【感想・ネタバレ】とりあえずお湯わかせのレビュー

あらすじ

このエッセイもまた、公開の日記帳だ。前向きで後ろ向きで、頑張り屋で怠け者で、かしこく浅はか、独特な人物の日々の記録だ(前書きより)――はじめての育児に奮闘し、新しい食べ物に出会い、友人を招いたり、出かけたり――。そんな日々はコロナによって一転、自粛生活に。閉じこもる中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。それぞれの立場でNOを言っていくことの大切さ、声を上げることで確実に変わっていく、世の中の空気。食と料理を通して、2018年から2022年の4年間を記録した、人気作家・柚木麻子のエッセイ集。各章終わりには書下ろしエッセイも収載。

1.うちにおいでよ 2018年1月~12月
2.うちの味、外の味 2019年1月~12月
3.そしてコロナがやってきた 2020年1月~12月
4.もう、黙らない 2021年4月~2022年3月

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Posted by ブクログ

ネタバレ

柚木さんのこと、バックダンサーつけて歌っちゃうパワフルで元気なひとって印象が強かったから、ネガティブな感情についても書いてあって意外だったし、安心もした。みんな毎日毎日きらきら元気でいられるわけじゃない。
ジェンダー規範を押し付けられた時にどうしてもしんどく怒る自分とか何もできないことを責めちゃう自分のこととか肯定してくれたように感じたり、子育てをする中で自分の中にある古いジェンダー観に気付かされているところが印象的だったりした。読めてよかった。
柚木さんをこれからも応援したい。

p120
楽しむことを忘れたくない。迷惑をかけたいわけでもない。でも、社会への疑問や怒りもなかったことにもしたくない

いつか富を築いたら、今日の私のように家出して行くあてのない既婚
女性のためのリーズナブルなホテルを作り、全国展開するのだ。二十四時間いつでもチェックイン可能。気分次第で延長は好きなだけして構わない。滞在した時間で料金は決まる。フロントには離婚弁護士もカウンセラーも常駐している。そして各部屋は潤いに満ち清潔で、アメニティも充実、常温のエビアンがずらりと並んでいて、食事もヘルシーで美味しい。何より、宿泊客は似たような境遇の女性ばかりだから、多目的ルームやレストランやカフェで、すぐにつながりが生まれる・・・
→作ってください…天才

P190
毎日の食事で外食のようなワクワクが味わえなくても、祖母たちが孫に会えず寂しい思いをしていても、子どもが同じような日々に退屈していても、旅行やレジャーの思い出が作れなくても、当たり前だが、それは別に私やあなたの責任ではないのである。「工夫」と「アイデア」の情報を毎日浴び続けると、いつの間にか、深いところに呪いになって染み付いてくる。自分の頑張り次第で、状況はよくなるのではないか、という思い込みとそれに伴う緊張感だ。

P192
喜びを追求すること、生き生きと暮らすことが怖くなってしまった女性は大勢いると思う。
この日本で、女性が幸せになろうとすること、幸せであることはもはや社会へのカウンターなのだ。


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2026年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フェミニズムに関するようなお話を読んだ時には、とりあえず男性嫌いの傾向が強まってしまうのを辞めたいと思う。傾向が強まっている時ほど、閉店間際にいつまでも居座るおっちゃん。そのおっちゃんが手をズボンの中に入れているところを見てしまったときの嫌悪感たるや(おしり側で良かったね、じゃあすまないんだよな)。

つまり、「男性」嫌いと、「女性蔑視を続けてきた社会」嫌いがごっちゃになってしまうのである。

「幸せそうな女性を殺したかった」なんて事件が現実で起きてしまうのなら、常につまらなさそうな顔で生きてみようかななんて思う。
でも幸せに生きていきたいし、お父さんや彼氏はおっちゃんや殺人犯のようにはならないんだから、近くで見た例を根拠に、大きく括ってしまうのは人間のクセの一つだと思う。

そんな中で、「母親が仕事を辞めて家にいてくれてたんだから全ての女性は家にいて子供を産み育てるべきだ!」という思考から男性を解き放つなんてとんでもない苦労があったことだろう。
でもその苦労は着実に実ってきていて、来年社会人1年目の人間(私)なんて、周りにパワハラだのセクハラだの言われてもその場で跳ね返せるだろうし、結婚しろ子供産めなんて言われても「それは個人で選択することです」とハッキリ言える。言ってみせる。(だから、これだからZ世代は、とか言わないで)
私がこう言い返せるようになったのは先輩たちが長い間声を上げてくれたおかげで、たくさん悩んで呪いと向き合ってくれたおかげだ。
先輩達のおかげで少しずつ呪いは溶け始めているのだ。ありがとうございます。

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2026年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「最初に悲しいと書いたが、この悲しみは、読者さんが面白がってくれることで、昇華されるかなと思っている。私にとって書くことは常に救済だ。こうやってタイトルにしないとすぐに忘れるが、どんな時もとりあえずお湯を沸かせれば、あなたも私も大丈夫。」(P.9)

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2026年05月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「BUTTER」の版権を引き上げたニュースが記憶に新しいですが、日頃から差別に問題意識を持っておられたんですね。
柚木さんと言えば私の中では朝井リョウさんとのコンビで、お二人で全力で余興をするイメージが(朝井さんの手により)植え付けられていたので根は真面目な方だと初めて知りました(すみません)

ッセイでは小さいお子さんを抱えての自粛生活や食の楽しみ方が書かれていますが、偏食のお子さんのために作る具材をたっぷり入れた混ぜご飯に驚いたー!
私こんな工夫しなかったなあ、面倒くさくて。入れても2品がいいとこ。
牛乳から蘇を作ったのもすごいです!
食に丁寧に向き合っているのがよく分かります。
タイトルが口癖のお母様もすごい人でした。お話してみたいなあ。
『らんたん』読まなきゃ。

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2026年05月05日

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