【感想・ネタバレ】乱れる海よのレビュー

あらすじ

50年前に起こった世界初の空港テロ事件。それは崇高な使命からだったのか、それとも……。恋愛小説の名手が拓く新境地。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2022/10/25リクエスト 1

1972年5月30日、イスラエルのテルアビブ空港で乱射テロ事件が起こる。
起こしたのは3人の日本の若者たちだった。

京都大学の渡良瀬千尋は、大学入学後、セツルメント活動、肉体労働に打ち込む。セツルメント活動とは、ボランティアの一種で、持てる者、富める者が持たざる者、貧しいものと共に行動、生活をすること。
学力、学歴がない親から生まれたこどもはやはり学力が致命的に低い。親が働き詰めで、それでも大した給料を得られないから、こどもどころではない。貧困、学力低下、就職差別、底辺の仕事にしかつけない、こどもも同じ道をたどる…
悪循環を断ち切るため、こどもたちが生まれたときから背負っている悪循環からの開放を目指す闘い。
デモに加わり混迷から抜け出すため、セツルメント活動と決別、日本民主青年連盟へ加入する。そこから日本赤軍の主要メンバーであり、最高幹部であり、軍事委員でもある
渡良瀬千尋となる…

イスラエルのテルアビブ空港で世界初の空港事件は、日本人3名によるものだった。
初めて知った。ショックだった。
その後に続くテロの元凶は、ここにあった。

どうしてそこまで、まっしぐらなのか。
どうして異国でそんな事件を起こさなければならなかったのか。
書かれている、政治的思想や活動、シモーヌ・ヴェイユに対する憧れというか、崇める気持ちなどなど、とても理解できない。


【著者からのコメント】
恋愛小説ではありません。歴史小説でもありません。今から約50年前に、世界で初めて空港で乱射事件を起こして、その後の世界秩序を塗りかえてしまったのが日本人であった、という事実を今の日本で認識している人はどれくらいいるでしょうか。これは負の事実かもしれません。しかし、事件を起こした人物(私の高校の先輩)を、私はどうしても全面的に否定できないのです。なぜなのか? その理由を知りたくて、この作品を書きました。

著者を否定する訳では無いが、全面的に否定できない、という気持ちを理解したかったが、残念ながら私にはできなかった。

考えなければいけない問題なのだろう。
ただ、今、自分の人生には、その余裕がない。

時間をおいて読み返しても、この渡良瀬千尋のモデルである、奥平剛士の感情の揺れ動きは理解できないような気がする。

読み終えて、とてもショッキングな内容に茫然自失。

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2022年11月17日

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