あらすじ
魔王が勇者に討たれて15年、戦争に敗れた魔族への不遇な扱いが色濃く残る世界。魔王軍の女幹部だったベルデはろくな仕事にもつけず、惨めな思いをしていた。だがある日、下水掃除の仕事を終えたベルデは、子供に転生した元魔王・エステラと出会い、絶望した人生に希望を抱き始める!しかし次にエステラが彼女を連れて行ったのは、なんと畑を耕す元勇者のところで!?――戦争が終わった世界で、新しい生き方を探す彼女の物語が始まる。
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深みのある物語
人と魔族の千年の戦争後の世界。
負けて虐げられた魔族の視点で物語が進行する。
戦争の後、世界は平和になり暮らしやすくなったのか?
人として転生した元魔王と四天王と呼ばれた人魔の女性が旅する先で見る世界は?
敗残した魔族の生き残りが再び戦争を画策する中、
元魔王と魔族の女性が考えてとる行動が深い。
かなりいい
これ、かなりいい作品。
系統としては「葬送のフリーレン」に近く、哀愁と温かみの感じられる物語。
飄々としすぎているフリーレンより、本作の方がより気持ちがこもっているとさえ言えるかもしれない。
1話1話、セリフの1つ1つに重みがあり、考えさせられる。
これ、かなりセリフを練って書いているんだろうな。
一方で、フリーレンの「一級魔法使い試験」のような、少年マンガらしい展開は本作にはない。
その結果、話が進めば進むほど、展開の変化が乏しくなってしまう感はある。
また、それもあってか2巻の中盤くらいから「主人公の毒気が抜けすぎて、普通の物語に」なってしまった感も感じる。
これらの問題を今後どう解決し、どうストーリーに変化を付けていくかが見ものというか、課題じゃないかと思う。
「戦いを避ける」ではどうしても話にメリハリがつかないしね。
絵はこなれており、十分キレイかつ読みやすい。
ただ、動きのあるシーンは少し苦手っぽい。
(そもそも動きのあるシーンがほとんどないが)
基本的なコンセプト、絵、セリフ、それらは非常に良く、星5の最高評価に匹敵する。
あとはやはり展開のメリハリかな。
戦争後の魔族のストーリー
似たようなお話がありますね、逆の立場ですが。
千年戦争と呼ばれた戦いが終わり、魔王が破れた世界。生き残った魔族は人類の慈悲を受けて人と一緒に暮らしてはいるがあからさまな差別を受けていた。
魔王軍の人魔四天王であった主人公のベルデは魔王が最後に残した「次は人間として生まれ変わりたい」という言葉を信じ辛い日常を耐えて生きていたのだが、遂に魔王の生まれ変わりを見つけ一緒に世界を見て回るための旅をする。
絵も非常に上手だし、戦争後の魔族の生き方、苦悩、人間の邪悪さが丁寧に描かれていて引き込まれます。
ベルデはカワイイくてかなり強いのですがちゃんと?ポンコツな所もあり、キャラとしての魅力も非常に良いです。魔王の生まれ変わりであるエステルも己の起こした戦争を悔いつつもカリスマ性を残しており、自分を倒した勇者にも屈託の無い笑顔を見せます。
魔族と人間の関係性を学び、悩みつつも少しづつ旅を続ける二人のこの先が気になる良作です。ぜひ一読してみて下さい。