あらすじ
2010年秋に行われた中間選挙でアメリカの人々はオバマ大統領の民主党を大敗させることで、中国を甘やかすオバマ大統領の中国政策に不信感を突きつけた。アメリカの人々は、アメリカがついに中国と衝突せざるをえない状況に至っていることを認識し、その決意を表明したのである。(中略)アメリカ衰退論と中国台頭論に酔いしれている日本の企業家たちには読みにくい情勢かもしれない。だが米中の対決はまぎれもなく中国経済を弱め、日本の経済活動は大きな影響を受ける。アメリカの人々は危機に直面すると、それを挑戦と考え、戦って乗り越える。アメリカの歴史はそうやってつくられてきた。アメリカは「中国の挑戦」という危機に正面から立ち向かい、勝つための戦いを始めようとしている。そしてアメリカに戦いを仕掛けられる中国が、いかにひ弱であるか。日本の人々が見落としている事実を、この本で知ってもらいたいと思う。(「まえがき」より抜粋)
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Posted by ブクログ
アメリカでは今、ニューヨークを中心に抗議デモが起こり、ウオール街に対する不満が高まっている。オバマ大統領の支持は下がり、共和党では大統領候補者によるテレビ討論会がすでに行なわれている。そんな中で手にしたのが今回の本だ。
著者の日高義樹氏は、日本のメディアには珍しく共和党よりの主張をする。多くのメディアはニューヨークタイムズやABC,CBS,NBC,CNNといった民主党よりのメディアの意見を取り上げることが多い。当然、共和党よりのFOXNEWSは取り上げない。著者は、米国衰退論が日本で盛んに取り上げられ、中国台頭論に引きずられて、日本は中国にのめり込むのを危険だとしている。
2012年の上下両院選挙では共和党が勝ち、大統領選挙でも共和党の候補者が選ばれると述べている。その理由は経済政策の失敗にあるが、オバマ大統領の保守化傾向で、本来支持基盤であった民主党左派の支持を失う可能性が出てくると指摘している。労働者組合の力が衰え、アフガニスタンの戦争をやめないなど、自分達の主張を受け入れないのに業を煮やして対立候補をぶつけることもありうるとしている。このまま、具体的な成果が出ないとその可能性も考えられる。いいとこだけをつまみ食いして支持を得ようとしてはそうはいかない。演説だけでは景気は良くならないからなあ。
選挙の行方は日本にも影響する。とはいっても、日本マスコミがお約束のごとく取り上げる日米関係への影響についての取り上げ方には疑問がある。アメリカ人で日米関係を考慮して大統領を選ぶ人はほとんどいないし、あくまでも大統領候補が国内情勢についてどう考えるかを重視して選ぶのだから。