あらすじ
女性判事・片陵礼子の経歴には微塵の汚点もなかった。最高裁判事への道が拓けてもいた。そんな彼女はある男が気になって仕方ない。かつて彼女が懲役刑に処した元服役囚。近頃、裁判所の前に佇んでいるのだという。違和感を覚えた礼子は調べ始める。それによって二人の人生が宿命のように交錯することになるとも知らずに......。感涙のミステリー。
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Posted by ブクログ
本屋でたまたま見かけたあまり知られてなさそうな初読み著者。
長編の部類で読み始めは気が重かったが、大幅に期待を超えてきてめちゃくちゃ面白かった。
裁判所の判事と元服役囚による恋愛物語と言って終えばそこまでなのだが、その言葉では言い表せないほど周囲の人間関係や煩わしさが描かれているところが秀逸。
さらには無実の証明をミステリー的に展開していくのではなく、あくまでヒューマンや心象にフォーカスしていて小説として読ませるところが多い。
近しい作者というと平野啓一郎とかかな?かなり面白かったので他作も要チェック。
Posted by ブクログ
頭脳明晰、容姿端麗な女性判事の主人公、礼子。
けれど礼子の幼少期は幸福とは程遠く、実の母の最後の言葉に深く心に傷を負っていた。母の名前も思い出せない、生きているのかも興味がない。
感情を消し、身勝手な夫、義母との関係性を淡々と続ける日々は、私から見ても決して幸せではない。
そんな時に、かつて礼子が懲役刑に処した元服役囚に出逢う。感情を消し去り仮面を被って生きていた礼子の歯車は、彼の存在によって狂っていく。
愛おしい物語だと私は思いました。
最後に、少年のように笑う蛭間と、少女のように笑う礼子。
決してハッピーエンドとは言えないけれど、物悲しい北陸の冬を最後のシーンに持ってくるのも素敵でした。
蛭間という人物が素敵過ぎて、真っ直ぐで優しくて、誠実で、我慢強くて。
器用で繊細で、男らしくて。
二人はきっと、本物の愛を知って、幸せだったんだろうと思えた。
Posted by ブクログ
ただの恋愛小説ではなく、終盤を読み返すと何度も涙が出てくるような作品です。
心が揺さぶられ、没入できる作品でした。
読み終わった後に表紙を見ると、心震えます。
Posted by ブクログ
読み終えたあと、主人公の「その後」が気になって仕方がない。
昭和に「何も言えなくて。。夏」という曲があったが、
その歌詞が心に沁み入る。
「私にはスタートだったの。あなたにはゴールでも」
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綺麗な指してたんだね 知らなかったよ
となりにいつもいたなんて 信じられないのさ
こんなに素敵なレディが俺 待っててくれたのに
「どんな悩みでも打ち明けて」そう言ってくれたのに
時がいつか 二人をまた
初めて会った あの日のように導くのなら
二人して生きることの 意味をあきらめずに
語り合うこと 努めることを 誓うつもりさ
「私にはスタートだったの。あなたにはゴールでも」
涙浮かべた君の瞳に
何も言えなくて まだ愛してたから…
もう二度と会わない方が いいと言われた日
やっと解った事があるんだ 気づくのが遅いけど
世界中の悩み ひとりで背負ってたあの頃
俺の背中と話す君は 俺よりつらかったのさ
時がいつか 二人をまた
初めて会った あの日のように導くのなら
水のように 空気のように 意味を忘れずに
あたりまえの 愛などないと 心に刻もう
短い夏の終りを告げる 波の音しか聞こえない
もうこれ以上 苦しめないよ
背中にそっと「さよなら…」
Posted by ブクログ
浮気とか不倫ってマスコミでめちゃくちゃに叩かれるけど、どうして他人の恋愛にそこまで躍起になれるんだろうと思う。
もちろん許される行為ではないし自分がしたいとは思わないけど、ただ他人の話に首を突っ込むのはお門違いでは?と思う。
今回の物語はそんな恋心を描いていて、切なすぎる…
事件を発端として惹かれ合う二人、叶わぬ恋、ラスト…
旦那もその母親もゴミのような人間で、現実世界なら絶対に関わりたくない人間。
でもそんな人と結婚してしまった礼子は、言ってしまえばDVを受けているのと同じ状況。
一方で蛭間は全てを失っているが、思いやりのある心は決して失ってなくて、それこそ礼子の求めてるものだったんだなって。
礼子には幸せになってほしい。裁判官や政治家などではなく、もっと心が温まるような世界で。それがたとえ彼女の能力の高さを活かせないものだとしても。
Posted by ブクログ
☆4.8
面白くて夢中で読んだ
結末が衝撃的すぎて、今まで抱いてた感想全て忘れた笑
途中から嫌な予感はしてたけど…、本当にそうなるとは思ってなかったし、白黒ハッキリは付けられないんだろうなって思ってたら、次のページではっきり死の描写が出てきて驚いた
蛭間には幸せになって欲しかった…
勝手にハッピーエンドになると思ってたからめちゃくちゃ引きずりそう
Posted by ブクログ
暗い暗い暗すぎる。誰も報われない。ここに出てくる権力を持っている男は最悪すぎるし
蛭間兄妹には幸せになってほしかった。
私の頭の中の映像はずっと灰色で心躍る瞬間がない。ひたすらに薄暗くて息がしづらい物語だった。悲恋物は受け付けないことを学んだ。
Posted by ブクログ
物語全体を通して哀しさ、美しさを感じる内容でとても引き込まれました。
ただ一方で現実味がないところもあり、ドラマチックな展開を作り上げている感が否めず残念な部分もあります。
また辛い背景のある登場人物たちが、ひと時の幸せを感じる時間は一部あったとしても、みんな最終的には、そこから抜け出すことができなかったり、辛い記憶がさらにできてしまったりと救われない部分があるため、それが現実なのかもしれませんが、いたたまれない気持ちになりました。
間違いなく文章などが美しく面白い内容ですが、読む人の好みによって感想が大きく分かれそうだなと思いました。
Posted by ブクログ
終始、(不穏)が漂うこの物語。
最初は全く感情移入出来ない登場人物にかなり戸惑いました。
主人公は非の打ちどころのないほどの美貌にとんでもなく明晰な頭脳。
なのに、マイナスの要素を寄せ集めて具現化したような夫....解らん、根本的に無理。
最後の章が「悲劇」だったのでいろいろなパターンを考えながら読み進めましたが...。そうなりますか。
残念ながら私には刺さらなかったみたいです。ごめんなさい。
作者さんは脚本家でもあるのですね。
なんとなく映像化を念頭に置いて書かれているような気がしました。