなく複線的な人生であれば、一方で転んでももう一方で救われることができる。宗教に対して、ただ知らないだけなのにアレルギー反応を起こすのはもったいない。合理主義を信じきっていること自体もある意味洗脳と言えるのに。
文系的・右脳的・イメージ的な説明と、理系的・左脳的・論理的な説明は、それぞれ別の言語。得意な言語だけで会話をしようとすると噛み合わず、理解されない。わかりやすい説明は、この両方に触れること。
プレゼンテーションで大切なのは、エートス(本質)、パトス(情熱)、ロゴス(論理)。そのどれも欠けてはいけない。コミュ障ボキャ貧なのは、伝え方を学んでこなかったから。