あらすじ
維新後間もない日本の奥地を旅する英国女性を通訳として導いた青年イトウは、諍いを繰り返しながらも親子ほど年上の彼女に惹かれていく――。イトウの手記を発見し、文学的背景もかけ離れた二人の恋の行末を見届けたい新米教師の久保耕平と、イトウの孫の娘にあたる劇画原作者の田中シゲルの思いは……。
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Posted by ブクログ
なんとまぁ。素敵な物語を読んでしまったんでしょう。私ってば。
タイトルも、なんだかとてもダイレクトな感じがして、いいですよね。
男子校の新米教師が、実家の屋根裏で見つけた「イトウ」という人物の手記に興味をもち、調べていくという物語。
もう、ほんと、「イトウ」若くて一途な気持ちが、とても心に響くんだなー。
若さゆえの暴走だったり、若さゆえの悩みだったり、それがとてもせつなくて、しかも、国も年齢も身分さえも全く違う二人の距離感が、なんともはがゆくて、お互い素直になれないその感じ。
誰かを好きになる。って、なんだかとても素敵なことなんだな。なんて胸がキュンとしたりしました。
「イトウ」の手記を調べている、高校教師の耕平と「イトウ」の子孫・シゲル(女)、そして、耕平の教え子のまこっちゃんの三人も、とても魅力的なキャラクターで、特に、シゲルの性格、すごく好きです。
ラストの解釈や、登場人物のその後のことなど、読者に投げかけてるような感じが、より一層、物語全体の想像力を掻き立てられるようで、私なりの解釈としては、なんとなく、ニヤニヤしながら、見守る。みたいな、そんな感じかなー。
とても素敵な一冊でした。