あらすじ
〈桐生の養蚕農家の娘として生まれた芳乃〉と〈東京でトリマーとして働く詩織〉。伝説の織物「山笑う」をめぐり〈昭和〉と〈現代〉、決して交わるはずのなかった、ふたつの運命が、紡ぎ、結ばれていく。母の束縛、家のしがらみ、そして、最愛の人との離別……。抑圧と喪失の「その先」を描く、感涙必至のてしごと大河長編。
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Posted by ブクログ
群馬県桐生市を舞台に紡がれる、手仕事や織物に魅入られた人たちの物語。
戦前戦時と現代が交互に描かれている。
織物になぞらえた比喩表現が散りばめられていて素敵でした。美と情熱のお話でした。
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68年の人生で一番好きな本です!
全編全ページ美しいです✨
本を二度読むことはしないわたしが、初めてもう一回読みたいって思っている本♡
大切な一冊です!
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戦争がどんなに酷いものか書かれており、途中では泣きたくなるようなシーンもあった。
この本のキャッチコピーは「誰もが、織り人なのだ。」というのもあり、芳乃の作品と同レベルの作品を織ることがこの本の結末ではないと思いつつ、詩織がどんな成長をしたのかもう少し書かれて終わってくれればいいのに…。と感じた。
織物を織っているときの心情や風景が細かく書かれており、情景がかなり想像しやすかった。
この本を読んだことにより、織物を織ってみたくなった。
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自然界にある色彩がいかに素敵で
しかもそれを糸にうつし取り、染め上げるなんて
うっとりと憧れる世界。
またその様を表現する描写の素晴らしさはもちろん
芳乃と詩織それぞれの人生も興味深く
なかなか読み応えのある作品だった。
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昭和十二年から昭和二十五年の芳乃と平成三十年の詩織の物語が、織機の経糸と緯糸のように交互に紡がれていました。
芳乃の物語の舞台は桐生でした。養蚕農家から新田商店に嫁いだ芳乃が織物に向ける情熱、綿毛の芳乃への夫の優しさ、舅姑、義兄夫婦、姪の芳子との関わりなどが描かれていました。戦前から戦後への人の意識や生活の移り変わりなどの細かい描写に引き込まれました。
東京でトリマーとして働く詩織の物語では、生きづらさの原因と母親の自分への関わり方で、自分が囲われている感じから本当の自分をようやく見つけていく過程が描かれていました。
芳乃と芳子、詩織と母親の絹子の四人の関係がわかったことは奇跡だし、今後、織物のようにうまく織られていく感じがする終わり方はよかったです。読後、壮大なひとつのドラマを見終わったような感じがしました。
プロローグ
一 昭和十二年 芳乃 綿毛の嫁入り
二 平成三十年 詩織 糸の導き
三 昭和十二年 芳乃 白い結び目
四 平成三十年 詩織 透明な糸
五 昭和十三年 芳乃 巣を張る
六 平成三十年 詩織 糸をたぐって
七 昭和十六年 芳乃 破れ綻ぶ
八 平成三十年 詩織 こじれた結び目
九 昭和十八年 芳乃 夜を織る
十 平成三十年 詩織 見知らぬ小指
十一 昭和十九年 芳乃 世界の退色
十二 平成三十年 詩織 染め直し
十三 昭和二十年 芳乃 雷の一閃
十四 平成三十年 詩織 糸の片端
十五 昭和二十五年 芳乃 織り人
十六 平成三十年 詩織 経糸緯糸
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原田ひ香さんの口福のレシピの洋裁版な感じ?
過去と現在が交互に描かれていて、どちらの時代も芳乃や詩織が織物に没入していくと自分も物語の世界に没入。少しそんな偶然ある?ちょっと強引では?と思うところもあったけど、面白かったので○
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とても素敵な作品でした。
前半は母の毒が、苦しかったけど
読み進めるうちに、
その母にも抱える思いがあったことを知る。
ADHDをこんな切り口で扱う物語もあるんだな。
織り人たちの「業」と「喜び」
戦時下の日々、ADHD、
色々なテーマが詰め込まれているので、
読み手によって、感じ方もそれぞれかもしれない。
私にとっては大満足の一冊です。
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桐生の伝統機織物と現代を結ぶ物語。トリマーとして働く詩織は縫うのが好きだったのだが、母親が許さなかった。それは物語の途中で明らかになる。現代と過去を行ったり来たりしながら運命的なモノを感じる。中々の大作である。
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縦の糸はー横の糸はーという名曲もあるように、
本当に人生は織物のよう。
人との出会いがきっかけで、
自分のルーツが分かったり、
新しい世界が開けたりする主人公が、
この先どのような人生を歩むのか。
辛いこともあるだろうけど、
自分で選んだのだから、
幸せになると信じてる。
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昭和12年。
養蚕農家の娘である芳乃は、季節の草木から染料をつくり、生糸に染め上げて織る作業までを自らするのが至福であると思っていた。
だが、桐生の新田商店の次男に見初められ嫁いで以降も織物には携わっていたが、戦争もあり人生は揺れ動いていた。
現代。
母子家庭で育った詩織は、母親の支配や干渉無しでは生きられないのか…というもやもやとした感情の中で、仕事の後こっそりと機織り工房へ通っていた。
そこで桐生の手しごと市に参加してみないかと誘われ…。
桐生でわかった詩織の出生の秘密。
一子相伝の織物をめぐり昭和と現代、ふたつの運命が、紡ぎ、結ばれる。
こういう繋がりがあったのか、とそれは当然の如くそうなるべくしてなったと感じた。
何もないところから人の手で織ることによって、素晴らしい作品を生み出す。
その手仕事にも糸に込められた想いがあることを知った。
そして、生きづらさを抱える人にとっては勇気を与えるものだった。
ありのままの自分を織ってほしい。
芳乃の気持ちを感じたのかもしれないが、詩織の人生の詩を織りあげてほしいと。
芳子に連れられて行った山で、絹子もそう思ったのではないかと改めてプロローグを振り返ってみた。
Posted by ブクログ
織物に取り憑かれた人々が人生を達観した仙人のようにも時を忘れて無邪気に遊ぶ子どものようにも見えてその極端さが危うくも目が離せないほどの強烈な魅力を放っている。
残念ながら私には創作の才は無く共感できる部分はあまり無かったけれど才があるからこその喜びや苦悩がありのままに描かれていて息をするのも忘れてしまいそうなほどのめり込んで読んだ。
人生は思い通りにいかないからこそ思いがけず出会った奇跡のような瞬間が尊く一つ一つ積み重ねて出来た層が振り返ってみると織物のように美しいものになっている。
綿々と続いてきた桐生の織物の歴史や美しい自然、芳乃と詩織の目を通して見た景色がそういうことを教えてくれた。
Posted by ブクログ
織物とか伝統工芸品とか手にとってみると本当に美しい
織物の町があるんですね
知らなかったなぁ
染め物、織物の美しさ
着物なんて着る機会ないし、自分じゃ浴衣すら着れないけれど
こういうものは、なくしちゃいけないものですよね