あらすじ
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日本列島改造論が吹きあれ、コンクリートの街があちこちに。そこへ石油ショックが襲い、たちまち狂乱物価と物不足が発生する。政界ではロッキード事件、リクルート事件に象徴される汚職がはびこる。昭和はどこへ行く。天皇崩御の悲しみと共に自らの還暦をふり返る。庶民の眼で捉えた画期的「昭和史」全8巻。
「昭和」の歴史は大きな犠牲をはらって得た「もう戦争はしてはいけない」という重い教訓の歴史だった。ふたたび過ちを犯してはいけない。
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Posted by ブクログ
改めて水木しげる氏の漫画と共に昭和史を振り返る。戦争を経験した水木先生の視点は鋭い。わかっている事象ばかりだが、妙に考えさせられる。
気になった一文
『人生の夕日』これがまた意外にいいもんだ。
若いときは成功しようとかなんとか欲があるが、すべてが過ぎ去って年をとり、自分が決まって欲がらなくなる。
今まで気づかなかったいろいろなものが見えてくるのだよ。人間とか、人生とか、いやさまざまなことが、今までにない姿で見えてくるのだよ。
若い時のようにくだらぬ邪心が消えているというのか、正に人生は六十からだよ。
昔と違い、高齢化が進み、こんな境地に達するのは、65歳か70歳でしょうか。
Posted by ブクログ
水木しげるコミック昭和史1~8巻をまとめての感想
「虎に翼」見ている人はぜひ読んでほしい。1~8巻まであるけど、ちょっとボリューム的に心配な人はまずは7、8巻の戦争の終わりから戦後あたりからでもいいと思う。
ちょうどドラマでやっている時期とバッティングするのでNHKの朝ドラ「虎に翼」がちょうど戦前~戦後の時代を描いており、戦争に入ったタイミングで電子書籍のセールをやっていたために購入した。
ずっと読んでみたかった。戦時中と戦争後に国民がどういった生活をしてきたのか、また徴兵された人間はどのような環境におかれたのかを知ることができるという点では広く、色んな世代の人たちに読んでほしいと思う。
メッセージは徹底して反戦であり、また資本主義により国民の生活が引き絞られていくことに言及している。軍国主義のため日本中が貧乏だった時代で勇ましくあることした認められなかった。
”国”だけがあり”自分”はなかった。”自分”を持つこと、すなわち自我を持つことが許されなかったとすら描いてある。国にいじめられているみたいだったと痛烈に批判している。
またそういった日本をほしいままにしていた”軍部”がなくなったのは戦争で外国の力で倒されからだった。ここでも水木は”軍部”というものは外科手術をしなければいけない一種のガンだったとすら言っている。
昭和から平成となるタイミングで出版されたのだが、平成が終わったいまでも水木が作中で言っていることはそのままぴたりと当てはまる。
戦前戦後よりは豊かになったが一般人は心身ともに豊かではない。会社ばかりが豊かになり、一般人はストレスに苛まれている。本当に豊かなのか?競争による効率を重んじた人の商品化や使い捨て、画一性を求めることをやめたほうがいいとまで言い切っている。軍国主義こそ日本を巻き込む大きな不幸だった。
昭和の歴史とは大きな犠牲をはらって得た「もう戦争はしてはいけない」という大きな教訓の歴史だった。ふたたび過ちを犯してはいけない。水木しげるはこの言葉で締めている。ずっと水木しげるは戦争そのものの悲惨さを淡々と描き、戦後生活の困難さもフラットに描いている。だからこそ恐ろしさが足元に迫ってくるようだった
Posted by ブクログ
昭和59年3月〜60年2月の森永グリコ事件を「怪人二十一面相」という章タイトルも使ってかなり大幅に取り上げていた印象。それほど大事件だったんだなって。
作者あとがきではどうしても戦争の当事者としての印象が強すぎて、全8巻のうち太平洋戦争の占める割合が大きいとおっしゃっている。それも仕方のないこと。
まさに晩年は、『論語』の“五十にして天命を知る”“六十にして耳順う”“七十にして心に従いて矩をこえず”の通りの生き方をしているようでした。
鬼太郎が生まれるに至った水木先生の妖怪の世界観について触れられて良かったです。
Posted by ブクログ
第8巻 高度成長以降
万国博とハイジャック
美女エプペ
帰還兵たち
田中角栄と日本列島改造
家ダニのような生活(心象風景)
ロッキード事件
開放なき自由業(いや、不自由業)
安定生活の中での頽廃
再びトペトロの村へ
奇妙な豊かさ
平凡な日々と空想
怪人二十一面相
天皇崩御とリクルート
「戦争中の恩が返ってきてうれしい」
所々過去作の焼き直し?あれど、この熱量よ。